概要
▼全身像はこちらの作品の2枚目をごらん頂きたい。
元々はリージョン界の政府組織「トリニティ」に反抗するグループに所属していた男だが、現在はトリニティの第7執政官。λ基地を管理しており、前執政官のヤルートが失脚したために後釜として収まった形。冷酷な切れ者として有名。
こうした不思議な経歴を辿ってきた理由は、かつて反トリニティとして活動していた頃、ウェント・イアン(リュートの父)と親友同士だったのだが、トリニティ軍に追い詰められた際イアンに庇われて助かっている。このイアンを亡くした一件により、反トリニティとして活動するには限界があることを悟り、作戦を変更。
今度はトリニティ内部に入り込み、内部から崩壊を狙おうとした。もともと切れ者だった彼にとって、一度政府組織に入ってしまえばそこからの出世は早かった。裏組織グラディウスからも恐れられるほどの手腕を持っており、「執政官に上り詰めて(市井のレベルでちょっかいを出されなくなり)ホッとしている」と言わしめるほどである。
しかし——豊富な資金と軍備が整えられているトリニティという組織は、彼の人生を狂わせる野望を持たせるには十分なものだった。
最初の志を忘れさせるほど恵まれた環境と立場は、彼を独裁者へと駆り立てさせる。トリニティにてクーデターを起こし、自分1人で政府を牛耳ろうと考え始めた。リュート編最終ボス兵器グレートモンドも、そのために作り上げたものだった。
エミリア編では、ジョーカーを倒そうとするエミリアへジョーカーの情報を与え、さらにウェント・イアンと共に過ごしていた頃の「遺品」をエミリアに託す。ある意味、彼の「最後の良心」という説も。
「リージョン界を統べるのは力だ!
それがまだ分からんか。
愚か者達よ、今から力の意義をその身に直接、叩き込んでやる!」
ちなみに彼が普段仕事をしているλ基地の執政室には、「攻♥受」と描かれた額縁が飾られている。本作が発売されたのは1997年···当時としては随分濃いネタを仕込んだもんである。
インペリアルサガ
いくつかの中核ストーリーの一つ「キューブルート」に登場。このルートの物語の引き金になった人物にして、実質的なこのルートの最終ボスでもある。
異世界であることを理由に、リージョン界では絶対的な機密事項だった「キューブ」の正体をヒューズへ明かし、それが桁外れのエネルギー発生装置であること、場合によっては世界が消し飛ぶ危険物にもなりうるものだと明かし、回収を依頼する。
この物語はマルチエンディングという体裁をとっており、各クエストの選択肢によってキューブを追いかけた末の結末が異なるようになっている。その中で最難のクエストにて、彼は冷たいその本性をあらわにする。
キューブの詳細をIRPOに教えたのは、キューブの所在地を絞り込んでもらった上で、自身がそれを奪い取り利用するため。彼にとってキューブの使い道とは、イスカンダールも身につけた「アンリミテッド」という不死の術を施し、不死身の独裁者になることだった。キューブの力を借りれば、術者なくしても施術可能という、これぞ「最も危険なキューブの扱い方」。そしてグレートモンドを起動させ、戦いを挑んでくる。
数多くの形態を持つこのメカだったが、サガフロ裏解体真書の小説に倣い、平行世界を含むヒューズの仲間全てが集い、総攻撃を浴びた結果大破。しかし、原作ともこの小説とも違い、モンド本人は生き延びた。
彼が独裁者を目指した動機の一つとして、かつてリュートの父イアンにかばわれたことで、イアンに助けられた自分の命をできる限り長らえさせることが、イアンへの恩返しになると考えていた。そのため、本作独自の描写として、カミソリのような独裁者でありながら、かつての友イアンを忘れない心を持ち合わせ、彼を仇敵とするゲンなど因縁のある者も、モンドがただの独裁者ではないと感づいていた様子。それが結局、彼がトドメを刺されなかった最終的な要員だったことになる。
リュート曰く「酒ならいくらでも付き合うから、こんなことはやめないか」。温厚な彼が、父イアンの友人としてモンドを誰よりも真剣に説得するシーンは、まさしく原作でやりたかったけど出来なかった場面だろう。
- 原作では丸々ボツになったヒューズ編だけでなく、リュート編もストーリーの大部分が削られており、そこへ補完が当てられる形にもなっている。
そして、キューブを悪用した罪で、サイレンスの、無言による(ヒューズ曰く「いつまでも終わらない」)取調べを受ける結末となったのだった。