サンダーフォース
さんだーふぉーす
横スクロールシューティングとしての知名度が高い当シリーズだが、第一作目はゼビウスやタイムパイロット等の影響が窺えるトップビューのシューティングとして産声を上げた。続編の「Ⅱ」で、当時ゲームセンターを席巻していたジャンルでもある強制横スクロールシューティングのステージを導入し、「Ⅲ」以降は横スクロールに一本化している。
局面に合わせ自由に武装を使い分けるシステムが特徴である。またシリーズを通し画面演出や音響も高く評価された。
ストーリーは、第一作目から「Ⅳ」にかけてはオーン帝国の侵略に抗う銀河連邦パイロット達の奮闘を辿り、「Ⅴ」は太陽系に漂着したオーバーテクノロジーがもたらした、地球人と人工知能の悲しい戦いを描く。
ナンバリングタイトルとしては最新作になる「Ⅵ」と、当シリーズに所縁がある同人作品「ブロークンサンダー」は、それぞれに浅からぬ問題を抱えており、手に取ったプレイヤー達を落胆させた作品として知られている。
サンダーフォース
1983年にX1版が発売され、以降にPC-88等のPC機種に移植された。
小惑星を改造した、オーン帝国の超巨大基地「ダイラデイザー」を破壊する為、自機FIRE LEOは旅立つ。ダイラデイザーは普通の惑星を装っている為、偽装された惑星表面で戦う前半パートと、直接基地を叩く後半パートに分かれている。
自機は対地・対空ショットを備えており、8方向（機種によっては4方向）に任意にスクロール可能となっている。地表に点在する指定目標「シールドベース」を破壊すると、偽装が解けてダイラデイザーが正体を現し、中枢部を破壊すればステージクリアとなる。
本作は貧弱な8ビット機でスクロールを行っていることや、X1版のゲーム開始時に音声合成で「サンダーフォース!」と発するなど、当時のマシンスペックの限界に挑戦した仕様になっている。ステージを自分で作成可能なコンストラクション版もリリースされた。
後に主幹開発者が、制作当時の様子や本作の細かな設定等をネット上で語っている。⇒参考(外部リンク) こちらによれば当初は「サンダーカノン」と命名されたが、社長の一声で「サンダーフォース」に変更されたとの事。
2021年現在でも複数のPCでリリースされた為か、現行のPCやゲーム機に復刻が行われていない。
なお、基本的に国産PCでリリースされた為に海外版が出たという話は無い。
サンダーフォースⅡ
1988年にX68000用ソフトとして発売。翌年に「サンダーフォースⅡMD」と名を改め、メガドライブに移植された。
この時点で前作を手掛けたスタッフは既にテクノソフトから離れていた為、その後に繋がるストーリーは今作で膨らましたとされている。
惑星を消し飛ばすほどの火力を有する、帝国の戦闘要塞「プレアレオース」を撃破する為、FIRE LEO-02 EXCELIZA を駆る。
前作を踏襲した8方向スクロールステージではマップに複数配置されている指定目標「ディフェンサー」を破壊し尽くすとクリア、新規に導入された横スクロールステージでは奥地に待ち受けるボスを撃破すればクリアとなり、これらが交互に展開してゆく。
シリーズを象る、豊富な武装を自在に切り替えるシステムは本作から始まっている。
後発のメガドライブ版は難易度調整の他にグラフィック変更、一部の武器の差し替えやステージの削除・変更など、大幅な改変が行われている。ただ、X68000版に比べると難易度が落とされたという話なので、難易度としては高い部類に入る。ちなみに難易度ビギナーはあくまでも練習用難易度らしく、クリアしてもそこで終了となる。
海外でリリースされたメガドライブのアーキテクチャを利用したアーケードシステム「SEGA MEGA-TECH SYSTEM」の専用カートリッジで「サンダーフォースⅡ MD」がラインナップされていた。恐らく、後述の「サンダーフォースAC」よりも先にアーケードデビューした形となる。
なお、海外版はタイトルにMDが付かない。実質的にサンダーフォースⅡとしている。
サンダーフォースⅢ
1990年にメガドライブ用ソフトとして発売。同年アーケードに「サンダーフォースAC」として逆移植を果たし、更に翌年スーパーファミコンにも「AC」をベースに「サンダースピリッツ」と言うタイトルで移植されている。
長期の争いで疲弊した連邦が、状況の打破の為にオーン帝国の本拠地となる帝星へFIRE LEO-03 STYXで乗り込み、争乱に終止符を打つストーリーとなっている。
本作から8方向スクロールステージが撤廃され、純然たる横スクロールシューティング作品としての歩みが始まる。また、前半のステージ選択や機体スピードの任意変更が可能になった。
