概要
1997年7月11日にセガサターン用ソフトとして発売された。
多彩な武装を適材適所に使い分けて進攻する点が当シリーズ作品の持ち味とされている中、『V』は一強と呼んで差し支えないほどオールマイティな武装が存在し、他が軒並み霞んでいる傾向にある為か、「ゲームバランスに難がある」という意見もある。一方で演出面においては概ね高い評価を得ており、雑誌セガサターンマガジン内のユーザーランキングでは6週連続で1位を獲得した。
翌1998年5月21日にはデジタルビュアーやタイムアタックモード等の新要素を追加した『PerfectSystem』がプレイステーション用ソフトとして発売された。一時は品薄・プレミア化で中古相場が高騰する事もあったが、『PerfectSystem』のアーカイブス化により、比較的入手が容易となった。アーカイブス版は、2010年2月24日にはテクノソフトの版権を引き継いだ有限会社トゥエンティ・ワンより配信されていた。セガへの権利移動の関係からか一時期配信終了していたが、2016年11月22日にはテクノソフト版権をさらに引き継いだセガにより配信再開されている。
後年に発売された続編や、一部『V』スタッフが製作に関わっている二次創作品の惨憺たる評価から、この『V』が事実上のシリーズ完結作と見做す向きもある。
ちなみに本作は当初、メガCD用ソフトとして開発されていたらしい。
前作までは宇宙の果てでの異星人同士の戦いを描いていたが、本作の舞台は太陽系・地球となっており、前作に因んだ技術により生まれた人工知能と地球人類との戦いがつづられている。
BGMは『ハイパーデュエル』や『ブラストウインド』等でもお馴染みの九十九百太郎が担当。
ゲームシステム
オーバーウェポン
後述する補助兵器クローを装備している時に行える強力な攻撃。
現在選択している武装を一時的に強化し、攻撃力の増強や攻撃範囲の拡大等を行う。
ハイテンポボーナス
敵を素早く破壊する事で最大16倍のボーナス点が得られるシステム。
対象となる敵には耐久力を示す円形のマーカーが表示され、耐久力の低下と共にマーカーも縮小してゆく。
倍率が変化する時間は、敵の耐久力や出現状況によって異なり、難度の高い状況であるほど遅くなる。
スクラッチボーナス
敵や敵弾、地形を寸前で避けると加算される。
主役機体
RVRシリーズ
RVRとはRefined Vasteel Replicaの略で、「Vasteel-Technology」を利用した超高機動小型戦闘機の開発コード。
表向きは「Babel」及び「Guardian」破壊作戦の為に開発された事になっているが、実際にはさらに以前から秘密裏な研究開発が行われており、「Guardian」の反乱を契機に表に出されたものと考えられる。
RVR-01 Gauntlet
ステージ1~4まで使用する機体で、「Vasteel-Technology」を利用したと言うよりは兵器としての「Vasteel」の設計をそのまま模倣している。カラーリングは白地に青。
前作の自機である「FIRE LEO-04 RYNEX」と外観が似ているが、それとは装備が一部異なる。
全部で7機存在するが、「Guardian」の地球上での中枢である人工島「Babel」に到達した時点でセネス機以外の描写は無く、恐らく撃墜されたものと推測される。
装備している左右の銃砲は普段はカバーの中に隠されており、攻撃時に開くのだが実際のゲーム中では閉じたまま。
他に以下3種のバリエーションが存在し、『PerfectSystem』では隠し機体として使用可能になっている。
RVR-01E
カラーリングはグリーンの量産型。攻撃力が「Gauntlet」より若干劣るが獲得スコアが高めになっている。
ステージ5で唯一バリエーションとして背景に登場する。
RVR-01HiS
カラーリングは赤。カラーリングだけ見れば「RYNEX」に似ている。
移動スピードが「Gauntlet」より速い。
RVR-01Ex
カラーリングは黒(しかしどう見ても紫)。設定上は『量産性を無視し、出来る限り機体性能を上げた』モデルで、確かに攻撃力が「Gauntlet」より上がってはいるが、移動スピードに難があり、調整で100%にしても遅い。
この機体に限り前作同様クローは2つしか装備できない。上級者向け。
これら隠し機体も使用可能なのはステージ4までとなっており、ステージ5で「Vambrace」に強制換装される。
