概要
(空洞 / Hollow)
『ゼンレスゾーンゼロ』の世界観の根幹をなす、同世界に"現象"として発生する様になった、ブラックホールを思わせる巨大なドームに包まれた異空間。
外からはカラフルなノイズを帯びた、三角の模様揺らめく黒塗りの球状壁として可視されるが、内部からだと外界の空模様が見える。だが、どちらにせよホロウの内外を隔てた通信は基本的に不可能。
発生したホロウの"内側"となってしまった空間は、崩壊した街並みの面影こそ残っているものの、未知のエネルギー"エーテル"で満たされ、そこかしこに結晶化した高濃度のエーテルが点在する光景も珍しくなくなる。
そして内部に居続けた生物や自律機械は次第にエーテルに"浸食"され、マシな段階では知能・精神に異常をきたす所から始まり、最後は後述する怪物「エーテリアス」に"異化"してしまう。
どのホロウもそんなエーテリアスが多数生息しており、一度踏み込めば誰であろうと襲われ続けるリスクは免れない。
加えて内部の空間は無秩序に連結しており、一度入ると方角に沿って進む事など意味を成さず、別の場所に繋がる"裂け目"も頻発する他、手がかりのない状態での探索や脱出は極めて困難。
ゆえに内部の繋がりの法則性を解析して、事前に安全なルートを算出する事が基本となるのだが、その法則性すら時間経過や外的要因によって簡単に移り変わってしまう。
これら数多の危険性から到底ヒトが生きられる領域ではなく、本世界はひと昔前あらゆる土地がこのホロウに飲み込まれた事で文明崩壊の危機に陥り、唯一対策技術を確立した「新エリー都」以外は荒涼とした無人・無法地帯と化してしまった。
上のPVは、恐らくだがホロウ発生初期の、旧文明世界が崩壊する前の様子。また地上のみならず宇宙でも発生しているらしく、夜空の月は表面がホロウらしき黒い靄に半分覆われてしまっている。
その新エリー都ですら、各地が突発的な"ホロウ災害"に見舞われることはままあり、人々は繁栄と破滅が隣り合わせな都市で日々を生きている。人が殆ど立ち寄らない事を利用し、危険を承知でホロウ内を隠れ蓑に活動する反社会勢力も少なくない。
これには、ホロウに呑み込まれた時点で内部で成立するあらゆる物権は一度消滅するという法令も大きく、残された物を拾得したとして窃盗にはならない。おそらく緊急避難の為の措置であるため、違法に侵入して荒らし行為を行った者が逮捕された場合、窃盗に問われるかは定かではない。
分類としては、大規模に成長し自ら新たなホロウを生み出すに至った「原生ホロウ」と、成長途中で比較的小型の子供にあたる「共生ホロウ」に大別される。
内部のエーテル活性が高まり、「ゼンレス限界」と呼ばれる一定の閾値を超えると共生は原生段階に移行し、一部が分裂して新たな共生が誕生する仕組みとなっている。
親子関係にあるホロウ同士は内部の裂け目で繋がっており、子は親の原生ホロウと"共生"して成長してゆく。
旧都崩壊の原因となった下記零号ホロウなど、それぞれには独自のコードネームが付けられている。
なお、内部のエーテリアスを減らしエーテルの活動を鎮静化させれば、一度発生したホロウも"縮小"する事が分かっている。共生位ならそれで消滅する事もあり、消滅時にエーテリアス含めた内部の生命は全て消滅する(前兆としてゆっくりと縮小する兆候が観測できるため、時間内に脱出すれば問題ない)。
逆に原生レベルでは、千単位相当の多数または強力な個体を討伐して多少縮めるのがやっとな為、到底手を付けるには至っていないのが現状。
- エーテル(以太 / Ether)
作中世界におけるエネルギー物質で、新エリー都各地に点在するエーテル式興で蓄積・変換する事で自動車、電子機器、ボンプなど機械種族の動力源として使われる。加工によりコーティング剤、電解液、冷却液などにも応用可能で、新エリー都ではこのエーテルを用いた産業が発展している。
ホロウから採掘されるが、適性のない者の身体や精神を侵蝕する汚染物質としての側面もあるため、正規の調査員以外による採掘は規制されている。しかし高額で取引される貴重な資源であり、無許可で採掘して不正に売りさばこうとするギャングや小悪党が後を絶たない。
無秩序な採掘行為は却ってホロウの活性化を引き起こす可能性がある。
