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法律上の定義は火葬を行うために火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設である。

現代では火葬場を斎場と呼ぶこともあるが、本来の意味は祭祀儀礼を行う場所および祭祀儀礼を行う施設全般を指す呼称であり、火葬設備を有せず通夜・告別式のみ行う施設で斎場と称するものも多い。

日本では土葬の風習があまりないため、火葬が占める割合が100%に近い。

火葬場と言えば高い煙突から紫の煙が昇るのをイメージするが、1990年代以降に建設された火葬場では排煙の処理技術向上や迷惑施設として嫌われるのを防ぎ、周囲に調和するよう極端に高い煙突は設けられなくなっている。また目立ちやすい宮型霊柩車の乗り入れを拒否・禁止している火葬場も多く存在する。

火葬場の運営主は市区町村などの地方自治体や複数の市区町村によって結成された事務組合によるものも多いが、一部民営・業務委託・半官半民、完全民営形態の火葬場もある。

火葬された遺体は骨が残る。焼け残った骨は骨上げを行い、骨壷へ収める。西日本では主要な骨のみを、東日本では基本的にすべての骨を収める。骨壷へ収められなかった骨や灰は場内の慰霊墳墓や公営墓地で合葬されたり、専門業者が回収してコバルト・ニッケル・チタンなど希少金属や貴金属を選別回収し、合葬か埋立処分される。

構造

台車式

車輪を有する鉄製枠の上面に耐火レンガまたは耐火キャスタブル製の床板を張った台車が炉室床の役割を果たし、その台車上に棺を置いて火葬する。遺体が骨化するまでにおよそ1時間、そこから冷却するのにおよそ30分と時間がかかりやすいが、遺骨がほぼ人体形状を保ったままきれいに残るというメリットがある。

技術的には1炉で1日4体以上の火葬も可能だが、運用上の問題から1炉での火葬数は1日2~3体程度としていることが多い。

ロストル式

炉内にかけ渡した数本の金属棒で作られた格子の上に棺を直接載せて焼く方式。

腹部の大腸、小腸などの内臓部分は水分が多くここだけが焼けにくいが、ロストルと炉底部の骨受皿の間に空間があるため棺が燃え尽きた後も炎は遺体の下にも回り、台車式より短時間で骨化する。しかし骨が格子から骨受皿に落ちるために多くの場合位置関係はバラバラになってしまう。

ロストルとは食品を焼く網やストーブ等の火床格子を指すオランダ語の「rooster」が語源。

台車式に比べて早く骨化が完了するため、火葬件数が多い都市部では好まれる傾向にあり、多いところでは1炉で1日に5体の火葬を実施している所がある。

世界の火葬事情

インド

ヒンドゥー教を信仰するヒンズー教徒が8割を占めるインドではヒンドゥー教の習慣に基づき火葬が好まれる。火葬炉を用いず、川原などの野外に薪を積み上げてその上に遺体を置いて点火する「野焼き」が主流。

特にワーラーナシーのガンガー近くで死ぬと輪廻転生の苦しみから解脱出来ると信じられ、ワーラーナシーは年中火葬の煙が絶えることはない。

イギリスがインドを統治していた頃、イギリス人が火葬に対して抱く嫌悪感、価値観の違いから火葬場を郊外へ移転させようとした。しかしこれにワーラーナシーの人々は大反対し、30年にわたって論争が続き結局イギリスが折れる形になった。

ネパール

インド同様ヒンズー教徒が多数派を占めるネパールも火葬が多い。首都カトマンズにあるパシュパティナート寺院には大規模な火葬場が併設されており、ヒンズー教徒以外も有料で見学できる。

韓国

儒教が主流の韓国では遺体を火葬することは伝統的に先祖に対する不孝であり禁忌とされ、土葬が主流だったが、都市部を中心に墓地不足が社会問題化し火葬が徐々に増えつつある。

特にソウルのソウル市火葬場は竣工までに14年を要したが、外観は美術館を模して最新のデザインを取り入れ、周辺の景色と調和するように設計されている。

欧米

欧米でも火葬を行う事例はある。日本と異なり、火葬場に遺体を預け、後日遺骨を受け取るという流れが主流で、骨上げの習慣がないので遺骨を顆粒状に砕き、様々な形状の骨壷に収められて引き渡される。骨壷の形状は故人の趣味に合わせた多様なものが準備されている。

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火葬場の編集履歴2018/04/11 22:32:50 版