RVR-02 Vambrace
後述する地球の技術と異星の技術を結び合わせて生み出された機体。ステージ5の冒頭にて、「Gauntlet」のコックピットブロックをこの機体に空中換装するシークエンスがある。登場時のキャノピーの色は赤で、換装の際に入れ替わりにパージされている。
『完全解明されていない機体の複製』という「Gauntlet」の矛盾した開発プランに反対する意見が承認され、本来のRVR計画である『「Vasteel-Technology」を利用した超機動小型戦闘機の開発の達成』の為に「地球の兵装技術」と「Vasteel-Technology」を緊密に融合させて設計開発した機体。量産性に大きい問題がある為か、作中1機しか登場しない。
この機体への換装後はツインショットが前作のブレイドに、バックショットがレールガンに変更される。
Brigandine
RVRシリーズの支援強化を目的に開発された、巨大な接合ユニット。先述の換装時、「Vambrace」はこの「Brigandine」と接合した状態で登場し、その強大な推進力を以って重力圏脱出後、宇宙空間での対艦戦に突入する。
このユニットは被弾面積が広くなる上に機動性にやや難があり、武装も2種に限定されるが、接合している間は大幅に火力が向上し、強力なシールドを搭載している為多少の被弾や敵機との接触があっても墜ちる事は無い。
シールドゲージが尽きると接合が解けてパージされ、「Vambrace」単体での駆動へ切り替わる。設定上はRVR-01でも合体可能。
パーフェクトシステム版のタイムアタックモードでも選択できるが、ある難易度を設定して本編をクリアしないと使えない。
武装
初期装備となるツインショットとバックショット以外はアイテム取得で使用可能となる。初期装備以外は、使用中にミスすると逸失する。前作までは武装の切り替えボタンが一つだった為に順送りでしか選択できなかったが、今作では順送り・逆送りが2つのボタンに設定されている他、5個のボタンに直接武装を割り振るダイレクトマッピングが実装された為、操作性が向上している。
ツインショット
通常の攻撃手段。2発の弾を前方に射出する。換装後のブレイドは命中すると爆風を生じる、刃物状の弾を発する。クロー装備時は前方斜め上下にも射出される。オーバーウェポン発動時には一直線のビームになる。「Brigandine」接合時は恒常的にオーバーウェポンを使用可能。
バックショット
前方後方に1発ずつ弾を射出する。換装後のレールガンは前方攻撃はそのままに、後方へはレーザー状の弾を放つ。オーバーウェポン発動時は後方への攻撃がイナズマ型のビームに変わる。「Brigandine」接合時は後方から一部が屈折する6本のレーザーが放たれる。前後移動で屈折の角度を調整可能で、後方のみならず、ほぼ画面全体をカバーできる。
ウェーブ
ワイドショットを連射していた過去作品のものと異なり、空間干渉による帯状の範囲攻撃を行う。地形を無視して攻撃できる所はこれまでと同様。オーバーウェポン発動時は攻撃範囲が上下に拡がる。
フリーレンジ
選択すると、四角錐状の照準が展開され、攻撃対象が照準内に入ると自動でレーザーが照射される。ショットボタン解放時には照準の角度を調整可能で、好みの向きでショットボタンを押すと角度が固定される。照準には自期からの距離に応じてRange1~3が設定されており、自機により近いRange内であるほどレーザーの威力が増す。射程、範囲、威力の全てを高い水準で備えており、熟練すればこれのみでほぼ全てが事足りてしまう、本作のバランスブレイカー的な武装である。一部攻撃対象として認識しない物体がある。オーバーウェポン発動時は照準が青く変色し、レーザーがイナズマ状になる。
ハンター
当シリーズのプレイヤーならお馴染みの高速連射ホーミング光弾。フリーレンジ同様使い勝手はいいが、他武装と比べて威力で劣るのも従来と同様。オーバーウェポン発動時は光弾が針のような細長く鋭い形状に変化する。
サポートアイテム
クロー
アイテム取得により、CRAWと呼ばれる光球が現れ、自機の周囲で回転する。RVR-01Exを除き最大3つ装着可能で、敵弾からの防御と各種武装の強化、通常攻撃の補助射撃等を行う。また、後述のナノマシンを陽子崩壊させて莫大なエネルギーを得る事により、オーバーウェポンの使用を可能にする。使用中はクローが青→緑→黄→赤の順で変色・縮小していき、全て赤になるとオーバーウェポンは使用不可能となる。更に赤の状態でクローが被弾すると消失してしまう。
