概要
2001年10月から2004年3月まで放送された。正式なタイトルは「¥マネーの虎」
元々は土曜深夜・関東ローカルだったが、放送開始から半年後に金曜20時台に進出、日本テレビ系列局全27局だけならまだしも、フジテレビ系列局・テレビ朝日系列局各約1局ずつまで道連れにしてしまった。
その後月曜23時台に移行した上、放送開始当初からの放送時間であった60分を30分に短縮した一方、フジテレビ系列局をもう1局道連れにしてしまった。
司会を吉田栄作が務めている。
どんな番組だったのか?
シンプルに言うと、起業志願者が複数の投資者である会社社長達(虎と呼ばれる)の前でプレゼンを行い希望額の出資金を得る番組であった。希望額には上限は無い。
しかし、この番組の特徴は非常にシビアでちょっとでもプレゼンや起業計画書に甘い点やおかしな点があると容赦なく社長達に言及・追及される。いわば圧迫面接に等しかった。
なお、毎回出演する虎達はノーギャラかつ現場までの交通費は自費だったという。
決しておちゃらけたバラエティ番組などではなく、重苦しい空気の中行われる緊張感があるリアリティ番組だったのである。シンプルゆえにセットもなにもない会議室で毎回行われていた。
志願者の計画の詰めが甘いもの、態度が悪い志願者等だと容赦なく罵声が飛ぶ(例『アホンダラ!』『謙虚になれよ!』など)。時には志願者への人格否定な罵声もあった。また、あまりにも酷いプレゼンだった場合は社長が退席する事もあった。
そんな中で社長達が納得した者は希望出資額の出資金を獲得でき「マネー成立」となる。納得させられなかった場合は「ノーマネーでフィニッシュ」となり終了となる。
なお、よく勘違いされやすいが、実はマネー成立そのものがゴールではない。獲得者は事業計画に則ったノルマが課せられ、実際に起業してからが本番でありノルマを達成できなかったら不成立となる(おそらくは詐欺として出資金を持ち逃げされる事を防ぐ為だと思われる。もっとも収録で顔が割れているから実質的には不可能なのだが)。実際、マネー成立したものの起業に失敗した志願者が多い。
また、その内容故に、金曜20時台に移行した時には「これゴールデン(19~21時台のこと)で放送するのはどうなのかしら?」と懸念を示す人も少なからずいた。現在では少なくとも地上波では不可能だと思われる。
海外でもこのマネーの虎と同じ形式の番組が世界各国で行われていた事もある。もちろんシビアさは同様。
その他
実は司会者である吉田栄作も、とあるアイドルプロデュース志願者のプレゼン内容があまりにも酷くて憤慨し一時的に退席した事がある。これは志願者の計画が芸能界を舐めていた・やるにしても未完成すぎる計画だった為。一応、司会者の立場である為、虎(社長)達にきちんと断りを入れた上で進行の妨げにならない形での一時退席である。事実、その志願者は育成しているというアイドル候補生達のデモンストレーションを虎達の前で行い実際に放送されたがあまりにも低すぎるクオリティであり酷い有様だった。こういう事もありさすがに放送ではアイドル候補生達はプライバシーの観点でぼかしをかけられていた。
なお、吉田は専門外の業種は基本的にわからない事が多い為、基本は志願者の付き添い人的立場ではあるが芸能界に生きる者としてそのデモンストレーションを見る事を拒否した退室だったのである。おそらく唯一、志願者を見放した形だったと言える。同じく同業である虎の一人、ひばりプロダクション社長の加藤和也も最初は計画そのものに興味を示していたが結局はその未完成すぎる有様に不快感を顕にしていた。
収録はされたものの、一度放送中止(お蔵入り)になった事もあり、その志願者と虎つまり当事者同士での問題が解決された為にその回はようやく放送された。
虎の中には「マネーの虎に出ずとも出資が集まるんじゃないかと思える志願者がいる」「虎を唸らせるほどの完璧な事業計画を立ててる志願者はむしろこの番組を利用した宣伝行為じゃないのか」「あまりにも杜撰すぎる事業計画を持ち込んでくる志願者が出てくるのは何故なのか」とスタッフに問いただした虎もいたとのこと。
一応、番組に出る志願者はその前にスタッフとの面談を経て審査は行われていたとのこと。
番組終了後
番組終了後、虎達の何名かは事業失敗で転落していた。
例えば、あれだけ辛辣に志願者に激を飛ばしていた小林敬は長崎県での新規事業(長崎オランダ村跡地)のプロデュースを行うも半年で経営破綻による失敗、自身の会社の解散の憂き目にあっている。当然ながら世間では落ちぶれた虎の印象が付いてしまっていた。シダックス傘下で役員に迎えられた事もあったが、辞職し現在では事業コンサルタントを行っているらしいが、活動自体は今では一般的にはほとんど知られていない。
生活創庫の堀之内九一郎は番組終了後にリサイクルショップの競合他社が増えた事による負債を抱えてしまって事業から撤退。2014年、週刊誌FRIDAYに対して「そっとしておいてほしい」と述べた後に表舞台から消えていった。
株式会社なんでんかんでんフーズの川原ひろしは、駐車場の廃止、近隣住民からの苦情などを機に、2012年に「なんでんかんでん」本店をいったん閉店させ、その後フランチャイズ店を展開するも2015年までに撤退した。のちに「しくじり先生」に出演。2018年9月に高円寺に再オープンし、2020年1月には渋谷に移転したが、コロナウイルスの影響もあってか半年経たずに閉店した。ちなみにマネーの虎の頃はどちらかと言えばラーメン店経営よりもタレント活動に重きを持っていたらしい。
美空ひばりの養子で、ひばりプロダクション代表の加藤和也も、ひばりから相続した相続した土地を含む遺産を上手く扱いきれず、またひばりファンの高齢化や記念館を巡る投資に躓き、負債を抱えているという。
だがその一方で、ボロクソにこき下ろされてノーマネーで終わった志願者の中には、その後この番組とは関係なく成功した者もいる。著名な人物だと古坂大魔王こと古坂和仁がそれで、出演から10年以上経った2016年にブレイクし、海外にまでその名を轟かせた。
その為、虎達は意外と人を見る目がなかったのでは?と語られる事も多い。
関連イラスト
※実際にあった抱き枕ビジネス志願者の回のパロディ。その志願者とは抱き枕業界で有名なあのチャンコ増田氏である。