概要
ダンマーとは、タムリエル大陸北東部にあるMorrowind(モロウウィンド)出身のエルフ族で、青黒い肌と赤い瞳を持ち、ダークエルフとも呼ばれる種族のこと。キャラメイク時にプレイヤーキャラクターの種族として選択することも可能。英語の綴りは「Dunmer」(Dark Elf)。
エルフらしく知性、魔力共に優れているのは勿論のこと、炎に対する先天的な耐性と優れた肉体的な能力を持っているため、魔術師や魔法戦士としての適性に秀でている。家族の繋がりや身内感情、祖先や家名をとても大切にする種族で、義理堅く人情深い性格。
反面、外部の者に対しては非常に排他的で人当たりが悪く、攻撃的で捻くれた態度をとることから他種族からは嫌われてしまうことも多い。さらに主な崇拝対象として他種族では邪神として扱われている事も多いDaedra(デイドラ)を信仰している上に、禁忌の術として嫌われている死霊術にも似た宗教儀式を風習として持っていることも、これに拍車をかけている。先祖の遺体の一部、特に遺骨を御守りに用いるのだが、他の種族にはこれが、ある種の死霊術に見えてしまうわけだ。特にノルドとは神話の時代からの仇敵であるため非常に仲が悪く、他のエルフ族や同じく先祖崇拝の風習を持ちながら霊魂に対する価値観が根本的に異なるレッドガードからも良い感情を持たれてはいない。
ただし、デイドラ信仰については、どの神を特に奉じるかによる違いもある。悪しき邪神と見なされるデイドラもいるが、特に信徒が多いAzura(アズラ)のように人間にも信者が多くそれほど人間社会で邪悪と見なされないデイドラを信じるダンマーには、問題なく人間社会に溶け込んでいる者も少なくない。アズラは宵と暁の女神、チャイマーというエルフの一族を守護していたが、禁じられた武器を使ったことに怒り、一族全員を呪って青肌赤眼の今のようなダンマーの姿に変えてしまったという恐るべき神話がある。しかし、その後も忠実であったダンマーを守護しているのは事実なようで、レッドマウンテンの噴火を事前に警告し、これを信じたダンマーたちを壊滅前にモロウウィンドから脱出させたという。謀略や裏切りなどを司る神Mephala(メファーラ)も迫害されていたダンマーに隠密や暗殺の技を教え、広く崇拝されるデイドラである。虚偽や反逆などの神Boethiah(ボエシア)もまた、ダンマーを熱心に支援して崇拝されてきた。これら二柱は暗殺や裏切り等を教義としている為、他種族からは邪神扱いされることが多い。アズラ・メファーラ・ボエシアの三柱は、「善き」デイドラと呼ばれて、ダンマーの主神的な位置にある(作中書籍『守護者たち』)。一方で身体的に脅かすMalacath(マラキャス)、破壊をもたらすMehrunes Dagon(メエルーンズ・デイゴン)、血統の略奪者Molag Bal(モラグ・バル)、狂気のSheogorath(シェオゴラス)という四柱のデイドラは災いの徒党と呼ばれて忌み憎まれる。これら悪しきデイドラの崇拝者は邪教徒として、ダンマー社会からそして帝国への加入後は帝国軍からも、追われることになった(作中書籍『災いの徒党』)。
かつてのダンマーは、Almalexia(アルマレクシア)、Sotha Sil(ソーサ・シル)そしてVivec(ヴィベク)というダンマーでありながら神に匹敵する力を持つ、現人神が統治し守護していた。善きデイドラの守護されたこの三柱をトリビュナルと呼ぶ。強大なトリビュナルに守られたダンマーは、本拠地のモロウウィンドばかりか、隣国のBlack Marsh(ブラック・マーシュ)をも保護下に置いて住民のアルゴニアンを奴隷にしていた。しかしTES3にてトリビュナルは三柱とも消滅してしまい、その加護を失う。その結果、現人神たちが守っていた首都が崩壊、立て続けに起こった先述のRed Mountainの大噴火によりモロウウィンドは壊滅状態に陥る。さらには、TES4~TES5の間に攻めてきたブラック・マーシュのアルゴニアンによってモロウウィンドは逆に征服されてしまう。
アルゴニアンの侵攻部隊はモロウウィンドを徹底的に破壊しながら北上し、出会ったダンマーもほぼ皆殺しにするという容赦の無さを見せたらしく、噴火による荒廃も併せて首都モーンホールドを初めとする名だたる都市群は見る影もないほど崩壊してしまったらしい。一応完全に制圧されてしまったわけではなく、レドラン家主導の下にそのお膝元にあたる港町ブラックライトに首都を移し、オブリビオン動乱で活躍したレドラン家直属の精鋭部隊を中核とする戦力によってアルゴニアンの攻勢を押し留め、スカイリムにほど近い北部の沿岸地域などのごく一部の領土の維持には成功している。
しかし、それらの領土では大量に発生した難民を抱え切れるはずもなく、TES5の時代では多くのダンマー達は各地方に散り散りになって落ち延びたり、solstheim(ソルスセイム)島のような北西の果てにある僻地の片隅に追いやられる羽目になってしまっている。
特にSkyrim(スカイリム)地方に落ち延びて来た難民のダンマーと、彼らが自分達の土地に入り込んでくることを快く思わない排他的なスカイリムのノルドの間の差別意識や確執は深刻なものとなってきている。モロウウィンドに近く、多くのダンマーがまず逃げのびてきたスカイリム東部には排外的でノルド至上主義的なノルドが多いこと、また彼らを背景にした反帝国軍ストームクロークが成立したことも問題を悪化させ、街にダンマーのスラム街が成立したりしている。逆にノルド至上主義が薄いスカイリム西部では、戦士としても魔術師としても強く義理人情を重んじる気質から、重要な地位についているダンマーも少なくない。
また、このような経緯からアルゴニアンに対して恨み骨髄となっているダンマーも多く(ウィンドヘルムでは自分たち以上にノルドから疎外されているアルゴニアンを嘲笑っていたり、ソルスセイムでは島に渡って来たアルゴニアンの一般人を排除したりしている)、オブリビオン動乱に続いてまたもや援軍を出さなかった帝国への失望・不信も増大している。