野原ひろし_昼メシの流儀
のはらひろしひるめしのりゅうぎ
俺は概要だ 誰が何を言おうと概要なんだ
『月刊まんがタウン』にて連載中のサイコスリラーグルメ漫画。主人公は自分を野原ひろしだと思いこんでいる一般人であり、野原ひろし本人とは全くの別人。
主人公が野原ひろしになりきり、様々な料理の食レポに挑むという内容。
彼はひろしを敬愛するあまり、常にひろしを演じるようになり、終いには自分のことを野原ひろしと信じて疑わなくなってしまった。それだけに留まらず、自分の妻と子どもを日常的に「みさえ」「しんのすけ」と呼ぶなど徹底してひろしになりきろうとしている節があり、何らかの精神疾患の疑いがかけられている。
彼のこの奇怪な行動は、温かい家庭を築き理想の父親として高い人気を誇る野原ひろしへの強い憧れから来ていると思われるが、詳しい原因は不明。
そのあまりにも前衛的な内容がインターネットを中心に話題となったことで人気が高まり、それを受けて近くアニメ化・実写ドラマ化されることが判明した。近年のアニメによる経済効果は高く、その意味でも期待が高まっている作品と言っていいだろう。
し「かーちゃん!この人とーちゃんじゃないゾ?」
み「あら?ほんとだわ・・・ごめんなさい!人違いだったみたいです!」
し「それにしてもとーちゃんそっくりだゾ!」
本物の概要だぜ 本物の概要だよ
・・・というのはウソで、本作は正真正銘『クレヨンしんちゃん』のスピンオフ作品であり、野原ひろしを主人公としたグルメ漫画。
何故上述のような扱いをされているのかというと・・・
- 本家の『クレしん』に似てるんだか似てないんだかよく分からない画
- 作中でしんのすけとみさえが登場するシーンがあるものの、全身絵は無く、セリフと足下の描写のみで登場。しかし、しんのすけについては原作のデフォルメされた頭身ではなく、年相応の5歳児の少年の足が描写されているため、かなりの違和感
- 部下の川口だけは原作通りの描かれ方だが、性格は毎回微妙に変化しており安定しない。
- 原作のひろしの場合、昼食は基本みさえの愛妻弁当であり、外食に行く機会はそこまで多くない(ただし、原作でもよく会社近くの寿司屋を訪れているようなセリフがある。アニメではひろしが昼食代に悩んだり、川口やユミと一緒にカレーうどんを食べるエピソードもある)。
- と言うかひろしはいわゆる「千円亭主」であり、頻繁に外食する余裕はないはずだが…。
- 「オレの名は野原ひろし 愛する妻と2人の子を持つ〜」→シロは家族ではないのか
- ネットを少しでも齧ったことのある人から見れば、あの漫画を意識していることが明らかで、そのために原作から設定や解釈に違いがある
- ひろしが出された料理に対して面食らう描写(通称モアイ顔)など、同じ構図のコマがほぼ毎回登場する。
- ストーリーがワンパターン。グルメ漫画である以上、話が一本道になりがちなのは仕方ないにしても、起承転結全ての構成や演出がほぼ同じで、料理と店以外ほとんど変化を感じられない。
- そもそも主人公がひろしである必要性も不明。ひろしの性格から鑑みても、食に関して流儀など細かいことにはあまり拘らないと思うが…。
- 原作で描かれた「食の流儀」的なものは、寿司ネタの鮮度を見抜く審美眼と、たい焼きの食べ方(尻尾からアンコを吸って食べる、という変わった食べ方を好み、みさえに呆れられていた)くらい。
- なお原作では、枝豆・肉じゃが・刺身が「三大好物」。他は酒のアテにするような癖の強いものを好む以外、特に拘りや好き嫌いは無い。
- スピンオフであることを抜きにしても、グルメ漫画の割にそこまで食欲がそそられるわけでもない
- オリジナルキャラクター「遥」の存在も微妙。ひろしを「私のバイト先を調べてねちっこくセクハラしてくるストーキング客」と思いこみ嫌悪する、という必要性に疑問符の付くキャラクター。
…など、本家クレしんファンからしたら原作設定との違いや、違和感ばかりの描写が連発したほか、グルメ漫画としてもイマイチと評されることが多く、その上ひろし人気と昨今のグルメ漫画ブームに便乗してやろうという下心が丸見えであったため、連載開始時から評判は芳しくなかった。
その後Amazonのレビューやツイッター上で本作がボロクソに叩かれていく中で、「あの漫画の主人公はひろしのニセモノ」「主人公はひろしに憧れていて、一人妄想に耽っているだけ」などといった漫画の内容を皮肉ったネタが流行るようになり、いつからか自分を野原ひろしだと思いこんでいる一般人というネタが広まり、現在に至る。
特にカツ丼の香りを嗅いでいるコマと「俺は野原ひろしだ 誰が何を言おうと野原ひろしなんだ」と自己暗示をかけているかのようなコラ画像は大変インパクトが強く、BB素材など様々な方面でネタにされている。終いには、某クソ漫画(またお前か)で盛大にいじられたことにより、完全にネットのオモチャと化した。
一応フォローしておくとブログなどで普通に評価している読者も見られており、面白いと評価されている話も無いわけではないので、クレしんである事を意識しなければそこそこ楽しめる。
原作設定との違いに違和感があるのなら、別人や並行世界モノだと思って読めば、先入観や違和感を感じずに楽しめるという風潮は、ファンの間で近年まれによくある。
もっとも、そう思われてしまう時点でスピンオフとしては明らかに失敗なのだが…。