恵方巻き
えほうまき
概要
縁起のいい方角とは「恵方」と呼ばれているもので、年の十干によって決まっている。恵方巻きとは、立春前日の節分の日にこの恵方に向かって食べる巻き寿司のことである。
無言で、願い事を思い浮かべながら太巻きを丸かじり(丸かぶり)するのが習わしとされている
恵方は毎年複雑怪奇な方角を指定されるが、実は四種類しか無い。簡単に言うと、「東西南北のほんのちょっと左」である。
尚、恵方巻きを包丁で切り分ける行為は「縁が切れる」事に繋がるとされる。
発祥
元々、大坂を中心に関西地域で広まっていた地方の風習で、戦後は一時期廃れていた。
しかし、近年になって海苔製造業者の暗躍の成果やセブンイレブン等のコンビニやスーパーなどの商業展開で全国的に知名度が向上しつつある。
これはクリスマス→正月→(節分)→ひな祭り&卒業式と、節分にメジャーになり得る商品が無いところに、恵方巻きの存在を知った業界が目を付けたのがきっかけとされる。
また巻き寿司を食べるための大義名分に使っている人も一部にいる。
なお、全国に広がったのは2000年代になってからのこと。なので東北地方などで子供のころ食べた記憶が無いというのはもっともな話である。
由来
初めに
ネット上では花街のいかがわしい座敷遊びが発祥というデマが散見されるが、
史料的な根拠が全く無く、ぶっちゃけウソである。
正しいと思われる説としては、
江戸末期に大阪の商人たちの商売繁盛と厄払いの意味合いで、立春の前日の節分に「幸運巻寿司」の習慣が始まったとする説(筑波大・比較民俗研究会)
など江戸時代を発祥とする説がある。
しかし文献にハッキリと登場するのは1932年(昭和7年)の大阪鮓商組合の発行したチラシである。
「巻寿司と福の神 節分の日に丸かぶり」とあり、「幸運巻寿司」の宣伝を行った物とされる。
「その年の恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其年は幸運に恵まれると云ふ事であります。」と
チラシには現代の風習と同じ文言が書かれており、直接の由来はこのチラシであろうと思われる。
具材
具材は七福神をイメージし7種類が主流だが中には金箔を入れた豪華版も存在する。
とはいえ、具材に厳密な決まりがあるわけではなく、節分の日に食べる巻き寿司(あえて「太巻き」ではなく「巻き寿司」と表記したい)をこのように呼んでいるといっても良い。
ちなみに当該地域では巻き寿司はちらし寿司に並ぶお祝いの席での定番家庭料理である。
近年ではロールケーキ等、寿司でないけど巻いてあるものも便乗している。巻いてあればなんでもいいのか。
というか巻いてないのに便乗しているものもある。もうなんでもいいのか。