なお、本当はこれでサンダーフォースという物語は完結する予定だった。
サンダーフォースⅣ
1992年にメガドライブ用ソフトとして発売。北米版タイトルは「Lightening Force」
FIRE LEO-04 RYNEXがオーンのサブシステム「ヴィオス」、更に新たな敵勢力「ファウスト」と対峙する。
前作を更にブラッシュアップした内容となっている。FM音源を駆使したギターサウンド、更に緻密に描かれたグラフィックが評判となったが、一方でノーミスを前提としたかのような敵機の異様な硬さが評価に陰りを落とした。
サンダーフォースV
1997年にセガサターン用ソフトとして発売。翌年追加要素を添えた「PERFECT SYSTEM」がプレイステーションに移植された。
舞台は宇宙の果ての銀河連邦から地球に変更され、前作に由来する技術が発端となった争いが描かれる。機体は太陽系に漂着した謎の残骸を基に造られた戦闘機RVRシリーズを操る。
ドット描画からポリゴン描画にシフトしつつも、従来と変わらず2Dの操作性なのが特徴。
セガサターン専門雑誌の読者投稿式ランキングで長期1位を獲得した。しかし取得してしまえば切り替えが不要になるほど強力な武装のフリーレンジが存在するなど、バランス面に懐疑的な意見も聞かれる。
後にソフト開発から社が手を引いた為、テクノソフト制作のサンダーフォースとしては最後の作品となった。
サンダーフォースⅥ
2008年にプレイステーション2用ソフトとして、テクノソフトの版権所持者から承諾を得たセガより発売されている。開発元は発売当時ガルチ代表だった茶谷が否定してるから現在のところ不明が日本のサンダーフォースファンの主流の見解であるが、海外のシリーズファンやWikipedia英語版などでは、様々な証拠からガルチ（現:カヤック秋葉スタジオ）としている。
11年ぶりの完全新作にして、セガのシューティング復権プロジェクトの第1作目として鳴り物入りで発売されたが、当プロジェクトがこの1作を限りに続報も途絶え事実上の打ち切りとなっている時点で、ユーザーから評価はお察し願いたい。
この作品を語るにあたり特に取り沙汰されたのは、ゲームとしての出来の優劣より、プロデューサーを務めた岡野哲による作品の私物化に関するものだった。判り易い例で、IIIのオーン皇帝のリデザインと言いつつ、同氏による漫画「横綱大社長」からのキャラクターを無理矢理ラスボスにした事や、ゲーム中言語を氏の趣味であるマイナーなアジア系言語にした事などが挙げられるほか、作曲陣の豪華さを売りとしながら、TAMAYO本人が、本作発売前にイベントで公言した作業後に聞くまでサンダーフォースのBGMを聞いたことがなかったに代表される、シリーズの作風に合わないBGMの採用や、古川もとあきが自身が版権を持つライセンスフリー楽曲集からBGMを提出したと明言していたにもかかわらず、本作のネガキャンに乗る形でこれを撤回し、同人ゲーム製作者相手に被害者面で営業していたという、古川と係争中のピクセル代表の佐々木英州による証言があったり、一部機体のデザインをデザイナーに無断で使用していた疑いも出ていたりした。
なお、シューティングゲーム専門誌『シューティングゲームサイド』のVol.5でサンダーフォース特集が組まれた際には、少数の本作に好意的なSTGユーザーに対する、言論弾圧じみた行動を行っていたシリーズユーザー側への苦言が掲載予定であったが、締め切り直前にトゥエンティ・ワンから他社制作を理由に本作の掲載を拒否された（懐かしパーフェクトガイドvol.5）ため、本作のみ収録されておらず、のちに電子版ではサンダーフォース特集自体カットされた。
本作否定派ユーザーによるゲームの詳細はニコニコ大百科の記事と有志Wiki、岡野哲の人物像についてはこちらのサイトに詳しい。
舞台は前作の地球を起点とし、救援を得るため銀河連邦本星へ向かう流れとなっている。
サンダーフォースゴールドパック1・2
メガドライブ期のサンダーフォース作品群をセガサターンに移植した復刻版。
1には「ⅡMD」と「Ⅲ」が、2には「AC」と「Ⅳ」が収録されている。一部オリジナル版と異なる部分がある。
ゲートオブサンダー
PCエンジン用の横スクロールシューティング作品。「Ⅱ」と「Ⅲ」の一部スタッフがテクノソフトから独立後に設立したシーエイプロダクションが開発を手掛けている。
システムがサンダーフォースシリーズと似ている為、腹違いの姉妹作品と言えなくもない。
