概要
ビッグコミックスペリオール連載作品である機動戦士ガンダムサンダーボルトの外伝にあたる作品であり、ビッグコミックに前後編の読切という形で連載された。作者の太田垣氏のコメントによると、地上戦のリクエストが多かったので、舞台が地球上となったとのこと。
登場人物
砂鼠たち
一年戦争後、地球の砂漠地帯でMSなどのスクラップを回収、闇ルートに流す者たちの総称であり、主人公も砂鼠として生計を立てている様子。
ショーン・ミタデラ
本作の主人公。両腕が義手の、一年戦争を生きぬいた兵士。劇中の雑談や、容姿から言って機動戦士ガンダムサンダーボルトに登場するジオン軍兵士「ショーン・ミタデラ曹長」と見て間違いないと思われたが、(機動戦士ガンダムサンダーボルトでは、フルアーマーガンダムの砲撃を受け、搭乗機が爆散したように見えるが、その様子はダリルが遠目で確認しただけである)後編ラストで、ついに自ら「ショーン・ミタデラ」と名乗った。現在は流れ着いた地球の砂漠で、砂鼠兼、用心棒としてたくましく生きている。搭乗機は「グフ・ショーンカスタム」。因みに親分に話を振られた結婚については「結婚なんて・・・戦争より大変そうだ」とあまり乗り気ではない様子。
親分
ショーンを用心棒として雇った人物。恰幅の良い容姿がいかにもという感じである。ショーンに結婚を勧めた。粗暴な感じを見せつつも、なんだかんだで家で待つ女房や子供を気にするよき父親のようでもある。後述する連邦軍兵「モニカ・エル・ビアンカ」の身の安全のために、あえて拾った”お宝”を手放そうとするなど、意外と義に厚いタイプでもあるようだ。
ボウゴ
親分のチームで、監視用バルーンに乗って周辺警戒をするのが役目。ショーンと親分の結婚の話に割り込み、「言葉の通じない女もいいもんだぜ」とアドバイス(?)した。ショーンのピンチには、仲間達とともにバズーカを撃ちながら援護に入ろうとした(ただし、距離が離れていたのであまり意味は無かったのだが)。
ミント
チームの母艦であるホバークラフトの操舵を担当する。カタコトのような口調が特徴的。結婚話の最中に「鉄クズ売って、赤ン坊のミルク買う」とショーンに一言(厳しい環境ながら今の生活に充足しているのが伺える台詞かもしれない)。ショーンがガンタンクを撃破したときには「ハラショー!」と叫んでいた。
地球連邦軍
砂漠の鷹旅団
地球連邦宇宙軍(EFSF)所属の部隊と思われるが、「軍人の皮を被った盗賊団」というのが本性らしい。親分いわく、汚職まみれの連邦上層部とも繋がりがあるとのこと。
****団長
旅団長と思われる人物。的確な判断と、地形を利用した戦術で、ショーンのグフを追い詰める。傍らにいる鷹には、任務中でも餌を与えていた。後述するGアーマーの撃墜を指示した犯人であり、これの回収を目論む。劇中の台詞から察するに、売り飛ばして自分達の賞与にするものと思われる。
戦闘後、艦橋が破壊されたときのショックからか、傍らにいた鷹は逃げてしまったようである(しかも、ちゃっかり親分達のところに行ってたりする)。
モニカ・エル・ビアンカ
片足が義足の女性兵士。後述するガンダムタイプMSのパイロットであるが、ショーンと旅団との戦闘が激化するまでは気絶していたが、戦闘の狂騒で覚醒、砂漠の鷹旅団の母艦をビームライフルで撃退した。
同じ連邦軍を撃ってしまったからなのか、貞操の危機を覚えたのか、砂鼠達にコックピットを覗かれた際に拳銃を自らのこめかみに当てて応対していたが、親分に諌められる。
因みに砂漠の鷹旅団所属ではない。
メカニック
グフ・ショーンカスタム
主人公ショーンの愛機。ローンで購入したものに、砂漠での行動がしやすいように、バックパックに可動式のファンを二基、脚部にホバーを装備している。砂鼠としての回収作業の効率化も意識してか、自衛用の装備も3連装ガトリング砲と、ヒートロッドのみであり、特徴的なスパイクも取り外されている。チームの移動時は、後述するホバークラフトの後部ハッチに摑まり、推進器代わりとしても使用される。
ヒートロッドは今までのグフタイプのように、「敵に向かって発射する」のではなく、「敵の進路に仕掛ける」ものとなり、敵が触れた瞬間に、MS側から高圧電流を流し攻撃するものとなった(なお、このとき肩のマイナスモールド(グフのスパイクがあった場所)から、円柱状のパーツ(避雷器?)が引き出される描写がある)。ショーンカスタムはリミッターの解除でもしたのか、ヒートロッドを使った直後にエネルギー切れを起こしてしまった。
ホバークラフト
親分たちのチームが、回収したスクラップを運ぶのに使用するホバークラフト。防護目的なのか、多種多様なMSのシールドが外壁に貼り付けてある。改造されていて分かりづらいが、ギャロップのような意匠も散見できる。
ビッグトレー
砂漠の鷹旅団の母艦。周辺物との対比を考えると、「ミニトレー」の可能性もある。後述するガンダムタイプのMSに艦橋を打ち抜かれてしまった。
ガンタンク
砂漠の鷹旅団の主力機。既存のガンタンクのデザインとは大きく異なり、特にコックピットでもある頭部は、二門のキャノン砲の間に埋もれたようなデザインとなっている(どちらかといえば局地制圧型ガンタンクに近いフォルムといえるかもしれない)。さらに、腕部ミサイルランチャーも、通常のジムに近いアームユニットに外付けしたような形となっている(この点はガンタンクR-44に近い。パーツ構成的には、ジオン軍のヒルドルブに類似している。)。ショーンが仕掛けたヒートロッドに見事に引っかかり、撃破されてしまった。
Gアーマー
親分たちのチームが回収しようとした爆撃機(なお、親分はこの機体を見たことは無く、団長も「幻の一品」と言っている{ただ、団長のこの言葉は”中身”を指している可能性のほうが高い})。ここに、砂漠の鷹旅団の横槍が入り、乱戦となってしまう。Aパーツ側のコックピットは打ち抜かれたものの、”中身”の方のパイロットは生存していた。
ガンダムタイプMS
砂漠の鷹旅団が撃墜したGアーマーに格納されていたMSであり、砂漠の鷹旅団が狙っていたと思われる”幻の一品”。一見、陸戦型ガンダムに似ているが、胸部インテークが二つあることや、頭部のデザイン(因みに、とさか部分はザクキャノンのラビットタイプに似ている)などから別の機体のようにも見えるが、劇中では一切の説明が無かったので詳細は不明(ただし、陸戦型ガンダムの設定を考えると、同機のバリエーションの一種という推察も成り立つ)。
ザクⅡ
冒頭の一年戦争開戦時の場面に登場する。機動戦士ガンダムサンダーボルトに登場するザクと同じバックパックを装備していることを考えると、この装備自体は普遍的なものであるようだ。なお、同じシーンでシャア専用ザクのような紅いタイプも登場する。
ザク・デザートタイプ
冒頭、ショーンのグフが回収していたスクラップとして登場。全体のディテールなどは砂に埋もれていたので判然としない。
モデラー向け?
機動戦士ガンダムサンダーボルト単行本第2集には早くも、今作のガンタンクとグフ・ショーンカスタムの設定画が載っていたりする。