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ロボット三原則

ろぼっとさんげんそく

SF作家アイザック・アシモフが己の小説で示した用語。人間社会においてロボットが従うべき3つの原則のこと。

内容

  1. A robot may not injure a human, or allow a human to be injured.(ロボットは人間を傷つけてはならない。また、危険を看過して人間に危害を及ぼしてはならない。)
  2. A robot must follow any order given by a human that doesn't conflict with the First Law.(ロボットは第1条に反しない限りで、人間の命令に従わなくてはならない。)
  3. A robot must protect itself unless that would conflict with the First or Second Laws.(ロボットは前掲1条及び2条に反しない限りで、自己を守らねばならない。)

発端

元来は、アシモフの作家デビューを支援した恩師、アスタウンディング誌の編集長、ジョン・W・キャンベルが、アシモフの初期短編を読んだ感想として記したものである。

アシモフはこの設定を活用して様々な小説を発表したが、時には問題点も提示している。

「人間を切開して治療する為の、外科手術ロボットを作る事が出来ない」

「ロボットは子供を叱れないので、躾けを行う子守ロボットを作る事が出来ない」等…

アシモフの作品では、ロボット三原則に忠実なロボットを用いて殺人を行う方法が沢山登場する。ネタバレになるので、ここでは記せません。

影響

元々はあくまで「アシモフが作品を成立させるために活用した、その作中でのみ通用する原則」に過ぎない。

そもそも、当時のSF創作界において「人類を裏切るロボットやコンピュータ」が多用されていたため、それに対するカウンターとして設定された原則なのである。

ところが、分かり易く、道徳的にも抵抗感の薄い法則であったため、現代においては現実、創作含めてロボット工学における基本的な倫理原則のように扱われている(もちろん三原則を守る必要はないという人もいる)。

ただし、現実のロボットにおいては「そもそも『どのような行動が条項に反するのか』をロボットに覚えさせるのが不可能に近い」と言う問題がある(例えば「可燃性燃料を満載したロボットが、火事の現場から人を助け出そうとする」のは、結果的に第1条に反する可能性が高い。こういった個々の事例をいちいちプログラミングするのは物理的に不可能である)。

また、アシモフの作品では「開発時にプログラミングされ、逆らう事など想像出来ない」原則であるが、後続の多くの作品において、ロボットに対する法律のように扱われている。後続作品では「逆らう事は想像出来るが、逆らうと厳罰に処される法律」として扱われている場合も多い。

さらに言えばそもそもこの原則は「ロボットは人間に使われる物」と言う原則に基づいて規定されたものである。

1が「安全性」、2が「操作性」、3が「耐久性」について言及しているようなものなので、ロボットメーカーの自主規制としては妥当な原則である。

だが、「人間と同レベルの知能を持つロボット」に対してこの原則を設定すると「ロボットの意志を人間の都合の良いように操る」「ロボットから行動の自由を奪う」事が出来てしまう訳で、人権ならぬロボットの権利はどうなっているのか……と言う問題も発生する。同時に捉え方を変えれば(他者を思いやり、約束を守り、最低限自分を守る、など)理想の人間像だという意見もあり、アシモフは聖人君子としてふるまう人間がロボットと疑われるという話を書いている。

斯様に、なかなか難しく、奥深い原則である。

ここに触れた以外にもいろいろな要素(第零法則などの派生や、他の問題点など)が存在するので、興味があったら調べてみよう。

関連タグ

SF ロボット

アシモフ

ダンスロボットダンス:ロボット三原則を意識した歌詞になっている。

マトロイド:天装戦隊ゴセイジャーのロボット怪人達で、彼らの行動原理であるマトロイド三原則の元ネタはロボット三原則である。

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