概要
1902年(明治35年)1月に日本陸軍の歩兵連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件である。
遭難した青森歩兵第5連隊の訓練参加者の総勢は210名だったが、その内199名が凍死する(生還した9名のうち6名は救出後死亡)という近代の登山史における世界最大級の遭難事故となった。
この事件は冬季の自然の脅威の他に、遭難した連隊の知識不足・準備不足・過信が事件の要因となっている。
小説化・映像化
天ハ我々ヲ見放シターッ!!
この事件を元に、新田次郎が1971年に「八甲田山死の彷徨」という小説を発表した。そしてこの小説を原作とした映像作品が2作作られた。
ひとつは映画「八甲田山」であり、1977年に東宝系の映画館で公開された。出演は高倉健、北大路欣也、緒形拳、加山雄三、三國連太郎ほか。
もう一つはテレビドラマ「八甲田山」であり、1978年4月4日から5月9日にかけて、TBS系列全23局(当時)に加えフジテレビ系列局約1局にて放送された。
出演は原保美、村野武範、中山仁、目黒祐樹、高橋幸治ほか。
一方、小笠原孤酒という、青森県在住であった在家の研究家によるドキュメンタリー小説「八甲田連峰吹雪の惨劇」が存在しており、これを基にしたイタリア映画「Mount Hakkoda」が存在する。なお、新田次郎は、「八甲田山死の彷徨」を執筆するにあたり、小笠原孤酒の協力を得てはいる。