尚CRAWとはConstituted Ray Art Weapon unit=人工光学構成兵器の略で、おおよそ80兆にも及ぶナノマシン(又は微生物に近い物体)の集合体である。このナノマシンは自己増殖するため、オーバーウェポンを使わずにいると先の逆順で徐々に変色し、再度使用可能となる。自機を停止させたり攻撃を止めると、増殖がより促進される。
装備した状態でミスをすると画面内で飛び回るので復活時に回収可能。難易度Kidsではクローをアイテムキャリアが頻繁に運んでくる上、回復速度がやや早めになっている為、他の難易度よりオーバーウェポンを多用できる。
シールド
3回まで敵の攻撃を防ぐ。取得時の色は青で、被弾の度に緑、赤へと色を変え、3回目には消失する。
1UP
残機が1機追加される。
Ishtar edge
前述のナノマシンを搭乗機体に作用させて発動する機能の総称。取説にこれに関する記述はなく、セガサターン版オープニングムービーや、デジタルビュアー等で閲覧可能な解説中でしかその名を確認する事が出来ない概念である。
その解説には、武装として使用した場合と、RVRの主機関に対して使用した場合が記されている。
しかし、前者の『Craw-Unitで生成されたナノマシンを、自機の周囲に薄膜状に展開することにより、弾性兵器の防御と近接する物体の排除を可能とする攻的な防御形態となり、また任意のタイミングで薄膜を陽子崩壊させることにより、前方広範囲への有効な攻撃手段へと移行させることも可能な特殊武装として機能する』という状態が作中で認められない為、こちらについては設定上は存在するかもしれないが、ゲーム中要素としての実装は見送られた可能性がある。
一方で後者の『Craw-Unitのナノマシンを過燃推進材として0/1相転移炉内に直接大量注入することにより「Brigandine」に匹敵する程の莫大な推進力を得る』状況は、作中のある場面で確認が可能。ただし現状では陽子崩壊の影響による機体への浅からぬダメージが認められている為、あくまで実験としての使用に留まっているとの事である。
RYNEX
『サンダーフォースⅣ』のの自機であり、本作の争いの遠因。
前作エンディング中に半壊したこの機体は、所属の銀河連邦に帰還する事なく、宇宙を漂流する。やがて太陽系に漂着し、西暦2106年に冥王星外部にて地球人に接収された。残骸同然でありながら、地球人類に新たな技術革新を促すほどのオーバーテクノロジーが秘められたその物体は「偉大なる者達が作りし鉄塊(Vastian's steel)」を略し「Vasteel」と名付けられる。その異星の技術「Vasteel-Technology」の更なる研究の為、2139年無人人工島「BABEL」と管理システム「Guardian」が造られ、人の手を離れ研究が進められるが、人工知能である「Guardian」がいつからか自律意思を持ち、他惑星への移住計画と言う名目のもと、過剰な武装を搭載した船団の生産を始める。そして2150年人類に対し突如宣戦布告、先の武装船団を以って、全人口の3割を死に至らしめる程の凄惨な武力行動を起こす事となる。
あるステージで「Guardian」の手駒として登場する際は「Vasteel-Original」と呼称され、修復を済ませた姿で現れる。前哨戦となる単独形態では、前作を踏襲した各武装を使用し、自機との位置関係によりそれぞれを使い分けて攻撃する。サンダークローが無い為か、切り札的な武装だったサンダーソードは使用しない。修復の際、新たにユニット接合機能が追加されたのか、本戦ではダメージを受けるごとに巨大な建造物を召喚し、従来とはかけ離れた威容を形成していく。
プレステ版新規オープニングでは、接収の時点で「RYNEX」のコックピットブロックが消失している様子が描写されている。前作エンディングでは、パイロットたちの生死については明確な答えが出ない幕引きだったが、これによりエンディング後に機体から分離し、脱出した可能性が生じている。
Thunder Force
当作品に於いてサンダーフォースとは作品タイトルだけではなく、作中の「Gauntret」7機によって編成された、「Babel」及び「Guardian」鎮圧を目的とする特殊戦闘部隊の意味も持つ。
