概要
ジョン・ディーの刊行されなかった16世紀英訳版『ネクロノミコン』、その一部(断章)として構想されたテキスト、およびそれを収録した書籍である。
ジョージ・ヘイが編集したもので、ロバート・ターナーやコリン・ウィルソンといったオカルト界のビッグネームが関わった本格派。
以下のアイテムや印のくだりも、、実在の魔道書(グリモワール)風の文体で書かれており、設定資料集や「小説内での描写」とは違った味わいとなっている。
日本語訳は学習研究社(現:学研ホールディングス)から刊行された。
登場するアイテム
- バルザイの偃月刀…外なる神ヨグ=ソトースの召喚などに用いる儀式用の青銅製の偃月刀。
- イブン=グハジ(イブン=ハジ)の粉末…不可視の神話生物を可視にする事が出来る粉末。
- ズカウバの燻香…神話生物を捕らえて操る儀式のために用いる燻香。
登場する結印
儀式に使用するためのジェスチャー。いずれも左手によって行う。
- ヴーア(ヴール)の印…旧支配者へ祈祷の際にするべき印。
- キシュの印…次元の門を開くための印。
- コスの印…次元の門を封じるための印。
- 古の印…神話生物が避けていくという印。エルダーサイン、旧神の印とも。同名の刻印もある。
登場する超常的存在
- ヨグ=ソトースの球体
外なる神ヨグ=ソトースに寄生する13の存在。ゴエテイアに紹介されるソロモン72柱と同名の存在を含む。球体(sphere)という名前だが、丸い姿のものは一体もいない。
- ゴモリ(GOMORY)…26の地獄の(infernal、「非道の」「忌々しい」とも訳せる)軍団を率いる、魔力ある宝石と護符の知識を持つ黄金の冠を被ったラクダのような存在。元ネタはグレモリーか。
- ザガン(ZAGAN)…33の軍団を率いる、海の神秘を召喚者に教える大きな牡牛あるいは恐るべき王の姿の存在。元ネタはザガンか。
- シュトリ(SYTRY)…60の軍団を率い、未来についての知識を教える、偉大な君主の姿の存在。元ネタはシトリーか。
- エリゴル(ELIGOR)…60の軍団を率い、戦勝のための知識と来るべき戦いについて教える鉄の冠を戴く赤い男の姿の存在。元ネタはエリゴールか。
- ドゥルソン(DURSON)…22のデーモンを使い魔とし、全てのオカルトの秘密を明らかにし、過去の事柄を明かす、ワタリガラスのような姿の存在。DURSONという悪魔は知られていないが、一文字違いのプルソン(PURSON)ならいる。
- ウアル(VUAL)…あらゆる古代言語に通じた暗雲のような姿の存在。元ネタはウヴァルか。
- スコル(SCOR)…召喚者の命令に従い金をもってくる白蛇のような姿の存在。元ネタはスコルベノト(Succor-benoth)か。
- アルゴル(ALGOR)…全ての秘密を知り、偉大な王達、君主たちの愛顧を得させることができる、ハエの姿の存在。寒気、悪寒を意味するalgorとスペルは同じ。
- セフォン(SEFON)…宝が隠された場所を空かす、緑色の顔の男の姿の存在。元ネタはバールゼフォン(バアル・セフォン)か。
- パルタス(PARTAS)…薬草(ハーブ)や石の効用を教え、召喚者を不可視にしたり視界を取り戻すことができる存在。大きなハゲタカの姿をしている。
- ガモル(GAMOR)…人間のような姿の存在。偉大な人々からの好感を得る方法を教え、宝物を守るあらゆる精霊を追い払う力を持つ。
- ウムブラ(UMBRA)…巨人のような姿の存在。お金の場所を移動させる力、あらゆる女性の愛を得る力を持つ。名前はラテン語で「影」を意味するUmbraが由来か。
- アナボス(ANABOTH)…黒魔術で召喚者を狡猾にする力を持ち、召喚者たちの邪魔となる悪魔達を退け、奇妙な事、隠された事柄について教える存在。姿は黄金のヒキガエル。