概要
白亜紀後期のモンゴル(恐らくジャドフタ層)に生息していたドロマエオサウルス科。
マハカラ、フルサンペスらとともにハルシュカラプトル亜科を形成する。
化石は盗掘の被害に遭ってモンゴルからヨーロッパに密輸されていたが、良識的な化石商人フランソワ・エスキュイリエ氏らの尽力によってモンゴルへと返還された経緯を持つ。そのためエスキュイリエ氏への感謝と、モンゴルの恐竜研究で名を馳せたポーランドの女性古生物学者ハルシュカ・オスモルスカ氏への敬意を表して、ハルシュカラプトル・エスキュイリエイと命名された。
全長は60cmほど。
頭骨にはワニや水鳥のように圧力を感知するための神経や血管が入っていたと思われる空洞も確認され、細かく鋭い数十本の歯を持っていた。
ワニや水鳥など現生の主竜類の骨格との比較から、ドロマエオサウルス科では、唯一の半水棲の恐竜だった可能性が指摘されている。しかし、半水棲の証拠として提示された証拠も半水棲と結論づけるには不十分であることから多くの研究者はこれに懐疑的である。
2022年のスピノサウルス等の骨密度の研究に際しては、スピノサウルスやペンギンなどの半水棲の恐竜・鳥類より骨密度は高くなかったことから、著者は「ハルシュカラプトルが半水棲であった可能性は低い」としており、陸棲説を補強するものとなった。
一方、カモ目など一部の現生の水鳥は骨密度がそれほど高くないことが知られており、骨密度から直接的に生活様式を導くことは難しいと言えるかもしれない。