概要
白熱電球は、真空、または不活性ガス(アルゴンガスなど)を封入したガラスの球体状の管内にフィラメントと呼ばれる電熱線(電球の黎明期は炭素の線、現在はタングステンの線)が支持線を通して口金に接続してある。これに電流を流すと電気抵抗によるジュール熱で高温になる。すると、熱放射により光(可視光線と赤外線)が放たれる。これを灯りとして得る。不活性ガスに加えてハロゲンガスを封入すると発熱温度が上がり、発光効率がよくなる(ハロゲンランプ)。
しかし、熱放射による照明なので可視光への変換効率が悪く、寿命も短いため近年ではメーカーが生産をやめたり、省庁から生産終了せよとのお達しがでている。しかし、電球の口金とソケットは既に規格化されて広まっているので電球のソケットに嵌める事のできる蛍光灯や、LED照明が作られている。
白熱電球は一般の光源としては役目を終えても、完全には絶滅せず、その発熱を生かせる用途である暖房器具(こたつやハロゲンヒーター)や、下記のバイブラランプのような構造上電球でなければできない装飾といった特殊用途の器具として残るのではないかと思われる。実際に、可視光線と赤外線の両方を利用する作物のハウス栽培や養鶏(ブロイラー)では、電球は欠かせない存在である。
なお、電球を初めて実用化して特許を取得したのはイギリスのジョセフ・スワンであり、電球の発明者と言われているエジソンは、電球の性能の安定化と配電の事業化をした人物である。
電球の照明以外の用途
- 電気抵抗が大きい事を利用して、簡易的な抵抗器や突入電流などの過電流を防止する簡易的な部品として使われる事がある。
- 点灯時と消灯時で温度が大きく異なるため点灯時と消灯時で電気抵抗が異なる。この性質を利用して発振回路の利得を自動で調整して出力を安定させる用途にも使われることがある。
特殊電球
赤外線電球
熱放射による赤外線を出す事に特化した電球。自動車などの塗装の焼付けに使用される。また、寿命をある程度犠牲にした設計の電球と、精密に作られた反射鏡を用いて焦点部分を高温にして、工具を接触できない(又は困難な)対象物の熱加工にも用いられる(表面実装型の電子部品のはんだ付けや樹脂の熱加工など)。
閃光電球
電球内に酸素を封入し、マグネシウムなど可燃性に富む金属の線を入れ、フィラメントで点火して一瞬だけ強い閃光を出す。昔のカメラのフラッシュやプリントゴッコの原版焼付けに使われた。寿命は1回のみである。また、閃光を出す際に管が割れてしまうので樹脂でコーティングしてある。
ハロゲン電球
電球内に不活性ガスのほかに臭素や沃素などのハロゲンが封入してあり、ハロゲンが熱により蒸発したフィラメント(タングステン)と化合した後、再びフィラメントに付近に戻るとハロゲンと化合したタングステンが分離して再びフィラメントに戻る。これにより、一般的な電球よりフィラメントを高温にできるため明るく、またハロゲンサイクルにより寿命が長くできる。店舗のダウンライトや自動車の前照灯、懐中電灯の高性能品に用いられる。
変蜀電球
電球内に電力の違うフィラメントが入っており、スイッチなどで電流を流すフィラメントを切り替えると明るさが変わる電球。現在はトライアック(双方向サイリスタ)による制御で明るさが無段階に切り替えられるので家屋の照明として使われてはいないが、自動車の尾灯/制動灯に用いられている。しかし、自動車の灯火類もLED化によりその活躍の場は狭まりつつある。
バイブラランプ
ろうそくの炎の形に加工したフィラメントが中に入っており、外側には磁石が取り付けてある。これに、交流を流すとフィラメントが光りながら振動し、あたかもろうそくの炎が揺れているかのように見える。店などにあるオブジェクトの装飾に使われる。
シールドビーム
自動車や鉄道車両の前照灯そのものが電球になっているもの。
反射鏡、レンズ、フィラメントが一体化していている。「電球」であるため大量生産する規格品であり、デザインをする側にとっては足枷でも設計をする側にとっては規格品ゆえ設計が楽であり、また大きさの割に安く生産できるので、以前は自動車の前照灯としてよく使われていたが、保安基準の変更により照度が足りなくなってしまい、現在は新車用としては採用されていない。鉄道では保守が楽な事から古い車両の前照灯として使用するべく改造される事がある。・・のだが改造前と寸法が違う事からどこか無理のある改造になることが多く(端的なのが交流電化区間を走ることになった蒸気機関車の球切れ対策で取り換えたり、副灯で付けられたものが、自転車のランプ然とした安っぽいデザインであった)、また鉄道でも新車ではもっと明るく保守の手間のかからない照明が設置されるため(HIDやLED)、採用されていない。
「ひらめき」の記号
閃き、アイデアを示す漫画上の記号として用いられる事が多い。
発祥は海外アニメの『FELIX THE CAT』(1920年)と言う説がある。
70年代辺りまでの漫画では普及していた表現だが一旦廃れ、近年になって再び使われ始めた。
中でも「ロマンシングサガ」シリーズでの閃きが有名で、再普及のきっかけの1つと思われる。パリィ!
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電球ができるまで