概要
サイド3領内の密閉型スペースコロニー「マハル」を利用して建造された、出力8,500GWにも及ぶ巨大レーザー砲。
南極条約で核兵器や毒ガス、コロニー落としといった、人類そのものを滅ぼしかねない大規模破壊兵器の使用が禁止された事から、それに代わる戦略級兵器としてジオン公国軍が開発した。
宇宙要塞ソロモンが陥落したのと時を同じくして、ギレン・ザビ総帥の主導により、貧困層が多く暮らすコロニーであった「マハル」の住民300万人を強制疎開させ、わずか数日で完成させた。
建造による影響
言うまでもなくスペースコロニーは、スペースノイドにとっての「故郷」であり、曲がりなりにも『国家』を名乗って独立戦争を仕掛けたジオン公国の「国土」に当たるため、国家の最大の財産である「国民」と「国土」の双方にダメージを与えるソーラレイの建造は、焦土戦術――為政者が絶体に行ってはならない最低最悪の愚挙である。
つまりは、この『ソーラレイを建造しなければならない戦況』に達していたジオン公国は、ア・バオア・クーでの決戦を始めるまでもなく、ジオンの必敗は確実となってしまっていたのだが、ギレンはその事に気付きもしなかった。
兵器としての特性
直径8キロの巨大なスペースコロニーそのものを砲身としている事もあり威力は絶大な一方、使いどころは難しく、照射対象となる艦隊が縦一列に配置されていなければその破壊力を発揮出来ない。その為、予め照射対象の進行ルートを予想し、なおかつ相手に悟られないように発射しなければならず、その存在は実際に発射されるまでジオンの最重要機密として用いられた。
また建造期間の短さの問題から一度発射すると数日単位で冷却時間が必要となり、加えて建造され始めた時点で一年戦争も決着間際まで追い込まれていた関係上、一度しか使えないという最大の欠点があった。
更には後のコロニーレーザーと違いコロニーの移動が不可能なため、予め撃ってくると分かりさえすれば敵側は艦隊を散開するなど対応はいくらでも可能だった。
一年戦争終盤、緻密な計算によって放たれた一撃は地球連邦軍艦隊の半数を沈め、指揮官のレビル将軍をも葬り去った。しかし、本来の目的はギレン・ザビが和平のためレビルの元に赴いていたデギン・ソド・ザビ公王を殲滅するためであった。
が、これが口実となり、ギレンは実妹キシリア・ザビにより「父殺し」として抹殺される事になる。
なお、発射された直後にアムロ・レイは「連邦がソロモンで使ったやつ」と発言しているが、実際にはソロモン攻略戦で連邦が用いた「ソーラ・システム」とは根本から原理が違い、チャージを行えば再発射可能で、ミラーさえ壊れなければいくらでも使える。
グリプス戦役ではこれらの欠点を改良した「コロニーレーザー」が登場し、充填期間をおかずに連続発射が出来る等のアップグレードが行われている。