経緯
水曜どうでしょうの海外企画の一つであるアメリカ合衆国横断第7夜で起こった事件、それがインキー事件である。
西海岸のサンフランシスコからワシントンD.C.へとアメリカ大陸をレンタカーで横断するという企画で全八夜の構成だったが、第6夜までの時点で日程を半分以上消化したにも拘らず、未だに中間地点以前のオクラホマ州クリントンに一行がいたという事実がある。そもそも遅れた要因は主に大泉洋の無駄な買い物や寄り道、寝坊である。
この状況に危機感を覚えたミスターこと鈴井貴之は遅れを一気に取り戻すために1日で1200km以上を走るという目標を立て、実際に午前中5時間ハンドルを握り450kmを走破するという働きを見せたのである。
しかし、鈴井が寝た事をいいことに藤村Dが大泉に温泉地があると甘言を囁きかけ、大泉は最初は断るも最終的にその誘惑に負けてしまい、有名な温泉地であるアーカンソー州ホットスプリングへ行ってしまう。
まさか自分が寝ている間に目的とは全然違う所に寄り道しているとは思わなかった鈴井は、当然の如くイライラが最高潮となり、車内はピリピリとしたムードになってしまった。いわゆる、怒ったときの本当に怖い鈴井社長状態である。(そりゃあ、大泉らのおふざけなどでそんなに進めず、危機感を持って450kmも進んだのに、よりによって寄り道なんかされて今までの努力を台無しにされたら誰だって怒るだろう)。
この時、藤村は大泉にすべてを擦り付けてしまい、結果大泉は鈴井にど突かれたり口も聞いてもらえない状態がしばらく続いたのであった。なお、誘惑に負けた大泉ももちろん悪いが、本当に悪いのは奸計を弄して大泉を(二重の意味で)間違った方向に走らせた藤村である。
しかし、翌日に鈴井と大泉らの立場が逆転してしまうとは誰が予想したのだろうか・・・
インキーマン、誕生!
翌日は大泉は寝坊もせず、4人全員出発の準備が完了。マンモスケイブを観光したのち、ゴール地点のワシントンD.C.へなるべく近づくようという計画だった。
が、ここで大きなトラブルが発生。
エンジンはかかっているが、運転席も助手席も後部座席もトランクも全てドアが開かないのであった。
つまり、インキーである。
このインキーをやらかしてしまったのがそう、あの鈴井である。
大泉にインキーマンと紹介された鈴井は皆に土下座。このとき、テロップには「私が犯人です」とでかでかと表示されている。
前日までは遅れを取り戻そうと必死になり、さらには周囲にも厳しい態度をとっていた鈴井自ら致命的なミスをやらかすという事態に、鈴井以外のどうでしょう一行は沸き立った。
インキーマンへと変身した鈴井貴之は前日までの威厳がどこへやら、大泉らよりも弱い立場へと成り下がり、完全に立場が逆転してしまったのである。
なお、鈴井はこの時泣きそうな顔になっており、終始おどおどしていた。
ここぞとばかりに付け上がった大泉と藤村、二人の悪党に弄り倒されてしまい、とりわけ藤村には底意地の悪い口調で「おっさん」呼ばわりされる始末。
結果、ロードサービスを呼んだりといった後始末で都合2時間は遅れることになってしまった。
しかも、これだけでなく直後に鈴井は何と部屋の鍵まで閉じ込めていた事が発覚。
藤村「あんた先に出てったじゃないの」
大泉「オートロックだって知ってんだろ!?」「イン・キーにイン・キーか?死ぬ気か」
などと散々な罵りを受け、フロントまでパシられることになった(このときも大泉らから「すぐ!」「走る!」などと罵声を浴びせられている)。
以降、出発後の車内で何事も無かったかのようなトークをしたり、動揺の末大泉の衣装にケチをつけて逆襲されたりとブレまくりの振る舞いを重ねた末、とうとう厳格だった鈴井の威厳が完全に崩壊。
マンモスケイブへの道中で「アメリカンになれよ」と罵られ、目的地に到着した際には大泉のド派手なカウボーイの衣装を着こんでドヤ顔になったり、「カントリーウエスタン風」と称しては大泉と同様に衣装を買い込んだり、葉巻をすぱすぱ吸いながら「なんだったらまたイン・キーやって時間稼ぐから」と開き直ったりと、終盤で思いっきりアメリカを履き違えながらも満喫した状態でゴールまで過ごすことになってしまった。
結果、アメリカで新たなダメ人間っぷりを発揮してしまったのである。
これが証拠のVTRである。
「大泉の前向上→インキーマン登場」のくだりは1:08以降だが、面白いので一度は通しで見ることをオススメする。