「そして我に与えられし名はネフテュス。豊穣神ヌトの子、冥神オシリスの妹にして死神セトの妻となる女性神格。その属性は死と葬儀、神殺しの穢れを祓う者なり」
「だから涙を流しましょう、どれだけ惨めにすがりついても。完璧を謳いながら死を否定できなかった全てを糾弾するために」
概要
初出;新約10巻 CV:ゆかな(禁書if)
魔術を極めて神に変容した魔術師「魔神」の一柱であり、既存宗教色のない『グレムリン』に所属する女性神。
彼女はエジプトの神の一柱「ネフテュス」。
罪を滂沱の涙で持って浄化する女性神格。豊穣神ヌトの子、冥神オシリスの妹、死神セトの妻。王の副葬でピラミッドに埋められた数多の召使いの集合体。自己と泣き女に由来する創作されたと思しき女性神格を重ね合わせる魔神。
白髪のロングヘアーに褐色肌、赤と青のオッドアイだが、本来の瞳の色は魔神クラスのキャラということで緑色らしく、気まぐれに色を変える。包帯で大事な部分と太腿だけを隠した露出度が高いミイラファションの妖艶な痴…もとい美女。この包帯の先端にはピラミッドをあしらったアクセサリーのような物が複数付いている。
「泣き女」に由来するためか涙腺がかなり緩く、新約14巻で顔が涙と鼻水まみれになっている。美人が台無しである。
魔神としてのネフテュス
彼女はまさしく魔術の神「魔神」なのだが、個人が神に至ったのではなく「エジプトの召使いたちがその人生をかけて作り出した神」である。
魔神「ネフテュス」の起源は古代エジプトまで遡る。
当時、ピラミッドに王族の副葬として共に詰め込まれた数千・数万人もの召使い達が、王族の見栄の為に使い捨てられる事に納得できず、せめて何かを残そうと足掻き、自身の知識やパピルスを紐解いていった。
研鑽が魔術の秘奥に届く頃には既に力尽きていたものの、その成果として無数に転がる召使いの骸の中心で魔神ネフテュスが誕生した。
そこから禁書目録の時代に至るまでの足跡が不明だが、気まぐれに不幸な人間に手を差し伸べていたようだ。
作中では魂に関する魔術実験を潰し、被験体の少女を救ったエピソードが行間で語られた。その一節で「神話の中で予定調和とみなされた、必要な犠牲として扱われる死の伝承に異を唱える女神」を自称し、「泣き女」の伝承通りに少女のために涙を流している。
20世紀には「歴史に名を残すとある魔術師」が「誰も見たことのない大悪魔」の召喚を為す光景をどこからか目の当たりにし、あの人間の為に涙を流そうと思ったらしい。
『あら、今となっては珍しい三柱の名前が出てきたわね』
『創作された神格として関わってしまった身としては、彼の知る伝承がオリジナルから歪んでいない事を祈るばかりだけど』
能力
魔神の全能の力とは別に「涙」「水」に象徴される力を持ち、彼女の涙は世界の罪を洗う。
ネフテュスは泣き女の由来となった、あるいはそれを由来に持つ存在。因果性のジレンマの克服の話ではないが、「自己と神格」が重なっている以上は彼女も同じ存在である。
「伝播の涙」は強制的な精神強調、神の後押し、ブーストとも表現される。
この後押しは、ただ背中を押す(増幅)などという生半可なものではない。
神話で神の加護を受けた英雄がロクな最後を迎えないのと同様に、
あまりにも強力な後押しを受けたものは幸福とは言えない末路を辿り、多大な功績と引き換えに短命で命を終える。
彼女はそれを攻撃的に用いり、本人の許容を超えたブーストを与えることで力を暴走させて自爆に追い込む。
「オシリス神の絶命」の由来する涙を無効化するには、それ以上の穢れを持ってくる必要がある。もっとも、そんな法則も四界の表層に存在しないのかもしれない。
この他に水分をベースとして様々なことが出来る。たとえば(生物の体液含む)周囲の水分を全て吸い上げ、ナイルに象徴される莫大な水のような長大な水の刃を作るという芸当も。
同じように、神の攻撃を防ぐ術は四界の表層には存在し得ない。
作中の活躍(※以下ネタバレ注意)
初登場は新約10巻の終盤のエピローグ。
魔神オティヌスが世界を文字通り破壊しても全く影響のない「隠世」と呼ばれる異なる位相の神域に身を潜めていた。この理由としては、彼女たち完全な魔神は数値化すら不可能な無限の容量を持ち、世界の容量の問題で存在できない(存在するだけで世界が壊れる)為である。
しかし魔術師「アレイスター=クロウリー」によって潜んでいた位相を10進法に元づいた世界へと変換され、その存在を白日のもとに曝け出されかける。
魔神「僧正」と共にクロウリーが推し進めているプランの要であるエイワスが失敗作だという事を伝えた後、怒りに打ち震えるクロウリーと人知れず交戦したようだが…?。
その後、ブードゥー教の魔神「ゾンビ」の開発した術式「鏡合わせの分割」を適用し、無限の存在である魔神を無限に分割して世界を騙す事で、ひとまず自由自在に闊歩できるようになった。
(が、実はこの術式、そして術式を提供したゾンビ少女は……)
しかし新約13巻ラストで突如現れた謎の人物上里翔流によって、魔神「娘々」やその他のグレムリンたちは世界から追放されてしまう。
彼女も99%追放されたのだが、エジプト神話のミイラは臓器は別に保存しておくという特徴のおかげで何とか現世に残り、(宅配便で)上条家にやってきた。
新約14巻では、かなり弱ってはいるが既に馴染んでおり第4の居候になるかと思われた。しかしその存在はもはやほんの0.01%くらいの微弱な欠片しか残っておらず、いずれ訪れる消滅を待つ身でしかなかった。
最終的にサンプル=ショゴスを取り除いたパトリシア=バードウェイの「身体の不足分」を補うべくパトリシアと一体化し、この世界に残っていたネフティスの残滓は全て失われた。
パトリシア「……あなた、は……?」
ネフテュス「強いて答えるなら、神様かしらね」
その後の彼女
新約17巻では、追放された新天地にいる「99.9%の彼女」が登場。パトリシアと一体化した彼女は「残滓」に過ぎなかったわけで、「ほぼ本体の彼女」は他の魔神と遊んでいた。
上里が新天地に送られた時には娘々と同じく上里側に付いた他、パトリシアと一体化した彼女の残滓が上里を連れ戻す為の鍵となった。
その後、アレイスター=クロウリーの罠にはまったコロンゾンと新天地で遊んでいたが、コロンゾンが力技で現世に帰還した際に娘々と一緒にうっかりついてきてしまう。
クロウリーズ・ハザードの際にはクロウリーやお気に入りと思われる上条ではなく、クロウリー一行と離れ離れになった浜面仕上に同行中(浜面を観察対象と認識している様子)。
関連タグ
魔神(とある魔術の禁書目録) グレムリン(とある魔術の禁書目録)
ネフティス・・・彼女のモデル