近年は耐性を持たない者も内で活動できるよう抗侵食薬や防護スーツ、果てはエーテル重合触媒でエーテル粒子の結晶化を促す技術が開発されており、危険を顧みないエーテル産業企業も存在する。
- レゾブレム(鸣徽 / Resonia)
ホロウ内で発見される安定したエーテル物質。身につける事で様々な恩恵を与える、いわゆるバフアイテム。
ただし効力はホロウ内限定で、エーテリアスと同じく外界では不安定化して無効化されてしまう。
- ギアコイン
ホロウ内限定の貨幣通貨。歯車の形をした金色のコイン。
詳細は語られていないがレゾブレム同様外部に持ち出せない事が分かっており、ホロウ内部での取引に使われる。
ホロウ内を渡り歩くボンプの商人が欲してやまない物質であり、原理は不明だが彼らを中心としてホロウ内で循環型経済を成立させている。
エーテルに論理コアを侵食されたボンプ「ゴールドボンプ」が溜め込んでおり、ホロウ内の野良ボンプは彼にギアコインを貢ぐことでボンプ内ヒエラルキーを形成している節があることから、ゴールドボンプがギアコイン信用を担保する存在である可能性がある。
エーテリアス
(以骸 / Ethereal)
ホロウ内部に数多く生息する。エーテルの侵蝕を受けて結晶化したボディと、小さなホロウのようなコアとで構成される怪物。
ホロウに取り込まれた生物や機械がエーテルに侵蝕され"異化"した存在で、一度そうなると元の自我や知性は失われ二度と元には戻れない為、"死"を迎えるのと同義である。
どの個体も極めて攻撃的・排他的で、特にエーテリアスになり得る生きた生物や機械には積極的に襲い掛かる、ゾンビものさながらの性質を持つ。
"エーテル適応体質"の生物や"抗エーテル仕様"の機械であれば、ある程度の時間は浸食される事なく活動できるが、程度によらずホロウ内に滞在し続けると異化は免れないため、安全活動推奨時間が設けられている。
物理攻撃は有効で、一定のダメージを与えればコアが崩壊して活動停止・消滅する他、ホロウの外では生きられず、出た途端に死滅する。ホロウそのものと一体化したその様は、まさにホロウが攻撃性を持って顕現した使者と言えよう。
重金属になぞらえた10段階の脅威度が設定されており、一定以上の段階になると相応の戦闘部隊による対処が必要になる。
第2章間章では、とある偶然がきっかけでEMPを嫌うことも判明。もちろん一般社会内での使用はボンプや知的機械人にも有害で違法なため、あくまでホロウ内での護身用として、治安局は携帯型EMPの開発を検討するようになる。
- 侵蝕体(侵蚀体 / The Corrupted)
エーテリアスの前段階、あるいはそのまま人ではなくなってしまった存在。エーテル侵蝕の症状は体表の結晶化や意識障害といった形で現れ、侵蝕体になると怪力を振るうようになる。
また、侵蝕体になる前に外へ抜け出せたとしても、症状が進行していた場合は重度の後遺症を抱える事になる。異化の過程を目撃したショックで、ホロウとの関係を断つ者も少なくないという。
ホロウ探索者
- ホロウ調査協会(空洞调查协会 / Hollow Investigative Assosiation / HIA)
都市公認のホロウ調査組織。ホロウに迷い込んだり取り残された人々の救助、データの観測や回収といった業務から、ホロウ活性への対応やエーテリアスの討伐を含む戦闘任務までを幅広く手掛けている。エース級の調査員ともなればスター扱いされる一方、任務でも相応のリスクを負う事になる。
一般の調査員でもホロウレイダーを逮捕する権利を有しているが、ホロウという共通の危険を前に徹底して職務に忠実な者はそう多くはない様子。
- ホロウレイダー(盗洞客 / Hollow Raiders)
協会の調査員とは異なり、ホロウへの違法な出入りを繰り返してエーテル資源の取引を行なっている非合法のエージェントで、犯罪者同然の連中も多い。ゆえに治安局の摘発対象となっているが、提携しているプロキシを売る事で減刑される制度も存在し、悲劇的な結末を迎える関係も少なくない。
一方、多発するホロウ災害に治安局や調査協会が十全な対応を出来ているとは言い難い実情もあり、ホロウレイダーやプロキシを支持する声もある。
- プロキシ(绳匠 / Proxy)
