概要
アメリカの半導体メーカー・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が開発しているGPU、およびそれを搭載したビデオカードのブランド名である。
かつてはATiが開発しており、2006年にAMDに買収されて以降もしばらくはATiブランドで販売されていたが、2010年のHD 6000シリーズをもってブランドもAMDに統合された。
AMD公式では「レイディオン」読みだが、日本のユーザーの間では「ラデオン」や「ラディオン」のようにローマ字読みされることが多い。
歴代の主な製品
R100世代(無印7000シリーズ)
アーキテクチャ・コードネーム | R100/RV100/RV200 |
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製造 | 180~150nmプロセス |
- RADEON 7500
- RADEON 256 → RADEON → RADEON 7200
- RADEON VE → RADEON 7000
HD 6000シリーズ
アーキテクチャ | VLIW5/VLIW4 |
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コードネーム | Northern Islands |
製造 | 40nmプロセス |
- HD 6990
- HD 6970
- HD 6950
- HD 6870
- HD 6850
- HD 6790
- HD 6770
- HD 6750
- HD 6670
- HD 6570
- HD 6450
HD 7000シリーズ
アーキテクチャ | GCN 第1世代 |
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コードネーム | Southern Islands |
製造 | 28nmプロセス |
新アーキテクチャ「GCN」を採用した最初のシリーズ。
- HD 7990
- HD 7970 GHz Edition
- HD 7970
- HD 7950
- HD 7870
- HD 7850
- HD 7790
- HD 7770
- HD 7750
- HD 7730
なお、HD 8000シリーズも存在しているが、OEM向けの展開であることと、ラインナップのほとんどがHD 7000シリーズの使いまわしなので省略する。
R5/R7/R9 200・300シリーズ
アーキテクチャ | GCN 第1世代/第2世代/第3世代 |
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コードネーム | Sea Islands/Volcanic Islands |
製造 | 28nmプロセス |
200シリーズは2013年、300シリーズは2015年に登場。
このシリーズはGCNの世代がグチャグチャで非常にわかりにくい。
たとえばR9 380系では第3世代だったのが、R9 390系で第2世代へ逆戻りするなど、下剋上が起こってしまっている。
なお、100シリーズではなく200シリーズから始まっているが、それについて特に理由はない模様。
- R9 295X2 (GCN2)
- R9 290X (GCN2)
- R9 290 (GCN2)
- R9 285 (GCN3)
- R9 280X (GCN1)
- R9 280 (GCN1)
- R9 270X (GCN1)
- R9 270 (GCN1)
- R7 265 (GCN1)
- R7 260X (GCN2)
- R7 260 (GCN2)
- R7 250X (GCN1)
- R7 250 (GCN1)
- R7 240 (GCN1)
- R5 230 (もはやGCNですらない)
- R9 Fury X (GCN3)
- R9 Nano (GCN3)
- R9 Fury (GCN3)
- R9 390X (GCN2)
- R9 390 (GCN2)
- R9 380X (GCN3)
- R9 380 (GCN3)
- R7 370 (GCN1)
- R7 360 (GCN2)
RX 400・500シリーズ
アーキテクチャ | GCN 第4世代 |
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コードネーム | Polaris(ポラリス) |
製造 | 14nmプロセス |
400シリーズは2016年、500シリーズは2017年に登場。
このシリーズから、コードネームに恒星の名前が使われるようになり、また、「DirectX 12」「Vulkan」などの最新APIに最適化された。
今までのシリーズと比べると、ラインナップが見違えるほどスッキリしており、(自作市場に流通しているものであれば)GCNの世代もすべて統一されている。
なお、この400・500シリーズでは6万円以上のハイクラスモデルは登場せず、その役割は後述するRX Vegaシリーズに譲ったのだが…
- RX 480
- RX 470
- RX 460
- RX 590 (これだけ12nmプロセス)
- RX 580
- RX 570
- RX 560
- RX 550
RX Vegaシリーズ
アーキテクチャ | GCN 第5世代 |
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コードネーム | Vega(ベガ) |
製造 | 14nmプロセス |
2017年登場。
Rx 300シリーズ以来、約2年振りとなるハイエンド帯を担ったシリーズ。
GeForce(GTX 10シリーズ)とは性能面でしっかりと戦えてはいたものの、電力効率はとても悪く、無駄に高い消費電力がネックとなっていた(特にVega 64)。
さらに、同時期に発生した仮想通貨マイニングブームのせいで、ビデオカードの入手性が悪くなっていたことも災いし、人気は低かった。
なお、後の2019年には、7nmプロセスを世界で初めて採用したGPU「Radeon VII」が登場している。
- RX Vega 64
- RX Vega 56
- Radeon VII (7nmプロセス)
RX 5000シリーズ
2019年登場。
これまで使われてきた「GCN」アーキテクチャは、ゲーム用途も科学計算用途(コンピューティング)も一つのアーキテクチャでこなしてしまおう、という思想で設計されたものだったが、その半端なやり方のせいで、競合のGeForceとは性能でも電力効率でも劣ってしまっていた。
この事態を受け、ゲーム特化のアーキテクチャとして作り直されたのが「RDNA」である。
GeForceに先んじて、一般消費者向けビデオカードとしては初となるPCI Express 4.0に対応。
GeForce(RTX 20シリーズ)より電力効率で優れていたが、実性能では追いつくことが出来ず、7万円以上のハイエンド製品も出せず仕舞いだった…
- RX 5700 XT
- RX 5700
- RX 5600 XT
- RX 5500 XT
RX 6000シリーズ
2020年登場。
TSMCの7nmプロセスで製造されたという点では、前作RX 5000シリーズと同じだが、回路設計は新しくなっており、電力効率と動作クロックが大幅に引き上げられた。
これまでのRadeonは、GeForceに対して性能で後れを取っていたが、この改良のおかげで、同世代のGeForce(RTX 30シリーズ)と対等に渡り合える実力を手にすることができた。
また、このシリーズから初めてレイトレーシングに対応する。
RX 5000シリーズでは出ることのなかったハイエンドモデルもしっかり登場している(RX 6800以上)。
同じAMD社のCPUである、Ryzen 5000シリーズ搭載という条件付きではあるが(※)、GeForceにはリアルタイムレイトレーシングの性能こそ劣るものの、スペックは大きくは変わらず、ワットパフォーマンス(電力効率)では優位に立っている。PS5やXbox Series X/SのCPUやGPUを請け負った実力は本物であった。
但し、PCゲームではソフト側が最適化されていないと性能を生かしきれないこともあったため注意。
※Ryzen 5000シリーズと組み合わせた際に、本来よりも高い性能を発揮するとのこと。具体的にはCPUがPCI Expressバスを通してこれのVRAM全体にアクセスできるようにする技術「SAM」によるもの。
なお、SAMの仕組み自体はAMDが独占しているわけではなく、元々は今まで誰も使ってこなかったPCI Expressの標準機能を、AMDが初めて使い始めたというだけのことであり、順次IntelやNVIDIAのような競合他社でも対応する予定である。
- RX 6900 XT
- RX 6800 XT
- RX 6800