特殊戦闘部隊222、通称Thunder Forceは「Guardian」が反乱を起こした翌年となる西暦2151年に結成、部隊長はセネス・CTN・クロフォード大尉である。
セガサターン版とプレイステーション版で変更・追加された要素
- オープニングデモが一新されており、プレステ版はまずVasteelとの遭遇からGuardianの反乱勃発までの経緯が語られる。続いてセガサターン版オープニングデモで使用されたBGMに乗せ、特殊戦闘部隊222が出撃する様子が描かれる。なお、サントラに収録された幻のオープニングデモの曲とプレイステーション版のオープニングデモ前半は曲が異なる。
- 新たにタイムアタック(ボス連戦)・デジタルビュワーが追加。デジタルビュワーではセガサターン版ではPCで読み込まないと閲覧できなかったテキストやイメージ画像などが閲覧できる。
- 各メニューを起動する場合は読み込み時間に文字列が表示される演出がある。
- エンディングは全てムービーになっている。脱出のシーンはサターン版を元に作り直されている。
- ステージ5クリア後に、ステージ6導入部を描いたムービーが追加されている。また、選択した難易度によっては、エンディング後にプレイステーション版専用のスタッフロールが流れる。
- セガサターン版はCD-DAだが、プレイステーション版はCD-ROM XAになっている。
その他
タイトルロゴデザインがこれまでのタイプから変更され、横並びかつ斜体で「THUNDER FORCE」になった。また、初代からⅣまで使われたカタカナの「サンダーフォース」ロゴは使われていない。
ラスボス戦BGM「The Justice Ray Part.2」は荘厳かつ熱い曲である事で知られる。一方で本作中にも過去のサンダーフォースシリーズにもない「Part.1」は一体どこに存在するのかだが、同社からセガサターン用タイトルとしてVの1つ前にリリースされた「ブラストウインド」のラスボス曲が「The Justice Ray(Part.1)」であり、九十九百太郎氏が手掛けた楽曲「Justice Ray」シリーズの元祖となる。
ステージ「No Blue」の「Legendary Wings」はステージ開始からボス戦まできっちり1ループになっている(ノーミスで進めた場合)。また、曲の展開とステージの展開がシンクロもしている。これは開発中において偶然の産物だったらしく、正確にはプログラマーがボス戦までさらにシンクロするようにステージの微調整を行っているらしい。
ステージ5のBGM「Steel of Destiny」は元々メガドライブで「Ⅴ」が開発されていた頃に生まれた曲で、当初はメガドライブの音源で作られていた。現在は開発機材や記録メディアの喪失または存在したとしても開発機材と記録メディアの経年劣化によりそのデータは復元不可能の可能性があるとのことらしい。
テクノソフト純正のサンダーフォースはこの作品でテクノソフト倒産やスタッフの離散によって途絶えた事や舞台が地球になった為、前作『Ⅳ』の第三勢力「ファウスト」の謎や銀河連邦のその後が現在でも明らかになっていない。(あくまでもテクノソフト公式の設定では、の話である)
だが、セガサターンより前にメガドライブで『Ⅴ』の開発が行われていた際のストーリーは「銀河連邦内で政府と軍部が対立した内乱の物語」だったそうである。少なくとも銀河連邦も一枚岩ではなさそうである。
なお、幻のメガドライブ版『Ⅴ』の主役機は『Ⅲ』の主役機「FIRE LEO-03 STYX」を改造した「STYX改」だったそうである。
この幻のメガドライブ版『Ⅴ』は、どうやらセガが版権と共に引き継いだテクノソフトが保有していたソフト開発資料(データ?)の中にあったらしく途中まで作られていた事が、ニンテンドーSWITCH版でIVの移植を行ったM2(ゲーム会社)の堀井社長がTwitterでわずかに明かしている。
関連イラスト
関連タグ
セネス・CTN・クロフォード ガーディアン(サンダーフォースV)
DeepPurple IronMaiden A3 ArmamentArmedArm
Guardian'sKnight VasteelOriginal FIREREO4
風の丘公園にて ? 同じテクノソフトのゲーム。これに登場するヒロインが読んでいるSF小説の内容がサンダーフォースⅤである。