ハルシュカラプトル
はるしゅからぷとる
白亜紀後期のモンゴルに棲息した小型肉食恐竜で、2017年に命名された新種である。
データ
化石は盗掘の被害に遭ってモンゴルからヨーロッパに密輸されていたが、良識的な化石商人フランソワ・エスキュイリエ氏らの尽力によってモンゴルへと返還された経緯を持つ。そのためエスキュイリエ氏への感謝と、モンゴルの恐竜研究で名を馳せたポーランドの女性古生物学者ハルシュカ・オスモルスカ氏への敬意を表して、ハルシュカラプトル・エスキュイリエイと命名された。
ヴェロキラプトルと同じく「ラプトル」の呼称で有名なドロマエオサウルス科の獣脚類で全長は80cmほど。しかしほとんどの近縁種と異なり、白鳥や鷺のような長い首を持ち、前脚はペンギンのようなヒレ状の構造となっていた。更に頭骨にはワニや水鳥のように圧力を感知するための神経や血管が入っていたと思われる空洞も確認され、細かく鋭い数十本の歯を持っていた。後脚こそ陸生に適した構造だったが、これらの特徴から、本種は確認されているドロマエオサウルス類で唯一、半水棲に特化して水棲動物を捕食していたことが判明した。