ネオロマンスゲーム『遙かなる時空の中で2』の登場人物。ゲーム中に姿が描かれることはないが、CDドラマでは泉水の思い出の中で登場。
源泉水の母 以下ネタバレ↓
実は彼の母ではなく、育ての母かつ叔母、和仁の実母。
女六条宮が子の取り替えを行った理由
前帝(現在の院・彰紋の父)が20歳で即位したとき、院の異母弟A(女六条宮の長兄)が東宮に立ちました。しかし東宮は9年後病気で他界してしまいます。親王(院の異母弟B。女六条宮の次兄)は夭折した東宮の実の弟にあたる才ある人物で、通常なら彼が東宮になるはずでした。しかし前帝はこの親王を帝にはせず、実子(彰紋の兄)を東宮に立てたのです。これにより、前々帝(院や女六条宮の父)の妃Ⅱ(女六条宮の母)の方の一族は完全に傍流へと追いやられたことになります。前帝は実子を立太子させたあとも、親王(院の異母弟B)を有能さゆえに常に警戒し、圧力をかけ続けました。その結果、親王は出家してしまいます。前帝の強硬なやり方に憤った内親王(女六条宮)は自分の一族が帝位につけるように学策します。手始めに彼女は村上源氏の氏長者である貴族に降嫁します。そして自分の側近の女御や多くのツテを用い、前帝がひとりの女御との間に子をなすように仕向け、自分も同じ時期に子をはらんだのです。やがて女六条宮には和仁が、前帝のもとには泉水が生まれ、女六条宮はこっそり二人を取り替えます。前例でいくなら前帝の実子の東宮(現在の帝・彰紋の実兄)が即位したあかつきには、すぐ下の弟(つまり取り替えられた和仁)がその座を受け継ぐ(東宮になる)はずでした。しかし前帝は実子に譲位する際(帝である自分は院に、実子の東宮を帝に)、寵愛していた妻(妃Ⅰ。彰紋出産の折に死去)の子ども、つまり彰紋を立太子させたのです。
女六条宮は怒りを感じるものの、子の取り替えがバレてしまうため、表だって騒ぐことはできませんでした。そのため彰紋を廃太子させ、和仁を東宮に立てようと虎視眈々と狙っています。和仁は
女六条宮の寵愛を受け、自分こそが東宮にふさわしいと刷り込まれているため、彰紋を憎んでいるのです。
泉水の遅い元服・昇進
女六条宮にとって、泉水は本当の自分の子ではありません。むしろ、自分の野望のために取り替えてきた、憎い男(院)の息子なのです。女六条宮は憎しみの対象でしかない泉水に対して様々な手を使い、彼が出世したり目立ったりすることがないようにしてきました。そこで泉水は幼い頃から『お前は何の役にも立たないから、決して目立たず、人の邪魔にならないように生きなさい』と言われ続けたのです。女六条宮はまた、夫である内大臣にも『泉水は出世させないでほしい。あれは役に立たない子だから』と頼んでいました。そして自分の子では、泉水の異母兄(内大臣の別の妻との子)のほうを『とり立ててほしい』と願います。源氏一門の繁栄のためには嫡男の出世が一番だという女六条宮の言葉を疑いもせず、『内親王だった方がこんなに我が一族のことを考えてくれるとは』と内大臣は感動さえ覚えるのでした。
そのような事情があり、泉水の元服は一般よりは遅めの15の時に行われました。このとき従五位下に叙され、式部少輔となります。2年後、官位はそのままで位階のみ従五位上に叙され、翌年には正五位下、式部大輔となりました。家柄を考えるとだいぶペースの遅い昇進ですが、これも女六条宮の根回しのためです。それでも村上源氏の氏長者の息子なので、一応は殿上はできる程度の地位が与えられました。しかしこれも、ただ内大臣である父親と、参議で権代納言である兄の世間体のためでした。