概要
国民に安定した雇用機会を確保することを目的として国(厚生労働省)が設置する行政機関である。略称は職安(しょくあん)、愛称はハローワーク。
主に職業紹介、雇用保険の加入手続き、失業給付の支給などを業務としている。近年は生活保護受給者の就労支援等も積極に行っており、市や県など自治体との連結も不可欠となってきた。
職員として配置される者は厚生労働事務官であるが、窓口で相談対応をしている者はほとんどが非正規雇用の相談員である。
ある程度以上の年齢で役職がついた正規職員は奥にいることが多いため、窓口対応を行う正規職員には若手が多い。
近年は雇用情勢の回復に伴い、小規模のものは統廃合される傾向にあるが、近くにあったハローワークがなくなって不便になったなどの声もあり、行政のスリム化が求められている昨今においても予算削減の仕方を疑問視する声がある。
現実に、求職者支援のための新制度の拡充や雇用保険料率の引き下げが相次いで行われ、財源が確保されないままに業務量が増えるため、さらなる人員削減という悪循環。国の仕事の安定を守るはずの組織の職員が仕事に疲弊しているという現状がある。また、前述の通り職員のほとんどが非正規雇用であるため、契約が更新されなければ直ぐ様窓口の反対側に行くことになる。
組織
厚生労働省管轄の47の都道府県労働局(あくまでも国が県単位で設置した機関であり、県の機関ではない)各局が管轄内各所に複数のハローワークを設置している。
一般的な組織図(規模によって次長がいないなど違いがある)
所長
次長
雇用保険課長―――統括職業指導官
業務係長――――――上席職業指導官
業務主任――――――職業指導官
業務係――――――――紹介係
※規模が大きいハローワークの場合、次長が複数人いたり、出張所やハローワークプラザなどの附属機関を次長や所長級の職員が管理していることもある。
雇用保険のラインは、課長や係長など一般に馴染みのある役職名が多い。これは保険の給付という性質上指示系統をはっきりさせる必要があるためである。
一方で職業紹介のラインは「長」等の名称は用いない。これは職業紹介が基本的に個人の裁量に任せられているところが多く、明確な決裁ラインを持たないためである。
ハローワーク「自体」への就職の仕方
ハローワークでは就職のための支援を行うが、ではハローワークで働くにはどうすればいいのか?
非正規雇用
ハローワークの相談員としての募集が、ハローワーク自体に掲示されていることがある。いくつかの勤務形態があるが、基本的に職員より就労時間は短い。正規職員の補助として窓口業務に従事することになるが、場合によっては入ったばかりの若手が上司となり、逆に教えてあげないといけなくなることも。
正規雇用
国家公務員採用試験一般職(旧Ⅱ種、Ⅲ種相当)に合格し、都道府県労働局に採用され、さらにハローワークに配属される。窓口対応と並行して、求人充足率や失業給付の支給状況など報告業務をこなす必要がある。
また、非正規職員は基本的に同一のハローワークで契約が更新される限りは同じ場所で同じ業務を行うことが多いが、正規職員は定期的に異動がある。同じハローワーク内で別業務に就くこともあるが、基本的には採用された労働局管内の他ハローワークへ動くことになる。また、優秀な職員や幹部に気に入られている職員は労働局への異動となることがある。さらに、当然ながら大元の厚生労働省へ異動も多くはないが確実に行われている。
この異動の多さから、ハローワークだけにとどまり続けることは困難を極める。なお、ハローワークの異動だけでも長崎なら対馬や壱岐、五島、鹿児島なら奄美大島や徳之島、種子島など、かなり遠隔地の離島にまで飛ぶ覚悟が必要である。
関連タグ
おそ松さん:2016年までイメージキャラクターとして採用され、全国のハローワークにポスターが貼られていた。