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流星改の編集履歴2019/02/22 12:25:36 版
編集者:居眠狂四郎
編集内容:架空の世界とはいえ戦闘機になってしまった事がある。

流星改

りゅうせいかい

急降下爆撃機と雷撃機の特性を同時にあわせ持つ艦上機。愛知航空機によって開発され、艦爆/艦攻の統合機として高性能を示す。だが完成するころには空母はあらかた喪失しており、とうとう艦上機として活躍することは無かった。1個飛行隊だけが装備し、生産数も100機あまりと少ないが、のちに同様の設計思想を以て開発された米軍機A-1が戦果を挙げたことを考えると、狙いどころは決して間違っていなかったといえる。型番は「B7A」、米軍コードネームは「グレイス」。

本機はB7A1「流星」として設計されたが、試作機が種々の問題を抱えていたため制式採用にあたって設計に手が加えられた。

この手直しについての真偽は不明である。

一般に広く知られているところでは、試作機初飛行の際に飛行特性・機体強度等に問題があり、これを修正するため主翼翼型など多くの点に改修を施した機をB7A2「流星改」として制式化したというもの。

しかし流星の設計主務者であった尾崎紀男は自身の手記において、制式化にあたり流星に大規模な改修は行っておらず、軽量化のため一部の設計を変更したに留まるとしている。これと合致する指摘として「流星の機体略号は量産型含めB7A1であり、B7A2は発動機を誉二三型に変更した性能向上型の機体略号である」という主張がある。

急降下爆撃機と雷撃機

太平洋戦争の頃の艦船は著しく防御力が向上しており、従来の急降下爆撃機のペイロードが許す規模の爆弾では、敵の主力艦艇(戦艦など)に対しては威力不足であるとの懸念が生じていた。それゆえ、爆弾の大型化による威力増強のため、艦爆にはより高速度の降下、大重量の爆弾懸架に対応しうる機体強度向上とエンジンの高出力化が求められた。

一方で雷撃機についても命中精度および生存性の向上のため、高機動性と高速化が求められていた。

ここに両機種の要求性能は接近し、

・機種統合による量産効率の向上が期待できる

・運用機数の限定される空母においては、作戦遂行能力の柔軟性という観点から艦載機がマルチロールであることは大きな利点である

等々この設計思想の有するメリットが確認されるに至り、艦攻/艦爆統合機種開発の流れは確固たるものになった。

流星の特徴

搭載能力

機体下部に爆弾倉を備えているが、これには空気抵抗の増大を防ぎ高速化に寄与する狙いがある。これはTBF「アベンジャー」にも共通する特徴だが、流星は魚雷を機外に搭載しなければならない制約(=爆弾倉が小さい)がある。

それでも速度性能は九七式艦上攻撃機を大きく上回っており、さらに大型の魚雷を搭載することが出来る。魚雷の最大搭載能力は1060kg。

また急降下爆撃機としても、従来の九九式艦上爆撃機を上回る。

従来機の標準だった250kg爆弾を2発搭載できる。さらに大型の500㎏爆弾や800㎏爆弾を1発搭載でき、もちろんこの爆撃過荷状態で急降下爆撃が可能である。

エンジン

紫電改四式戦闘機と共通の「誉」(12型)を搭載している。

このエンジンこそが、本機が達成した大幅な性能向上実現の主因である。

誉は初期生産型で1850馬力を発揮しており、これは従来機の約2倍の出力となった。

しかし誉は日本の工業力の現実や戦域の後退による資材不足といった国情を無視し、純粋に技術の限界を模索したエンジンであった(当時の航空機エンジンとしては最高レベルの出力エンジン径比、出力重量比、出力排気量比を実現していた)ため、素人工による代用材料を多用した大量生産においてその品質を維持することは不可能であったし、事実量産型の誉では性能の額面割れが恒常化していた。

