概要
木星圏に於いてテイワズとその下部組織によって運用されているテイワズ・フレーム採用型主力汎用モビルスーツ。
高い戦闘力を誇るモビルスーツはその存在自体が抑止力として機能する為、百錬はこれを保有するテイワズの力の象徴として木星圏では認知されている。
厄災戦後期に開発されていた高出力機の設計図を入手したテイワズの技術者たちがこれをベースとして長い年月をかけて完成させた機体であり、エイハブ・リアクターは古戦場から発掘した物を転用している事から完全なテイワズ製という訳ではないが、ギャラルホルン以外でモビルスーツの独自開発に初めて成功した機体である。
モビルスーツのフレーム開発はそのノウハウが失われて久しい事もあって困難を極めており、百錬も生産ラインが整っておらず、稼働している機体は44機のみと少ない。
しかし、機体のデータはテイワズ内で共有されており、システム面のアップデートといった性能向上は随時行われている他、フレームやパーツは地球圏へも輸出されており、これを改修したカスタム機も少なからず存在する。
初期生産型である1番~9番機は高純度の木星メタルをリアクターやフレームの電導回路・衝撃吸収材に使用しており、以降生産された機体よりも高い性能を持つ。この9機の百錬は「シングルナンバー」と呼ばれ、テイワズ代表マクマード・バリストンの名の下にテイワズ直轄の9つの下部組織へ配備されており、アミダ機もその内の1機である。
活動環境に左右されないバランス型の機体ではあるが、アステロイドベルトやデブリ帯での運用にも対応しており、機体重量を敢えて上げることでデブリ衝突時に発生する衝撃に対して耐性を持つ。
モビルスーツ戦ではその特徴を生かした近接格闘戦で真価を発揮し、百錬2機と機動性に優れた百里1機による小隊編成がタービンズに於けるモビルスーツ部隊の基本編成となっている。
地球圏で戦闘目的で使用する際には、テイワズの所属である事を秘匿する為、装甲を換装し「漏影」として運用される。
「百錬」とは三国志に登場する呉の初代皇帝・孫権が持っていたとされる三振りの宝刀の一つであり、「幾回となく錬り鍛える」のこと。他のテイワズ・フレームの機体名も中国の宝剣を参考にした漢字名が使われている。
機体データ
型式番号 | STH-05 |
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全高 | 18.2m |
本体重量 | 35.5t |
動力源 | エイハブ・リアクター |
使用フレーム | テイワズ・フレーム |
武装 |
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パイロット | アジー・グルミン アミダ・アルカ他 |
武装
片刃式ブレード
型式番号JEE-202。
百錬用に製造された接近戦用ブレード。非使用時は腰部背面に備えられた鞘に格納される。
鞘の峰部分は大きく切り欠かれており、抜き差しが容易な構造になっている。
鞘は専用の接続パーツを介する事で百里のバックパックにも装備可能。
ライフルカノン
型式番号JEE-201。
テイワズの下部組織であるエウロ・エレクトロニクスが製造した100ミリ口径軽量ライフル。
本体後部にスライド式のストック機構があり、用途に応じて展開が出来る。
装弾数はマガジン1つにつき20発。予備のマガジンはサイドスカートの裏側にマウントされており、非使用時には腰部ブロックにマウント可能。他の武装と同様に百里のバックパックへの装備も可能となっている。
アサルトライフル
型式番号JEE-205。
ライフルカノンの設計を見直し、集弾性・単発威力・射程距離等の向上を目的に開発された装備。
ライフルカノンと比較して砲口径が拡張されており、弾丸の大型化に伴いマガジンは装弾数に優れるダブルカラムタイプを採用する。
他の装備と同じく腰部ブロックや百里のバックパックに搭載が可能。
ナックルガード
型式番号JEE-203。
機体腰部の装甲に格納された近接武装。
使用時に手甲部に装着され、打撃戦に於いてマニュピレータを保護する他、ナックルガードの先端部にはコイルが備わっており、予め電力をチャージしておく事で攻撃の瞬間に電気ショックを相手に見舞う事が出来る。
