樹木を小さな植木鉢に植えてこぢんまりとしたサイズに育てる園芸。またそうして育てた樹木。「小さな植木鉢」といっても片手におさまる程度のごく小さなものから、一抱え以上あるかなり大型なものまである。
中国の「盆景」が日本で独自に発展した園芸文化のひとつでもあるが、現在では海外にも広がっている。歴史は古く、鎌倉時代には既に盆栽の技術が確立されていた。都市化が進んだ江戸時代には大いに流行した。
なぜかお年寄り、それも男性(おじいさん)の典型的な趣味というイメージがあるが、これは1960年頃に流行したからというのが理由である。それから数十年経ち当時の若者もお年寄りになった。その結果「盆栽といえばお年寄りの趣味」というイメージになった。しかし、さらに数十年経って盆栽ブームより後の世代のお年寄りが増えていった。現在では、このイメージは実態と全然合っていないものになっている。
盆栽を趣味とする人は、たとえ小さい木であっても、懇切に世話をすることで大きい木に劣らないような立派な樹勢を作り出すことに喜びや楽しみを見出す。
大きくなるはずの木を無理やり矮小化して育てるのは不自然と言ってしまえばそれまでだが、大自然を掌中に収めるというコンセプトでもって作られた数々の秀麗な盆栽は、園芸ファンでなくとも思わず息を呑んでしまう。