「……元老院から謎の敵に関する回答あり。敵の正体は滅亡した王家……ドン家の末裔――ドンモモタロウ……現在、ドンブラザーズのリーダー。ドン家は滅亡する前にモモタロウを人間界に送り込んだ……」
概要
かつて脳人が栄えていた異世界「イデオン」を統治していた一族で、「ドン家」とも呼称される。
「王家」を名乗るだけあって、イデオンの中でも支配層に当たる存在である事が窺える一方、そのイデオンの全容が未だ明らかでない事もあり、ドン王家の統治もどこまで及んでいたかは今のところ定かではない。
作中での初出であるドン13話の時点では、ドン王家にまつわる次の事実が明らかにされている。
ドン王家は、人間の欲望を全否定する脳人の中にあって異端とも言える、「人間との共存」という思想を掲げていたが、この事がイデオンに深刻なダメージを与え、他の脳人からの反感を買った結果クーデターが勃発。彼らとの対立の末に族滅の憂き目に遭ったという。
その滅亡寸前に、ドン王家は一人の赤子を桃のカプセルに入れて人間界に送り出しており、これが後のドンモモタロウこと桃井タロウその人である。
ドン王家がイデオンに与えたダメージは、彼らの族滅(と、タロウの人間界への脱出)から20年余りが経った今なお深刻なものであるようで、ソノイたちが人間界に現れたのも、波動の乱れで不安定な脳人世界の安定のため、つまるところ「ドン王家の所業の後始末」と捉える事もできる。
こうした事情から、彼らも含めた脳人たちからは「裏切り者」として大きな憎悪を抱かれており、その背後に控える元老院からも抹殺対象に指定されている程である。実際にドン王家の末裔の存在が明るみとなり、さらにその末裔が今まで正体を知らずに親しみすら感じていたタロウであると判明するや、ソノイが彼の「美点」を逆手に取って躊躇なく着実に討滅に動いた事からも、彼らの抱いているドン王家への反感や潜在的な危機意識が、如何に強烈なものであるかが窺えよう。
ドン王家の存在は、本作がモチーフの一つである『桃太郎』と同様に貴種流離譚としての性格も備えている事、そしてドンブラザーズ(タロウ)と脳人の戦いがヒトツ鬼への対処を巡るスタンスの違いによるもののみならず、双方にとって文字通りの生存競争でもある事をも浮き彫りにした格好となり、単なるタロウのバックボーンであるというだけに留まらず、様々な面で重要な意味合いを持ち合わせているとも言える。