ドリームキャストのソフトセガガガで、作中に登場するシューティングゲーム。サンダーフォースシリーズを意識していると思われ、作曲も「IV」まで携わった「ふぁんきぃ素浪人」こと山西利治と「Ⅴ」や九十九百太郎が参加している。さらにラスボス曲が「Justice ray part.3」であるが、後述する「ブロークンサンダー」でもアレンジの異なるものが、使われている。
ブロークンサンダー
2007年にFactory Noise&AGから発売された、元テクノソフトサウンドスタッフの九十九百太郎が製作に関わった同人ゲーム。
開発プロジェクト名や宣伝で「THUNDER FORCE Ⅵ」の名をかたっていたが、IP乗っ取りに失敗したため為、このタイトルとなっている。
元々は九十九百太郎が同人レーベルで発売した、「Ⅵ」が開発されたら使用したであろうBGMや、「Ⅴ」のBGMを収録したサウンドトラックであったが、長崎繁にゲーム化を持ちかけられた事から開発が始まった。
しかし長崎自身がゲーム開発の経験に乏しく、実際開発が始まるとスタッフの間での情報のやり取りもろくに出来ない中での作業となり、結局未完成な状態のままで発売され、返品・返金騒動を引き起こし、プレイヤーからの評価は芳しくないものとなっている。
一方でBGMやメカニックデザイン、ストーリーやムービーシーンなど、個別の要素は上述「Ⅵ」よりはサンダーフォースらしさを残しており、それなりの評価を得ている。
2016年9月、テクノソフトの商標並びに全タイトルの権利をセガゲームスが取得した事が明かされている。また「Ⅲ」が収録されたニンテンドー3DSソフト「3D復刻アーカイブス3」の売れ行きによっては、別タイトルの復刻実現の可能性が高くなると関係者からコメントされており、実際にニンテンドースイッチで「Ⅳ」と「AC」が復刻を果たしている。他、ゲームアーカイブスでプレイステーション版の「Ⅴ」が配信されている。2019年に発売されたメガドライブミニにも「Ⅲ」が収録されている他、2022年発売予定のメガドライブミニ2では「Ⅳ」が収録される。
2020年7月には「サンダーフォースⅢ&AC」のサウンドトラックが発売。これは過去にテクノソフトが発売したサウンドトラックの復刻ではなく、ゲーム内に格納されている音源を新規にデジタルリマスタリング録音されたものである。さらに「サンダーフォースⅣ」も同様に新規サウンドトラックがリリースされ、2022年には「サンダーフォースⅠ&Ⅱ」のサウンドトラックが発表。なんとこの両者のサウンドトラック化はこれが初だという。ちなみに「Ⅰ」はX1版とPC-88版からピックアップされている。「Ⅱ」はX68000版・ⅡMDの両方の音源を収録。
サンダーフォースⅡMDはセガサターンのゴールドパック以降は復刻や移植に恵まれておらず20年以上沈黙していたが、2021年12月17日に、「ニンテンドースイッチオンライン メガドライブ」にサンダーフォースⅡMDがラインナップされた。なお、ニンテンドースイッチオンライン追加パックプラン(12ヶ月)を契約かつ「ニンテンドースイッチオンライン メガドライブ」をダウンロードする必要がある。なお、ⅡMDは一度はSEGA AGESで復刻する事が案として出たらしいが、諸事情(シリーズでも古い部類の作品である事や全方位と横スクロールの混在というゲーム仕様等)を省みて取りやめたとの事。その為スイッチオンラインMD収録版はSEGA AGESシリーズお馴染みの追加要素は一切無しの原作そのままである(一応まるごとセーブや巻き戻しプレイはできる)。
現在、サンダーフォースシリーズを比較的入手可能かつプレイ可能な環境は…
- サンダーフォースⅡMD→ニンテンドースイッチ(ニンテンドースイッチオンラインメガドライブ※要スイッチオンライン追加パック契約)
- サンダーフォースⅢ→ニンテンドー3DS(セガ3D復刻アーカイブ3)・メガドライブミニ(※)
- サンダーフォースAC→ニンテンドースイッチ・アストロシティミニ
- サンダーフォースⅣ→ニンテンドースイッチ・メガドライブミニ2
- サンダーフォースⅤ→PSアーカイブスPS3・PSVita(PSP)
…の様になっており、その多くはかつてのセガのライバルだった任天堂のゲーム機への移植である。
※「Ⅲ」に関してはまずニンテンドー3DSのeショップが2023年に終了予定である事と「復刻アーカイブス3」収録のアフターバーナーⅡに登場するF-14のゲームでの使用ライセンスが切れる事にともない、DL版が配信終了する為、再び新品・DLでの入手が難しくなる。またメガドライブミニも期間限定生産だった為、どの道中古市場を当たらなければならなくなる。
