概要には全財力の5分の3を注ぎ込んだ
当時としては最新式の船体を金属で覆った装甲艦の一種。
日本の国家転覆を目論む志々雄真実およびその配下の佐渡島方治が外国の武器商人から志々雄の組織が持っていた総予算の6割(全財産の5分の3)を叩いて購入したもので、強力なアームストロング砲やガトリング砲を装備している。
同一派にとっては正に最大の切り札であり、志々雄は十本刀の京都襲撃を囮にして東京に直接的な攻撃を仕掛けるだけでなく、煉獄の襲来を幕末の黒船来航(当時は外国からの侵略と思われてパニック寸前になったといい、それから20年そこらしか経っておらず、まだ人心の中に残っていたその時の恐怖を突くという狙いだった)に見立てて人心の不安を煽って大きな混乱を引き起こし、それに乗ずることで明治政府への攻撃計画をスムーズに進めようと企んでいた。
木造のボロ船に偽装して大阪湾に運び込まれ、志々雄の前に立ちはだかる緋村剣心らの前に初めてその威容を露わにし、そして志々雄(と方治)はこれに乗って意気揚々と東京に向かおうとした。
しかし、それを阻止しようとした相楽左之助が投げた月岡津南から託された小型炸裂弾(×3)の爆発により船体に致命的なダメージを受けて浸水および炎上、その威力を発揮する間もないまま、進水直後にあっけなく沈没してしまった。
この予想外の事態に方治は動揺と怒りを隠せず、志々雄もその時は「自分自身のミス」と一応平静を装っていたものの、やはりというか内心では相当頭に来ていたようで、後にその左之助と自身の配下の一人である悠久山安慈を戦わせようとした際にはその安慈に「(左之助の)頭蓋骨を引き抜いてもってこい」とめちゃくちゃ過激な注文をつけていた。
当初は方治が海外の武器商を駆け回って手に入れたとされていたが、後に描かれた番外編ではとある軍閥部隊が計画していた購入契約案を志々雄達が奪取する形で買い取ったことになっている。
余談
形状からして元ネタはおそらく現実世界において幕末時代の新政府軍がアメリカから購入したという“ストーンウォール”こと“東艦”と思われる。
ちなみに上記の残念過ぎる末路に関しては最終決戦の地になる予定が連載当時に作者がアシスタントらの「(煉獄を)描くのがめんどくさい」という意見を受けて、「じゃあ早めに沈めてしまおう」と、あっさりこれ以上の煉獄の描写を破棄することに決めたからだとされている。
ちなみにそのアシスタントの一人は、その後も何千隻と船を描く事になる尾田栄一郎である(笑)。
他にもこの件は未だに読者の間で「たった数発でこの船を破壊できる爆弾を作れた津南こそ最強」とか「志々雄と方治はぼったくられて欠陥品を掴まされた」と囁かれているとかなんとか。
後の新京都編と実写映画版では初期案どおりに最終決戦の地となる。後者では大掛かりなセットとして再現され、新政府軍からの砲弾を雨のように受けながらもそう簡単には沈められることはなく、剣心たちと志々雄一派の決戦の場として活用された。