「極道ってのはなぁボクシングとは違ぇ 喧嘩に負けたヤツが敗者になるんじゃねえ 最後まで“張り続けられなかった”ヤツが負けるんだよ」
CV小沢仁志
概要
三人の若頭補佐の中ではリーダー格でもある。元プロボクサーで堂島組の「暴力」を引き受ける極道で、性格は一言でいえば“凶暴”そのものだが、一方で自分の面目や欲得にこだわらず、唯自分の「意地」と「信念」のみを貫こうとする、『武闘派』という言葉を地で行く性格。
「カラの一坪」で発生した事件をきっかけに風間派の切り崩しを画策して桐生一馬と敵対するが、桐生にタイマンで敗れた事で、堂島組長や兄弟達に対して面目を潰され、以降、若頭補佐における地位は一気に転落し、阿波野、渋澤達にいいようにこき使われ、堂島組の平組員からも半ば舐められた口を叩かれるまでになる。
それでも、自分に土をつけた桐生への復讐心から、兄弟達に利用されている事を承知の上でその刺客役を引き受け、合計5回と、龍が如くシリーズの中でも最多の戦闘回数を対決する。しかも1戦目の段階で「ケジメ」としてエンコを詰めている(=小指を切り落とす)のにも関わらずである。
2戦目ではバイクと鉄パイプ引っ下げ突撃、3戦目はメリケンサックをはめ、4戦目は部下の失態であるものの言い訳せず、5戦目ではbgmが変わり仲間や武器などの小細工無しで挑んでくる。
桐生の事は当初は「極道になりきれていない半端者」と見下していたが、幾度に渡る対決の中で桐生の心に潜む「真の極道」の魂を見出し、憎みつつも一目置くようになる。
やがて、己の胸中を明かした上で最後の決闘を挑んだ際には、桐生からもその誇り高き生き様に改めて敬意を向けられ、カタギになってからは呼び捨てとタメ語で呼んでいたものを「久瀬の兄貴」と呼び、言葉遣いも敬語に改められた。
その戦いに敗れると、どこか吹っ切れた様に桐生を真の極道として認め、同じく「真の極道」になろうと暴走する渋澤の居所を明かし、彼を止める事を桐生に託した。
騒動解決後、桐生に倒された渋澤と共に警察に逮捕された事が東城会幹部会の中で明らかにされた。
阿波野も騒動の渦中で死亡した事で、三大若頭補佐全員を喪失した堂島組は一気に弱体化する事となる。
久瀬の兄貴の受難
5度も戦う事もあってイベントが多い。当然毎回返り討ちに遭うのだが、イベントで酷い目に遭ってしまうのが久瀬の兄貴。以下兄貴の受難。
- エンコ詰め
1戦目が終わると「親父に嘘をついた」、「勝手に桐生を破門にした」、「カタギの桐生に暴力を振るった」、などの理由からまな板とドス(通称どこでもエンコセット、ケジメスターターキット)を渡されケジメとしてエンコを詰める。
- バイクで豪快転倒
2戦目冒頭。下水道で鉄パイプ片手にバイクで疾走して襲ってくると言う謎すぎるスタイルで登場。
桐生をバイクの勢いを使い鉄パイプで殴るのだが殴った後勢い余って豪快にスリップ。全身下水に浸かることとなる。直後に阿波野からも「やっぱり兄貴はしくじったか」など『奴は四天王の中でも最弱』的な事を言われてしまう。
余談だがこのバイク、どうやって下水道に持ち込んだかは不明。ちまちま分解して持ち込んだのだろうか。
- スポーツカーに跳ね飛ばされる
3戦目終了後。なんだかんだあって桐生の頭カチ割る状態を作るのだが、金属バットを振り上げた瞬間ペーパードライバーの立華にスポーツカーで突っ込こまれボンネットに乗り上げそのまま車の上を転がる。バイク事故を起こした後は交通事故に。スネあたりが骨折しないのだろうか。
- 部下が人質を殺してしまう
