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エテイヤ版タロットの編集履歴

2019-06-01 15:41:09 バージョン

エテイヤ版タロット

えていやばんたろっと

18世紀末に登場したタロットカードの種類。 「タロットカードエジプト起源説」を採用した大胆な解釈と、「占いの道具」としての洗練をめざした。 現在は、先の説が当時の風聞の域を出ないとして棄却され、マイナーな分派に落ち着いている。

エテイヤ版タロットとは、タロットカードの一種である。


概説

1789年に、フランスの占い師で現代タロット占術の太祖にあたるエテイヤ(別名:エッティラ/本名:ジャン・バプティスタ・アリエット)が考案したタロット。


エテイヤは1785年から『タロットと呼ばれるカードのパックで楽しむ方法』という4部作の占いの参考書を出版し、注目を集める人気の占い師であった。

エテイヤ版タロットは、そのタロットカード研究の集大成といえる代物であり、それまで主流だったマルセイユ版タロットとは一線を画す斬新なものとなった。


新次元のタロットカード「エテイヤ版」

エテイヤ版は、従来のマルセイユ版やブサンソン版とは全く違っており、まずカードの絵と番号の順列がマルセイユ版にもブサンソン版にも当たらない独自の絵札と配列を有している。


これは18世紀末に巻き起こった古代エジプトブームに肖ったが故の、さらに言えばその流行の中で流布し始めていた「タロットカードのエジプト発祥説」を大々的に取り入れたことを由来とする。

よってエテイヤは古代エジプトの賢者「[[ヘルメス・トリスメギストス」の存在を主張し、その叡智に基づいてエテイヤ版を編纂したと明言している。

砕いていえば、「古代エジプトのスーパースピリチュアルパワーを秘めた元祖タロットカードはこれだ!!」と、大々的に打って出たのである。


またそうした解釈から、マルセイユ版・ブサンソン版との違いとしてもう一つ、「カードの正位置・逆位置の意味に差がない」という特徴を持つ。

例えばマルセイユ版の「1.魔術師」が【正位置:知的探求、出発、円滑な人間関係/逆位置:優柔不断、ペテン師、関係の不和】等を意味するのに対し、エテイヤ版の魔術師に該当する「15.魔術師」は【正位置:悲しみ、不幸、優柔不断、我慢ができない/逆位置:不快な思い、忘れっぽい、恨み深い、マイナス思考】等と、正逆どちらもマイナスイメージしか存在していない。

エテイヤ版では、正位置は直接的・逆位置は暗示的と、カードの一による解釈を意味的な距離が変わる程度に抑えられている。

これはマルセイユ版に存在する「ゲーム性」の排斥を目的とした面もあり、当時のタロットカードはトランプの起源にもなったほど「ゲーム≒ギャンブル」と縁の切れない関係にあったため、純粋にタロットカードを占いの道具として洗練したかったという狙いもある。


流行と収縮

こうした独自の観点と、人気占い師エテイヤの考案というお墨付きによって、エテイヤ版タロットカードは瞬く間に流行し、特にエテイラの郷土であるフランスではマルセイユ版をフランスから排斥するほどの勢いを誇った。

その後19世紀後半まで、エテイヤ版タロットカードはタロットカードの新常識として君臨する。


しかし20世紀前後になり、「エジプト発祥説」は単なる当時の流行が作り出した風聞であることが研究の末に明らかになり、これを以ってエテイヤ版タロットカードは信用は地に墜ちることになる。

のちにマルセイユ版を再検証した、現在のスタンダードとなったイギリスウェイト版タロットが20世紀初頭に登場すると、ウェイト版に天下を取って代わられてしまう。


それでも一時代を作り、現在のタロット占術の基礎を築いたエテイラの功績、タロット占術の歴史を語るうえで欠かせない存在として、現在でもマイナーながら一分派として存続している。



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