ムシキングにはコガシラクワガタ名義で登場。ムシキング関連はそちらを参照。
概要
その名の通り南米のチリとアルゼンチンに生息するクワガタムシ。大アゴを含めた体長は最大90㎝ほど、南米最大のクワガタムシである。
コガシラクワガタ、学名(Chiasognathus grantii)からグラントチリクワガタとも言う。生物学者ダーウィンにちなんだダーウィン・ビートルという別名もある。
クワガタムシとは思えないほど奇妙な姿をしている。全身に虹色の光沢をもち、裏面は白い毛が密生している。
コガシラ(小頭)の別名の示す通り、胴体や体長の半分近くを占める大アゴに比べて頭が小さく、脚、特に前肢が長くて多数の棘が並んでいるのも特徴。また、複眼は外骨格に上下仕切れて4つ目のような姿になっている。
アンバランスな頭顎比で相応しい筋肉が少ないからか、長い大アゴの挟む力は弱いが、その付け根に生えている短い突起で挟まれると普通に痛い。
また、遺伝子分析によると、よく似ているシワバネクワガタなどとも、オーストラリアのムナコブクワガタやアフリカのマルガタクワガタとの近縁関係が見られ、ゴンドワナ大陸起源の先祖を持つと思われる。
生態
その華奢な見た目に反し気性は非常に荒く、縄張り意識が強い。オスに限らず、アゴの短いメス同士ですら喧嘩をする。
凶暴な甲虫としてコーカサスオオカブトやマンディブラリスフタマタクワガタなどが有名だが、実は彼らでさえ、一応は戦闘前に威嚇をしたり様子を伺ったり仕草を見せてくれるが、チリクワガタにはそんな間さえなくいきなり攻撃してくる。
無駄に長い大アゴはかつてダーウィンに「過剰適応の例」と呼ばれた(ダーウィン・ビートルの名の由来)。しかし実際は理由があり、オス同士の戦闘は大アゴで「挟む」よりも、その先端の鈎を相手の翅に差し込んで「引っ掛けて」木から落とすという「力」より「技」を重視する特殊な戦法を取るため。
幼虫はミヤマクワガタやツヤクワガタのように土中で育ち、原産地では普遍な昆虫だが、寒冷な地域であるため暑さに極端に弱く、日本など海外での飼育は無理に近いほど難しいとされる。
人間との関わり
上記の通り原産地では普遍なクワガタであり、有名種とも言える。日本など海外ではその非常に個性的な外見から、昆虫図鑑の外国の昆虫を紹介するページには高確率で掲載されて、標本としてコレクションする人が多い。
かつては日本に入荷されていたが、飼育は無理に近く、飼育する挑戦者も入荷も段々となくなり、現在は原産地であるチリからの出荷が禁止された。
関連タグ
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