違法のホロウ事務調査員。ホロウレイダーがホロウから脱出するためのサポートや、「キャロット」の融通などを手がけるガイド役。
「インターノット」を介して依頼や報酬をやり取りしており、高額な依頼料を取る一流から、スレッドで晒される素人同然の三流まで玉石混交。当局にとっては目障りなようで、プロキシを捜査・通報するためのホットラインまで配備されている。
- キャロット(萝卜 / Carrot)
調査員のボンプにデータチップとして支給される、ホロウ内部の変化パターンから推測される地図情報。最適な脱出ルートが記されているものの、上述した通り予測できるのは一定時間内の変化に限られるため、実質的に使用期限付き。
情報をコピーして対価を得ている調査員やプロキシは珍しくない様子だが、熟練のプロキシやエージェントの自作キャロットの方が使い勝手が良い場合もままある。
- データスタンド
ホロウ内部に設営する事で内部の変化パターンを測定する装置。
- 「虚狩り」(虚狩 / Void Hunter)
ホロウが未知の災害であった過去の時代に目覚ましい功績を残し、今のホロウ調査やエーテリアス討伐の基礎を築き上げた7人の傑物に贈られた二つ名。
その名は現在でもエース級エージェントの称号として引き継がれており、最前線に立ち続ける者たちにとっての憧憬の的となっている。
旧都のホロウ
- 零号ホロウ「コードネーム:リンボ」(零号空洞 / Hollow Zero)
旧エリー都に存在する超大型原生ホロウ。旧都崩壊の元凶であり、旧都全てを飲み込んでエリー都最大の魔境と化した。
10年前に突如として発生したとされ、中心地がホロウ研究の最前線であったスロノス区へーリオス研究所だった事から、何者かの手により人為的に発生したと看做されている。
際限の無い膨張は当時北西部に隣接した新エリー都すら飲み込もうとし、司政府の判断で都市間に点在する14もの式輿の塔を起爆させて大規模な渓谷を形成した事により、新エリー都への拡張を阻止した。
現在新エリー都に存在するホロウの全てがコレに端を発するものであると考えられており、実際に探索中にバレエツインズなど他のホロウに転送されることがある。そのため、都市の災難の根源的存在とされている。
『リンボ(辺獄)』の名の通りに今や危険度、はらむ未知、得られるメリット等あらゆる面で既知ホロウ群を引き離している。調査協会や防衛軍は多くの人員を動員しているがそれでも人手不足が現状であり、一発当てにやってきた調査員志願ホロウレイダーの身分偽装をわざと素通りさせて使い潰す等、なりふり構っていられない様子である。
内部では重力の働きすら崩壊しており、建造物は空に浮いている。エーテリアスの質もレゾブレム発見量も桁違いで、他にも様々な目的を持った人間がひしめいているまさに混沌。
近年では枯渇病と呼ばれる特殊浸食症状を振りまく殲滅不可能なエーテリアス「ニネヴェ」が出現するようになり、目下の最優先対処事項となっている。
定期的に内部のエーテリアス掃討を行うことで、高まるエーテル活性を下げており、これ以上の拡張と新たな共生ホロウ誕生を食い止めている。
一方で害をもたらすだけではなく、供給される膨大なエーテルエネルギーは式輿の塔と呼ばれる巨大電池兼観測所を通して都市に供給され、新エリー都の大部分のエネルギーを支えている。故に現時点では消滅させる訳にはいかず、減退させるに留めているジレンマを抱えている。
アルペジオ大断層
Ver1.3イベント「断層の謎」に登場。零号ホロウ外周の渓谷に位置し、重力場により幾重もの建造物が浮遊して99もの層を形成している。2年前にスコット前哨基地が各所に長期観測ステーションを建設しようと試みるも未知の怪物の襲撃を受けて計画は頓挫。安全性が確保されるまでオブシディアン大隊の管理下の元で閉鎖する事となる。
時は経ち現在、オブシディアン大隊の許可を得て怪物の正体を含む調査計画を実行。パエトーン兄妹含む独立調査隊も参加する事となる。
- ハイヴ・ロードホロウ
旧都時代に空に出現した珍しいホロウ。当時のマルセルグループCEO「ミス・サンブリンガー」の手により消滅させられた。
彼女の異名がこの件からのものと仮定すると、都市に降り注ぐ日光を遮るほどの巨大なものであったことがうかがえる。
六大原生ホロウ
