概要
主人公・野咲春花の同級生。小黒妙子らのいじめグループの一員であり、筆頭的存在。
外見は可愛らしいが、性格は非常に攻撃的で残虐。他者に危害を加え、傷つけることに何の躊躇いも持たない。
春花へのいじめも積極的に参加し、春花を画鋲で傷付けるといった行為に出ている。またそれ以前に、妙子とその取り巻き達共々、佐山流美を執拗にいじめていた(流美にも春花同様に画鋲を用いたいじめをしている)。
ネタバレ
彼女自身の性格がここまで歪んでしまったのは、両親が原因。
吉絵はアル中の母からはネグレクトをされ、暴力的なチンピラの父からはこきをつかわれ、言う事を聞かなければ殴られるといった苛烈な虐待を受ける悲惨な毎日を過ごしていた(映画版では父子家庭で、アル中かつ暴力的な父親に日常的な虐待を受けていた)。そのような劣悪な家庭環境に生まれ育ったことで、他人の痛みを感じることが出来なくなってしまう。
学校では陰険かつ横暴な態度を取る一方で、家庭では父の暴力に怯え、言いなりにならざるをえなかった。
両親を激しく嫌い、共依存関係の二人に「家族」として必要とされないことから、自殺を考えるほどの絶望を抱えてもいた。しかし、皮肉にも春花の母の死に様を見て死を忌避するようになる。
春花の家の放火に対しては全く罪悪感を抱いておらず、春花に対して口封じのために自殺を強要する。しかしその際に口を滑らせたことがきっかけで春花の逆鱗に触れてしまい、目に釘を突き刺された上に鉄パイプで滅多打ちにされてしまう。
なんで?あんなに嫌いだったお父さんとお母さんに、なんで私、会いたくなってるの
ねえ。あたし、死んじゃうんだよ?見てよ。最後くらい、あたしを
死の間際、巻き添えになった加藤理佐子の母に助けを求める悲鳴を聞きながら、自分を振り向いてくれない両親の幻を見て、「死ぬほど嫌いだった両親に本当は振り向いて欲しかった」ことに気づき、失意の中で死亡した(映画版では父に助けを求める悲鳴を上げた直後に息絶えた)。
彼女の死後、親としての情がわずかに残っている父は吉絵の行方を探し、南京子の素性を調べた上で担任教師に対する抗議の際に「いじめられることを恐れるあまり、クラスメイトである子供に手をかけたのでは?」と難癖をつけたため、久賀秀利の母に続き、暴走した南に襲われ唇を噛み切られた。そして彼女の遺体が見つかった時には複雑な顔を向け、娘への育児放棄を後悔する。しかし、母は吉絵の安否に関心さえ抱かなかった。
流美とは異なり、根っからのいじめの加害者で、作中の残虐な行動の数々に同情の余地はないが、そうした言動は歪な家庭環境により形成されたものであること(作中でも「最悪」と言って良い家庭である)、本当は「家族(親)の愛」を渇望していたことを考えると哀れな面もある。本作品において、いじめっ子の歪みを分かりやすく表したキャラクターと言えるだろう。