聖王
せいおう
聖王(せいおう)は、一般名詞としては、徳があり立派な政治を行う王・君主を意味する。ここでは、ロマンシングサガ3に登場する聖王について述べる。
概要
本来の名は「アウレリウス」。
本編から300年前の死食の時に生まれ、死の運命に飲まれなかった「宿命の子」。
本編中では性別は不明だが、エンペラーズサガのイベントで女性だと判明している。
性格は柔らかで誰に対しても腰が低く、自身の家臣に対しても「さん」付けで呼ぶほど。
生誕当時、世界は魔王によってアビスより呼び寄せられた四魔貴族やモンスターが跋扈する時代であった。
フルブライト12世の養子となった聖王はこれを打倒するため、13の武具を神より授かり、聖王十二将と呼ばれる仲間たちと共に魔貴族と戦ってアビスゲートへと追い返してゲートを閉じ、その後は各地の復興に尽力したとされる。
結婚しなかったためか子はおらず、彼女の姉が聖王家を継ぎ、ランスには彼女を祀る「聖王廟」が残されている。
ゲーム中で彼女にふれる機会はほとんど無く、聖王遺物などでその名を知るくらい。
だが、ゲーム中の様々な場面において聖王の影響力の高さを知る事が出来る。
養父フルブライト12世を祖先に持つ23世が経営する「フルブライト商会」をはじめとした勢力は、聖王からの伝統を重視している。
また、ビューネイ討伐の際はドーラという雌の巨竜に協力を仰ぎ、子にグゥエインの名を授け、民を襲ったドーラに自ら引導を渡している。
こうした背景は、本編よりずっと後にエンペラーズサガにおいて詳細に描かれた。
聖王遺物
聖王がアビスの勢力と戦うために神より授かった武具。判明しているのは以下の11個で、残りの2つは不明。
- 聖王の槍
魔戦士公アラケスの魔槍を、ノーラの祖先であるピドナ工房の初代親方の協力によって鍛えなおして作られた槍。ノーラの親の代まではピドナ工房のシンボルであったが、神王教団のマクシムスの一派によって奪われていた。専用技の「勝利の詩」によって味方の能力を上げることができる。
- 聖王のかぶと
聖王より近衛兵ソープに与えられた、かぶる物に勇気を与えるという兜。聖王廟の王者の試練を突破した者に与えられる。精神攻撃への耐性を持つ。
- 聖王ブーツ
聖王が着用していたブーツ。聖王廟の地下の試練を突破した者に与えられる。靴としては重いが、スタン耐性を持つ上、先制攻撃できることもある。
- 銀の手
美しい彫刻が施され、儀典用にも使われるという小手。もともとはビューネイ討伐戦で左腕を失ったオトマンに聖王が義手として与えたもの。寝ていてもひとりでに動いて装備者を守り、オトマンが戦死してもなお戦い続けたという。その後はパウルスによって引き継がれた。ミューズの夢の中のピドナ王宮にしか無く、夢の中から唯一持ち帰ることが可能。装備すると、シャールなら利き腕の力が戻り、他のキャラなら二刀流が可能になる。
- 王家の指輪
聖王家に代々受け継がれている指輪。封印された魔王殿の深層部に入るのに必要となる。装備していると気絶攻撃への耐性を得るほか、毎ターンHPが自然回復する。
- 七星剣
星々の輝きをその刀身に集めてパワーアップし、集めた輝きを一気に放出して攻撃できる剣。マクシムス一派が持っていた。
- 栄光の杖
さまざまな聖職者たちに清められてきたヤドリギの杖。マクシムス一派が持っていたが、何故か雑魚モンスターからも入手可能。本当に聖王遺物なのだろうか…?