実例として、烈風試作一号機に搭載された量産型の誉は、エンジン不良を主張した三菱の実測値で最高出力1,300hp/6,000mを記録している。

ともあれ従来機に較べて、このエンジンの採用により流星が出力の向上を見たのは確かであり、それまで省略されていた防弾にも配慮がなされるようになり、(特に日本の艦上攻撃機・急降下爆撃機として)はじめて標準で防弾装甲が装備された。

防弾装甲

ただでさえ重い魚雷を搭載し、1000馬力級のエンジンで雷撃を達成しなければならない九七艦攻において、重いだけの防弾装甲は忌避されていた。

しかし戦況が悪化、技量甲と呼べる搭乗員がめっきり減る中で従来の思想は淘汰され、搭乗員の生存性が次第に考慮されるようになっていった。この流れは零戦後期生産型などにも共通する。

空力

本機の外見的特長の最たるものは、日本軍機としては比較的珍しい「逆ガル翼」の採用である。

爆弾倉を装備するためには、機体設計は中翼配置にせざるを得ないのであるが、一方紫電の主脚問題に見られるように、中翼配置の機体設計では主脚が長くなる為強度確保や翼内スペースの節約が難しい。

そこで本機では、主翼を逆ガル翼(前方から見ると主翼形状がWの字に見える)とし、その最下点を支点とした引き込み脚を装備することで主脚長の短縮を達成し、艦載機としての主脚構造強度の確保と翼内燃料タンクの増積に成功している。

逆ガル翼といえばF4Uが想起されるが、こちらは前方視界の確保、失速挙動の安定といった「艦載機」としての設計の要点がないがしろであった為「艦載機としては不適」と判定されてしまった。

対して流星は、離着陸性能に問題があったとする資料が残されていない。

これは流星がセミ・ファウラー式フラップ、エルロン・フラップを装備していたことから、短距離離着陸性能に関する海軍の仕様要求を満足すべく盛り込まれた機軸が、十分な離着陸性能を提供していたためであると思われる。

固定武装

最後尾の乗員が7.7mm機銃あるいは13㎜機銃を受け持つほか、主翼に20㎜機銃を装備している。艦攻としては明らかに大火力である前方銃は、雷撃/爆撃後の身軽な機動性を生かした対戦闘機戦闘や対地・対艦機銃掃射に使用されることを想定している。

過ぎ去りし流星(改)

とはいえ、その登場は遅すぎた。

生産が始まる頃には空母はほぼ全滅しており、わずかに残る艦上での写真も、訓練の際に撮られたもののみ。生産も試作機を含んで114機にすぎない。

このような数では本格的な飛行隊編成などもおぼつかず、編成された第七五二海軍航空隊(の攻撃第五飛行隊)も本土決戦に備えて温存されていので活動は低調だった。45年5月からは木更津より空母機動艦隊に向けて数度の出撃があったようだが、戦果も定かではない。

なお、艦攻である流星は11.5m×14.4mと、九七艦攻より若干全幅が小さいとはいえ艦爆としてはかなり大柄な機体である。

(ちなみにゼロ戦では五X型、三X型で全幅9m、二X型、一一型で全幅12m)

量産における合理性を重視し直線基調なアメリカの機体と異なりスタイルは流麗で、松本零士は作中で『異世界から飛んできた、美しい鳥のよう』(「流星 北へとぶ」)と表現している。実際に流星はTBFと違って設計者の美意識すら感じさせるような曲線で構成されており、米軍コードネームも「Grace」、日本語でいうところの優雅・優美を意味している。

流星の現在

流星は1機のみが現存しており、アメリカ、スミソニアン博物館の倉庫に分解された状態で保管されている。

また2013年2月25日、熊本県において流星の風防ガラスが個人保管されていたことが明らかになった。

※このニュースを紹介していた西日本新聞の記事では流星を戦闘機と表記していたが、これは誤りである、のだが、その流星が戦闘機になってジャップ・ジェロをブチ落としてしまったシーンのあるアニメがあったりする

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