――――悪役令嬢が追放された後の生活。
イベントプランナーの沢谷友加は、激務によって一生を終えた。
記憶ありで転生したのは乙女ゲームの世界、そして悪役令嬢のエリザベスになっていた。
運命に抗おうとするも、エンディングとなりあっさり追放されてしまう。
しかし、公爵令嬢として暮らす窮屈さから逃れるには好都合!
隣国のノルティア教会にて、シスター見習いの新しい生活が始まる。
そこでは、思ったよりもゆる~い規律で、何を食べてもOKの自給自足生活。
エリザベスは親からの手切れ金で食材を奮発。
貴族令嬢は厨房に入れなくても、シスターは当たり前に入るのだから。
教会の子供に肉の味を覚えさせて、シスターとして総菜パンを布教して、美味しく楽しいスローライフ。
イベントプランナーの知識で、村おこし、名物開発をしながら、自由を謳歌。
――――辺境の田舎だから、前世の記憶を使って色々便利にしても、バレなきゃオーケー……?
概要
小説家になろうで連載されているウェブ小説。著者は柚原テイル氏。
略称は「悪役令嬢の追放後!」。
既刊はそれぞれ書籍版が1巻、漫画版が3巻。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台としたゲームの世界の悪役令嬢に転生した主人公は、
破滅エンドを避けられず、身分を剥奪され国外追放処分とされてしまうところからストーリーは始まる。現代での知識や経験を活かして日常生活を更によりよく豊かにしていきながら、追放された後も切り離せない貴族社会との関係、そして不器用な騎士との恋愛模様を描いた物語。
あらすじ
ダクレストン大陸の中央に位置するモワーズ王国、謁見の間。
エリザベス・フォンティーニ公爵令嬢はその日、国王より不敬罪による国外追放を宣言された。両親からも縁を切られたエリザベスは、隣国リマイザ王国にあるクローレラス領ノルティア教会に身を寄せ、シスターとして生きることになる。
しかしそれこそがエリザベスの狙いであった。悠々自適で、楽しく、ほどほどの忙しい充実した暮らしを始めるのだった。
登場人物
- エリザベス・フォンティーニ
本作の主人公で、フォンティーニ公爵家の令嬢。しかし親子の縁を切られたため家名はもうない。現在はノルティア教会のシスターとして日々を過ごしている。
5歳の時に前世の記憶を取り戻し、この世界は自身がプレイしていた大人気乙女ゲーム「プリンセスライフ~暁の告白~」であること、自身がそのゲームの悪役令嬢であることに気が付く。当初は国外追放を免れるために様々な行動を取っていたのだが、それが裏目に出てしまったり、またはエリザベスとは直接関係のない部分でゲームの設定どおりに物事が進行していくため、国外追放されることを受け入れ「ゲームで描かれていない人生」に期待することにした。
真面目で素直な性格の持ち主で、料理や掃除、洗濯に子供の世話などにも勤勉に取り組んでいるため他のシスターや神父、世話をしている子供たちとの仲も良好。前世の趣味である料理やイベント業の知識や経験を活かし、教会が主催するお祭りや結婚式を盛り上げるなど充実した生活を送っている。
元の貴族社会や公爵令嬢としての生活には全くと言っていいほど未練がなく、むしろ貴族同士の政治や派閥争い、しがらみに辟易しているため、貴族や王族と関わりを持つことや何かの拍子で巻き込まれることに対して危機感を抱いている。しかし元公爵令嬢という立場から知見を求められることも多々ある。
レオニードに対しては、当初は彼が追ってきた真意が掴めず(無口かつ些細な言い訳もしない性格と威圧感溢れる物腰のため)に追放された自分が何かしらの反抗をしないか監視に来たのではと警戒していたが、不器用ながら自分を気にかけ守ろうとしてくれる事に無意識ながらに心を許すようになる。
- 沢谷友加
イベント会社、株式会社ドリームファンの社員。主人公エリザベスの前世で、享年24歳。
所属していた会社が所謂ブラック企業であり、若いながら大抵の業務をこなせるだけの能力が身についてしまっていた。法人向けの業務をメインに担当していた。
- レオニード・ガルドヘルム
『聖獅子の大剣』という異名で知られるモワーズ王国の騎士団長。叩き上げの騎士で武力と真面目さのみで今の地位を手に入れた。元のゲームではモブの男性兵士扱いだった。
異名の通り巨大な剣を得物にする偉丈夫で、盗賊程度では10人がかかっても歯が立たない。
その武勲を讃えられ騎士長(伯爵級)の爵位を持っているが、非常に寡黙であり、貴族社会の政治や礼儀なども良く知らないため、無礼ともとれる行動を取ってしまうこともしばしば。
まだ公爵令嬢だった頃のエリザベスに一目惚れしており、彼女が国外追放されたすぐ後に、長期の休暇を取り教会の近くの空家を買取って引っ越してきた。エリザベスに告白しようとしても口下手で、女性との交際経験もないため空回りしており、どうやって関係を発展させようかと思い悩んでいる。
一歩間違えればストーカー呼ばわりされてもおかしくない(作者も認めている)のだが、彼女が無意識に心を痛めてたり助けを求めている部分には敏感であり、陰ながら彼女を守るべく行動を重ね、信頼は勝ち得ている。
ある意味でこの作品のもう1人の主人公。
- クリストハルト・クローレラス
エリザベスが身を寄せている教会があるノルティア村を含む、クローレラス領を治める伯爵。
父親が事故で亡くなり、5年前に爵位を継いだ。
明るくノリの良い性格で、身分を剥奪されたエリザベスにも気さくに接してくれる。
レオニードとは昔からの知り合い。エリザベスとレオニードの関係を見守りつつも、あまりに不器用なレオニードを見かねてフォローに回る。ただし、流石にレオニードの突発的でTPOを弁えない行動に胃を痛めることも。
- シャルロッテ・ドリーナ
貿易で財をなして爵位を得たドリーナ男爵の令嬢。しかし貴族らしからぬ活発で天真爛漫な性格を疎まれ、療養の名目で厄介払い同然に辺境に追いやられる。自身の境遇からやや荒んでいるが根は素直な一面を持ち、見舞いとミサの勧誘に訪れたエリザベスを、一悶着と餌付けの末に姉のように慕うようになる。
- ミッシェル・リマイザ
リマイザ王国の王子であり、エリザベスの婚約者になるはずだった青年。元の乙女ゲームでは攻略対象の内の1人で、エリザベスが国外追放される直前に婚約破棄されるシナリオになっていたが、本編ではエリザベスが国外追放を免れようと努力していた頃の成果により彼女のことを今でも想い続けている。
整った容姿に物腰の柔らかい雰囲気を持つ美青年。しかし元の乙女ゲームではヤンデレと化し、主人公を監禁するバッドエンドが存在し、本編でもその片鱗を見せている。モワーズ王国を追放されたエリザベスと再会してからは、彼女との接点を重ねるなど執着心を露わにしている。レオニードのことを邪魔者だと嫌悪している。
エリザベスにとっては自身を貴族社会に引き戻そうとする厄介な人物なのだが、そう仕向けたのは自分自身であるとの後ろめたさもあり、強く拒否することが出来ずにいる。