四連式ロケットランチャー
型式番号JEE-103。オプション装備の一つ。
炸裂弾、ナパーム弾、スモーク弾など複数の弾頭を目的に応じて使い分ける事が出来る携行型ロケットランチャー。
肩に担ぐ形で運用されるが、装備自体は比較的軽量。
百里との共通装備であり、百里のバックパックにマウント出来る。
輪胴式グレネードランチャー
型式番号JEE-102。
回転式弾倉を採用した百里用のグレネードランチャー。マニュピレータでグリップを保持しての使用の他、肩に掛けるようにして使用する事も可能。
百里用の武装ではあるが、武装の規格が共通である事もあり、百錬(漏影)であっても問題無く運用出来る。
装弾数は8発。作戦内容によって様々な弾頭を発射可能。
バリエーション
百錬(アミダ専用機)
型式番号STH-05/AC。
アミダ・アルカ専用の百錬。
初期生産された「シングルナンバー」の内の一機であり、機体の電導回路・衝撃吸収材に高純度木星メタルが使用されている為、他の機体と比較して高い性能を発揮する。
カラーリングは一般機が青を基調としている一方で、アミダのパーソナルカラーであるピンクを基調とした色で纏められている。
漏影
型式番号STH-05R。
地球圏に於いてギャラルホルンと事を構えた鉄華団を支援する目的で、タービンズが百錬を改修した機体。
タービンズはテイワズ傘下の企業として表立って鉄華団を支援する事が出来ず、百錬を持ち出したとしても表沙汰になる為、これを秘匿する目的で装甲を全換装している。また、装甲の換装に伴い地上での運用を想定した調整も行われており、背面にはブースターユニットを装備する事も可能。
パイロットはラフタ・フランクランドとアジー・グルミン。アジー機は元々彼女が使用していた百錬を改修しているが、ラフタ機はアミダの百錬を改修した物を譲り受け使用する。
武装はショートライフルやヘビークラブ。ショートライフルはアサルトライフルと共通のマガジンを使用するが、排莢機構は備わっておらず、樹脂製の薬莢をペレット状に圧縮し、後部に貯蔵する機構が備わっている。また、ヘビークラブは内部が空洞化しており、そこに可動式のウェイトが備わっており、振り下ろす際に遠心力でウェイトが先端部へ移動し、打撃力を向上させる事が可能。
百里
百錬と同じくテイワズで開発されたテイワズ・フレームを採用した高機動型モビルスーツ。
詳細は百里を参照。
獅電
百里・百錬の設計をベースにマスプロダクトモデルとして建造された汎用モビルスーツ。使用フレームはイオ・フレーム。
詳細は獅電を参照。
辟邪
型式番号STH-20。
百里・百錬の開発データを基に、両機の性質を併せ持つハイエンドモデルとして開発されたモビルスーツ。
構成フレームはテイワズ・フレームだが、獅電と同じく構成金属の錬成から設計、組み立てまでをテイワズの技術で行われた。
同時期に開発が開始され量産体制が整っている獅電とは異なり、高性能故に開発には時間が掛かっており、生産数も限られているが、開発コンセプトである百里の高機動性と百錬の高出力の両立は試作段階で実現している。
肩部・脚部・リアスカートのスラスターを展開する事で突撃形態へ変形可能。また、各組織でのヒューマン・デブリの利用拡大を背景に、阿頼耶識システムを施術した彼らとの戦闘を想定して操作性の向上も行われている。
武装として専用に開発されたバヨネットライフル、トビグチブレードを装備可能。両腕部には固定武装として回転ブレードを備える。
トリアイナ
外伝作品「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ月鋼」に登場。型式番号TMPM02/AC(MPM02/ACの表記もあり)。
テイワズが販売用に制作したマスプロダクツモデルのフレームをベースに改造されたカスタム機。
「トリアイナ」とはギリシャ語で「3つの歯」を意味する。
有重力下での運用を想定した軽量化が行われており、各部に配されたフィン状のパーツとソフトハットを思わせる増加センサーユニットが独特なシルエットを成している。
対モビルスーツ戦よりもモビルスーツの戦闘力による要人暗殺を目的としたカスタマイズが施されており、取り回しに優れた専用マニアゴナイフを装備。また、暗殺対象を捜索する為にセンサー系も強化されている。