CV:立木文彦
概要
ザンスカール帝国のベスパの軍人。階級は大尉。乗機はゾロ。
ラゲーン基地所属のMSパイロットで、ワタリー小隊を率いるスキンヘッドで髭面の厳つい黒人男性。
ベスパ内では「『騎士道精神』を掲げている」として知られていた。
小隊隊長として、バクー・チーとディ・トランプの両名の部下を率いていたが、前者は戦場での見苦しい行為に失望してMSを撃墜、後者は捕虜となったカテジナに狼藉を働こうとした上に、それを止めに入ったクロノクルに暴言を吐いた為に射殺すると、自身の手で粛清の形で殺害している。
この行為に対してクロノクルから「これが騎士道か?」と問われた際には「(騎士道は)所詮は理想」と平然と答えている。
しかし、実際は自身の手で部下を殺してしまった事実を悔み、そのきっかけとなったVガンダムに憎悪を燃やし、それに挑み苦戦させるものの敗北。Vガンダムのパイロットが年端もいかないウッソ・エヴィンだった事を知るや、「まだ、(普通の男の子として)遊んでいたい年頃だろうに……」と衝撃を受けてしまう。
そして「こ、子供が戦争をするもんじゃない……。こんな事をしていると、皆おかしくなってしまうぞ……。そうなる前に、モビルスーツを降りたほうがいい……」と、【子供が兵士として戦争に参加している】残酷なる現状に嘆き自害した。
人物像
一見すると自他に厳しく真面目で実直な職業軍人だが、小隊の部下を自身の手で粛清してしまう等、常軌を逸している部分が強く、更には『騎士道』を掲げていながらも「所詮は理想」と切り捨てる言動から、胡散臭い部分も感じられる。
その一方で、この常軌を逸した自身の行いを深く後悔したり、子供が戦争に参加している状況を是としない良識も描かれており、かなり矛盾した両面を併せ持つ。
これ等の言動から鑑みると、自身の『弱いが故に優しい本心』を『戦争』から守る為に、分かり易い美辞麗句にすがって誤魔化し続けているように見える(そのような無理の反動が、上記にある『部下の粛清』に繋がったと思われる)。
本質
自らが掲げる「騎士道」なるものが、最早時代遅れの産物になってしまった事実に自覚できないまま、部下の狼藉や子供が戦場に出る等の理不尽な現実の前に絶望感を覚えてしまう。
部下殺しの実行後は自暴自棄となったのか、騎士道とは程遠いゲリラ戦術をウッソに仕掛け、呆気なく敗北してしまうのも皮肉である。
『自らの理想である「騎士道」を貫こうとするも、身も蓋もない理不尽な現実の前に敗北してしまう哀れな軍人の姿』を、富野監督が最大限の皮肉を持って描いたキャラクターとも評価できる。
関連タグ
機動戦士Vガンダム ザンスカール帝国 ファラ・グリフォン クロノクル・アシャー ウッソ・エヴィン カテジナ・ルース バクー・チー ディ・トランプ