概要
「ウルトラス」は1960年代のイタリアに現れた悪質なサポーター集団である。
その後、バルカン諸国、南米、中東などに広まり、日本でもウルトラス・ニッポンが活動している。
反社会勢力と結びつき、ゴール裏の最も応援が熱狂的なゾーンの席を買い占め、クラブに脅迫を掛けるなど組織立った行動が見られ、様々な問題を起こし差別的な発言を繰り返している。
各スタジアムはウルトラスによって支配され、選手側にも同調する者がいて、子供や女性の足を遠のかせる原因になっている。
ウルトラスの起こした主な事件
- 1990年5月13日、ザグレブで行われたディナモ・ザグレブvsレッドスター・ベオグラード戦で、ザグレブ(クロアチア)のウルトラス「バッド・ブルー・ボーイズ」とベオグラード(セルビア)のウルトラス「デリエ」が試合前の練習の時点で衝突し、警察隊や選手も巻き込んでの暴動となり、戦わずしてレッドスターが3対0で勝利となった。この暴動をきっかけに戦火が広がり、ユーゴスラビアは瓦解する。
- 2003年のFCバルセロナ会長選挙で当選したジョアン・ラポルタがユダヤ人だったためバルセロナのウルトラス「ボイショス・ノイス」はこれに反対し、脅迫などでスタジアムから追放され、殺害予告や自宅襲撃事件を起こした。
- 2011年6月26日、アルゼンチン・リーグの昇格降格決定プレーオフのリーベル・プレートvsCAベルグラーノ戦で、リーベル・プレートのウルトラス(ロス・ボラチョス・デル・タブロン)が内紛を起こし、試合が途中で終了となりリーベル・プレートの創設110年目にして初の2部降格が決まった。暴動はスタジアム外に広がり、68人が負傷、50人が逮捕、15台の車両が破壊され、2名の警官が頭部を負傷し重体となった。ロス・ボラチョス・デル・タブロン内ではその後10年に亘り権力闘争が続き、多くの被害者を出した。
- 2012年11月22日、UEFAヨーロッパリーグのラツィオvsトッテナム戦で、ラツィオのウルトラス「イッリドゥーチビリ」がトッテナムのサポーターに対しテロを決行し、数名が病院送りとなった。人種差別的な行動や試合の妨害などと合わせUEFA規律委員会の審議対象となった。