概要
物語論のひとつ。ジョセフ・キャンベルは神話や英雄叙事詩には共通した物語構造について研究し、これをまとめた。現代の創作物にもこの類型に沿ったものは多く、有名なところではジョージ・ルーカスによるスターウォーズが挙げられる。
1.出立
冒険への召命
未成熟な主人公は欠損によって、冒険へ出る動機を与えられる。
・ディオニュソースはヘラによって家族を失って旅に出た。:ギリシャ神話
・主人公は王によって勇者を任ぜられる:ドラゴンクエスト
召命の辞退
冒険の旅を拒む。主人公自身が、あるいは周囲の人間が引き留めようとする。
・アキレウスは母親によって戦争へ行くことを引き留められ、女のフリをさせられた。:ギリシャ神話
・エヴァに乗らないと宣言するシンジ:エヴァンゲリオン
超自然的なるものの援助
非日常的な存在、アイテムによって主人公の旅立ちを後押しする。
アリアドネの糸:ギリシャ神話
博士から初めのポケモンをもらう:ポケットモンスター
最初の境界の越境
日常と非日常世界の境を越える。境は壁、あるいは橋などの通路で表される。
・イナンナの冥界下り:メソポタミア神話
・父母とともに見つけた温泉街へつながるトンネル:千と千尋の神隠し
鯨の胎内
境界の向こう側、秩序だった日常世界と対極の生死に満ちた混沌の世界。
・ピーストーに飲み込まれるフィン・マックール:ケルト神話
2.イニシエーション
試練への道
主人公は成長、あるいは報酬を得るための試練を与えられる。
・ヘラクレスはエウリュステウスによって10(12)の試練を与えられた。:ギリシャ神話
女神との遭遇
女神、聖母、ヒロインによって愛を示され、主人公が優秀な存在だということが示される。
誘惑者としての女性
姦淫などによって、子供の性質である母への甘えを絶つ。
・イアソンのメディアとの出会い。:ギリシャ神話
父親との一体化
最後の敵との対峙。この敵は父親、あるいは自らより強いか年長者。主人公の成長が目に見える形で表れる。
・ダースベイダーが自らを父と明かし、敵として戦う。:スター・ウォーズⅤ
神格化
欠損は補われ、完全な姿になる。
終局の報酬
冒険を終え、報酬を手に入れる。
・桃太郎は鬼退治によって宝物を得る。
3.帰還
帰還の拒絶
非日常の世界からの帰還を拒む存在(追跡者、門番等)が待ち構えている。
報酬を日常世界へ持ち込むことができない等。
・オルフェウスは帰還の際、振り返ってしまい妻を生き返らせることはできなくなった。:ギリシャ神話
・聖杯を神殿の外に持ち出そうとすると崩壊が始まった。:インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
呪的逃走
何らかの行為(アイテムの使用、代償を払う等)によって帰還を阻む存在を打ち倒す。
外界からの救出
脱出には主人公以外の力によって救出される。
・ルークはレイアにフォースで語り掛け、ファルコン号を呼んだ。:スター・ウォーズⅤ
帰路境界の越境
越境の成功。アニメ、漫画でいえばクライマックス後の最終回。
二つの世界の導師
現世的欲求を振り払う。二つの世界の価値観を超越した者になる。
・ジローは超人でも人間でもない存在になる。:コンクリート・レボルティオ
生きる自由
周囲から認められ、一人前の存在になる。
主人公はゲーティアを人理焼却を回避した鉱石を認められ、開位を与えられる:Fate/Grand Order