ムクドリ
むくどり
概要
鳥綱スズメ目ムクドリ科の鳥で、雀よりは大きく鳩よりは小さい。翼と胸、首は茶褐色で、首から頭にかけてと腰に白い部分が混じり、足と嘴は黄色。雄は胸や腹・背が黒っぽく、雌は褐色に近い。東アジアに分布し、日本中何処にでも居る。後述の生態から、害鳥扱いされることが多い。
生態
雑食性で、植物の種子や果物、虫の幼虫等を好んで食べるらしい。
冬の時期、夕方になると何処からともなく凄まじい数が都市部の大きな木に集まりねぐらを形成する。そして明け方に飛び去るが、この時に発する鳴き声が凄まじく、とにかくやかましい。
鳴き声は「ギャーギャー」「ギュルギュル」等。
ギンムクドリとも交配する事が有るらしい。
人との関係
元々は、農作物に害を及ぼす虫を食べる益鳥とされていた。平均的なムクドリの家族(親×2+雛×6)が1年間に捕食する虫の数は百万匹以上と研究されている。当時害虫を1匹駆除するのに1円掛かると言われていた為、ムクドリ1家族で年間に百万円以上の利益を国家にもたらす「農林鳥」と称えられた程であったのだが、その後、生息環境の破壊により都市に適応して大量に増殖すると、鳴き声による騒音や糞害等が、しばしば問題になる。日本国内では1994年からは狩猟鳥に指定されている。
現在日本ではムクドリを食べる習慣は無いが、昔は食べていたらしく、美味だったという。
害鳥として
長岡駅前の街路樹にムクドリの大群が発生し問題と成っていたが、捕獲したムクドリの鳴き声を収録し大音量で流す事でムクドリは去っていった。この成功例から全国の自治体から問い合わせが相次ぎ、この鳴き声を収録したカセットテープ・CDを各地に配布した所、各地でもムクドリを立ち去らせる事に成功したらしい。だが、ムクドリの数そのものが減った訳ではない為、今まで被害の出ていなかった別の街路樹で被害が発生する等、「単に少し移動しただけ」という問題もある。尚、鳴き声か、大きな音により立ち去ったのかは検証されていない。
宮崎県では新潟の例を参考にし鳴き声を録音したテープを流したが、大した効果は無かったとか。
果物を好んで食べる為、果樹園に被害を与えるとして駆除される事がある。近縁でヨーロッパ、アメリカに分布するホシムクドリにも同様の性質があり、特にアメリカでは都市部における最悪の害鳥として知られる。
日本の家庭でも庭やベランダで育てている草花が食い散らかされる被害が出ている。
例えば、花ではナデシコの苗や、野菜では、白菜・小松菜・カリフラワーの苗等のアブラナ科野菜、ホウレン草・エンドウマメの苗等が被害に遭ったという報告が出ている。
虫との被害の違いは、葉を中途半端に食いちぎられ(アオムシやヨトウムシは葉脈のみ残して食い尽くす)、その時ちぎれた葉等が黒いベチャベチャした糞と共に散乱しているので、見た目にも非常に汚らしい(イモムシ・ケムシ等に食害される方が綺麗)。
何でも食い散らかすので「悪食極まりない」と忌み嫌われている。
対策
我孫子市では天王台と我孫子両駅南北周辺の街路樹や電線に集まったムクドリの大群を追い払う為に、鷹匠(たかじょう)に依頼してムクドリが集まる木にタカ科のハリスホークを放って追い払いを実施。約2カ月で激減したとか。
千葉ニュータウン中央駅の近くに集まるムクドリ対策に頭を痛めていた印西市も、4日間鷹匠を頼んで実証実験をしている。
最後に
かつては益鳥とされていたものの、都市化が進んだことで人との間に隔たりが生じ、害鳥扱いされるようになってしまったムクドリ。確かに色々な面で人の生活に悪影響を与えている面は否定できないが、彼らだけを悪者扱いすることは非道ではないのか。
我々は再び自分達とムクドリの関係について見直すべきなのかもしれない。