- 妖精の弓
自然の力を吸収し、かつては妖精族の間で伝わっていた弓。聖王廟の狩人の試練を突破したものに与えられる。弓の中では軽く、また特殊技として「妖精の矢」を持つ。
- マスカレイド
普段は細身の小剣だが、持ち主の掛け声に応じて巨大化して赤く光る刀身で敵を粉砕する剣。もともとは十二将の一人でフェルディナンドの妻のヒルダが使用していたもので、以後はヒルダの血をひく代々のロアーヌ侯妃が持つようになった。現在は侍女カタリナが所持していたが、マクシムス一派によって盗まれる。
- 氷の剣
氷銀河で長い時間をかけて成長した氷の結晶が大剣になったもの。プレイヤーが入手する氷の剣はかつて聖王が手に入れたものではなく、氷銀河で新たに生成されたもの。通常攻撃が攻撃属性に冷を含む強力なものになるほか、特殊技として「霧氷剣」を持つ。装備しているだけで冷の攻撃属性を無効化し、接近攻撃を受けると「フリーズバリア」による反撃が行われることがある。
- 聖杯
レオニード伯爵が聖王の血を受けて飲んだ杯。彼の城に保管されており、イベントで入手することができる。レオニードを仲間にするための条件にこれを所持していることが含まれる。武器として装備可能で、自発的な使用はできないが持っていると毎ターンWPが1回復する。間違ってもレオニードに持たせたまま外さないように。
聖王十二将
聖王に協力して四魔貴族と戦った12人の仲間で、代表格の3名は特に聖王三傑と呼ばれる。名前が明かされているのは8名のみ。
- フェルディナント
猛将と称えられた聖王三傑の1人で、ミカエルとモニカ、ウォードの祖先。圧倒的な力をもって道を切り開く直情的な男性で、海を渡り、魔王時代に滅びてビューネイの領域になっていた古ロアーヌ王国の廃墟へと到達し、盗賊や魔物を討伐。当時の予言通りにロアーヌの都を復興させてロアーヌ侯になった。妻はヒルダ。
- ヴァッサール
聖王三傑の1人で、魔海侯フォルネウス討伐を手助けした玄武術士。バンガード建設とオリハルコン捜索を提案し、他の玄武術士たちと共にバンガードを動かした。後にモウゼスの町を興した彼の影響で、モウゼスの町の半分が玄武術士のテリトリーになっている。
- パウルス
聖王三傑の1人。もとはアラケスの配下だったが、聖王がフォルネウス討伐のためバンガードを建造したのをきっかけに内通者として聖王に協力していた。フェルディナントの辞退したピドナを含むメッサーナ王国の国王になり、オトマンの死後、彼の用いていた銀の手を受け継いでいる。
- ヒルダ
フェルディナントの妻で、マスカレイドの使い手。
- フルブライト12世
聖王の養父で、フルブライト23世の先祖。奴隷だった聖王を養子に迎えて支援した。
- チャールズ
フルブライト12世の息子で、聖王の義兄弟。四魔貴族との戦いで戦死した。
- オトマン
名の知れた剣豪。死食のあとの混乱を逃れ、森の中で一人剣の修行に明け暮れていたところで聖王に会う。ビューネイ討伐戦で左腕を失い、以降は左腕の義手として「銀の手」を用いて二刀流で戦うようになった。アラケス討伐戦で敵軍を足止めして戦死した。
- ソープ
聖王の護衛をつとめていた兵士。以前は極端に臆病だったが、聖王から兜を授かってから、人が変わったように勇士になったという。
聖王廟で起きた戦いの最中、他の十二将と共に現世へと蘇る。しかし、この時は実体を持たなかったがゆえ、他の者に乗り移らないと力を発揮できない状態であった。やがてサルーインとヴァダガラの戦いの中で、闇の渦巻く中へと消えていった。
その時に、サルーインの敗北によって生じた混沌の中で、それに乗じて現世へ戻ろうとするビューネイの動きを察知。霊体のままビューネイの軍勢と戦い、ビューネイが出てこないよう結界を張り守護していた。
自身の遺した七星剣に導かれるように現れたミカエルとウォードと共にビューネイを破り、放たれたビューネイの魔力のオーラを吸収し、それを媒介して十二将と共に実体を取り戻す。
その後は帝都には留まらず、人の住む地を避けるように各地を巡り歩いて魔物を殲滅する旅を開始する。
ある時、迷い込んだ洞窟で「魔王の鎧」とそれに引き寄せられる多数のゼルナム族に遭遇する。
際限なく湧き続けるゼルナム族に苦戦するものの、ソープの機転によって危機を脱し、魔王の鎧の邪気を鎮める。
同時に、ビューネイの魔力のオーラによって実体となったことで、アビスの魔物が自分たちの居場所を感知できる状態になっていることを知る。
魔王の鎧を回収した聖王は、魔物が近づかないよう鎧を聖王廟へと封印する。
しかしその後、鎧に引き寄せられるように「魔王の斧」が姿を現す。
砕いても再生する斧に苦悩させられるが、その時かつて共に戦ったドーラが姿を現す。
ドーラは自身を目覚めさせてくれたソフィアへの義理を果たすため、
ソフィアの兄弟であるゲオルグとトーマが狭間の世界に閉じ込められていることを告げるために現れた。しかしそこは、凶神ネブルザクのテリトリーであった。
そこで聖王は、あることを考え付く。それは、魔王の鎧と斧を自ら装備して使い、ネブルザクとの戦いで消耗させることで魔王の力を抑え込もうというもの。
聖王は魔王の鎧を身にまとい、ソフィアと共にドーラの背に乗って狭間のある場所へと向かい、斧を繰り返し投げつけて結界を破壊して乗り込み、ネブルザクと対峙。ゲオルグ、トーマと力を合わせ凶神ネブルザクを破る。
もとの世界に戻ると、ソフィアたちをカンパーランドに下して見送ったのち、ドーラと別れる。
そして、聖王の目論見通り、鎧と斧がまとう邪気は極限まで薄れていた。