カニムシ

かにむし

カニムシ（蟹虫）とは、鋏角亜門・クモ綱・カニムシ目に属する節足動物の総称である。

概要

尾のないサソリの様な姿をもち、ほとんどの種類が5㎜以下の微小なクモ綱動物である。世界中に広く分布し、3300種が知られる。

危険や障害物に触れるとすぐ後退する、その臆病な性情から「アトビサリ」とも呼ばれる。

土中や樹皮裏など目立たない場所に住む肉食性で、はさみの様な触肢でより小型の虫を捕食する。そのはさみに獲物を仕留める毒線があるものの、人間にとっては微量で無害である。

口（鋏角）に出糸能力があり、その糸を使って上記のような隠れ場所に巣を作る。

人間とほとんど関わりのない動物だが、しばしな人工環境の中に、書物を食害するチャタテムシを捕食することが知らされ、益虫として扱っている。

また、活動範囲は狭いが移動能力の高い昆虫の力を貸りて新たな場所へ進出する「便乗」という習性をもつ。そのおかげで分布も広くなっている。便乗の際は昆虫の脚を掴めるように触肢で挟むのが普通である。

一部の南米産カニムシではテナガカミキリという甲虫の背中に隠れ、移動しながらその体表に付いているダニを捕食するという、まるで食事付きの豪華旅客機に乗る旅人のような生活を送る。

余談だが、カニムシの英語名はPseudoscorpionであり、直訳すると「偽サソリ」、つまりサソリモドキという別のクモ綱動物の和名になっている。