人質が拷問に口を割らないと判断した兄貴は違う方法で吐かせようとしたが、血の気の多い部下が命令を聞かず、あまつさえ兄貴に立て付く始末。これ以上殴れば死ぬと分かっていた兄貴だったが、そんな事もわからぬ部下が鈍器で殴ったことで人質が死亡。そのシーンを目撃した桐生が激怒。桐生と戦闘開始。負けて這いつくばることに。
このシーンは戦闘前に立華を傷付けられた事に怒り狂う桐生に殴られるシーンがあるが、彼なりのケジメなのか一切無抵抗でわざと殴られた可能性が高い。
- 逮捕される
5回目の決着が付いた後に逮捕され懲役10年に。
カラの一坪騒動で阿波野は死亡。渋澤も逮捕された事で堂島組は戦力的に弱体化。堂島組長も失脚する事に。
以上のように散々な目に遭ってしまう。元々エンコとバイクは彼の不手際であり、失態続きで部下の求心力を失ってしまうのも仕方のない事ではあるのだが何度も不憫である。
とはいえ、前述したとおり、その愚直なまでに極道としての意地と誇りを貫かんとしたその生き様にそれまではどちらかといえば軽蔑していた桐生も兄貴に対する認識を改め、ラスボスの渋澤も「張り続ける限り負けじゃねぇ」と言う兄貴と同じ志を大事にしており、後に『伝説の極道』となる桐生のヤクザとしての筋道に大きな影響を残す事が出来た事は兄貴にとってはせめてもの救いだったのかもしれない…
その後
なんと龍が如くOnlineの「黄龍放浪記」にて再登場する。獄中で10年過ごした後、東城会に復帰し、2代目代行である二井原隆の手立てで荒川組に助っ人として送られる。
更にonlineではエンコ詰めから2戦目の時間が描かれ、あのバイクは昔惚れた女の為に組を抜けた鬼怒川と言う兄弟から貰ったものであった事が判明。
エンコの件もあり精神的に悩んでいた為気分転換も兼ねて久しぶりにバイクに乗ろうとしたらバイクがポンコツ化。改造のし過ぎでそこらの修理屋には直せない為、唯一修理可能な兄弟に15年振りに訪れるが、ヤクザ相手に商売はしないと断られ引き下がる。
実はその兄弟は15年経ったにも関わらず、元ヤクザとして警察が守る善良な市民ではないと認識されており、カタギとして積み上げた立場を守る為に土地の権利書を奪いに来るヤクザの嫌がらせに何の抵抗もせず耐えるだけであり、惚れた妻子もとっくに出て行ってしまった事が判明。土地の権利書を奪われた兄弟の為に敵対ヤクザの元に兄弟に修理して貰ったバイクと共にカチコミ、権利書を奪い返し、最後に兄弟と「張り続ける限り負けではない」と互いに誓い合い、渋澤からの呼び出しに応じ、桐生との第二ラウンドに向かって疾走する所で終了する。
ストーリーの評価の高いonlineだが、兄貴の過去と漢気がわかるストーリーとして特に人気が高い。
余談
久瀬を演じた小沢仁志が、2021年に自身のYoutubeチャンネル「笑う小沢と怒れる仁志」にて、『龍が如く0』の実況プレイ企画動画を投稿。奇しくも小沢(久瀬)VS小沢(本人)という構図が描かれることとなった…ミラーマッチかな?
はじめて手にするPS4コントローラーやシリーズ独特の操作性に悪戦苦闘しつつ、昨今の3DCGの進化やヒートアクションやムービーシーンでの演出の数々、ストーリーの奥深さなどは絶賛しており、終始楽しそうにプレイを進めていた。
プレイ中は収録当時のことを振り返り、ダンボール詰めの膨大な台本を渡され面食らったこと、他の二人(阿波野や渋澤)に比べて自身がモデルの久瀬の顔が怖すぎること、発売後は小学生からからかわれたり、逆に久瀬と5度も戦うことになったことに文句を言われたこと…などなど、ボヤきを絡めたコミカルなエピソードを数多く語った。