概要
変態機動
Su-27とその派生型が得意とする機動で、機首を一気に持ち上げて失速寸前まで速度を落とし、水平飛行に戻る。いわゆる変態機動。
F-22に偏向ノズルが採用されたのはこの機動を力尽くで実現させるためであった、と噂されているほど、戦闘機の機動性を明確に体現できる機動である。
実際はF-22の偏向ノズルは、超音速飛行中の動翼の効果減少を補うためのものであり、またSu-27は偏向ノズル無しでもこれを行っている。
急激に速度を落とせる為、相手に追い越させて後方に付く事(オーバーシュート)が狙え、一時は空戦を有利に運べるのではないかと話題になった。しかし実際のドッグファイトにおいては速度(正しくはエネルギー)が命。
トップガンで行われたようなエアブレーキの使用は厳禁であり、エアブレーキ同様速度を落とすコブラも自殺行為となる。
むしろ一番面積が増加する機体上面を晒すことで機銃の的となるし、全力のドッグファイトのさなかに行えば機体に過度の負担がかかって空中分解を引き起こす恐れもある。下手にエアブレーキを使うよりもなおのこと危険。
コブラというのはその機動自体に意味があるのではなく、「コブラを行える性能を持っている」ということに意味がある。
コブラを行えるのは、失速寸前でも制御を可能とする巧みな設計と、空気流入量が激減しても出力を保ち続ける高性能なエンジンを有する機体のみ。これらの性能はコブラに限らずあらゆる機動において有利に働くもの。コブラを行えるほど低空での機動性が高くタフなエンジンを持つ戦闘機は、高空高速でも非常に強いのだ。
派生機動
- フック Su-35が最初に行った機動で、水平旋回中にコブラを行う機動。
- クルビット Su-37、F-22、Su-30が行った機動で、当初は推力偏向ノズルを有する戦闘機のみが実現可能といわれていたが、推力偏向ノズルを持たないSu-30MKMがクルビットを披露した。
- ダブルクルビット MiG-29の派生型であるMiG-29OVTが行った機動で、クルビット後の失速寸前の状態でもう一度クルビットを行う。こちらは推力偏向ノズルの効果でテールを振っているため、推力偏向ノズルでなければ実現できない。
原典?
プガチョフ・コブラの原典とも言えるような機動が、日本海軍の一部パイロットが使ったとされる木の葉落としである。同様に高い失速回復能力を活かした機動だが、偏向ノズルもアフターバーナーもない1000hp級レシプロ機にとっては一見自殺行為そのものである。実際に使われたのかどうかは実は不明。理論的には可能というレベルらしい。