新エリー都に存在する6つの原生ホロウ。全てが元は零号ホロウから分化した共生ホロウである。
クリティホロウ
- ヤヌス区の辺境に位置する原生ホロウ。人影がない旧都エリアにほど近く、市民生活にそれほど影響はない。
- 十六分街の共生ホロウ
- ストーリー冒頭で発生した共生ホロウ。
- ホワイトスター学会の施設であるビルの隣に発生し、金庫を巡って暴力団「赤牙組」に追われていた邪兎屋が、争いの末にビルから放り出されて落ちることになった。
ラマニアンホロウ
- 旧都地峡の北西に位置する、新エリー都居住区からかなり離れた原生ホロウ。
- エーテル活性は六大ホロウの中でも最大であり、おまけに不安定で頻繁に値が変動するため、離れていても周囲の居住区はよくラマニアンから生まれた共生ホロウ災害に見舞われる。
- バレエツインズの共生ホロウ
- ラマニアンから生まれた共生ホロウ。超高層ビル「バレエツインズ」を飲み込んでいることからこの呼称が定着し、マリオネット・ツインズと呼ばれる2体1組の特出エーテリアスが実質的なヌシ。
- ラマニアンホロウのエーテル活性が低下したことで連動して縮小が起こり、バレエツインズの屋上エリアだけがホロウから飛び出している。
- 元が富裕層の資産なだけに高価な美術品が多く取り残され、更に都市伝説の舞台にされているため、ホラー系配信者やならず者、陰謀論者、詐欺師等あらゆる怪しい人間の誘蛾灯となっている。加えてホロウ近くであるためか、対岸エリアでさえ治安が悪い。
ハワーラホロウ
プルセナスホロウ
- メリエニ
- プルセナスホロウの共生ホロウ。
ソロブホロウ
パパゴホロウ
- 「神の迷い路」と称される原生ホロウ。初代虚狩りの一人「導き手」ジョイアスはこのホロウを単身で通り抜け、ホロウ探索の基礎を築いた。
- 郊外の共生ホロウ郡
- パパゴホロウより発生した、新エリー都郊外に位置する共生ホロウ郡。
- 非常に数が多く、郊外の荒野を見下ろせばそこかしこに点在するホロウが視界に入る。郊外の主要エネルギー資源である石油の採掘施設のほとんども呑み込まれてしまっている模様。
- 郊外は都市の管轄外であるためホロウ災害に十分な対処が行われない。エーテル関連技術も発展していないために、発生した共生ホロウを消滅させる事が難しいのが現状であり、増えるホロウが徐々に生活圏を侵食してきている。
その他共生ホロウ
- デッドエンドホロウ
旧都付近の工事エリア「カンバス通り」と新エリー都を繋ぐ地下鉄を完全に飲み込む形で発生した共生ホロウ。ネームドの要警戒エーテリアス「デッドエンドブッチャー」の台頭により、共生ホロウの中でもかなりの危険度を誇る。
劇中第一章では、邪兎屋の手によってブッチャーが討伐された事でエーテル活性が低下し、半径数十メートル規模の縮小が発生した。
- 「果てなき深淵」
サブ依頼「永遠なるボンプが我らを引きずり下ろす」の舞台となる共生ホロウ。
複雑に多層階しており、深度は99まで確認されている。一定階層ごとに休憩エリアが現れ、プレイヤーは増えるストレス値をイベントで管理しながらより深きへ潜っていく事になる。
- 「アンダープロフェシー」
サブ依頼「アンダープロフェシー」の舞台となる共生ホロウ。
「なんでも叶えてくれる予言者」がいると噂される。噂を信じて入った者達の多くが帰らず、生還した者も多くを語ろうとしない非常に謎めいたホロウ。
- レイクタウン・ホロウ
かつてブレイズという名で知られた湖畔の街を陥落させたホロウ。
強力な人型エーテリアス「デュラハン」が初めて確認された。
- ネストホロウ
狼型エーテリアス「ハティ」が初めて発見されたホロウ。
- ドリフトアイス・ホロウ
ver.1.0のイベント「足元注意」の舞台となった共生ホロウ。
空間構造が非常に不安定で、空間乱脈現象が頻繁に起こる。基本的に人が通ったところは裂け目になり、落ちると浅層に送り返される事になる。
- ホロウC41
ver.1.1のイベント「沙羅ゴールデンウィーク」で登場した共生ホロウ。C41の由来はカメラフィルムの現像手法「C41現象」から取られているものと思われる。
既に治安局によって鎮圧され、徐々に縮小し2週間で消滅する衰退期に入っていた。
ホロウの性質そのものに特筆すべき点は無いが、内部にかつての大企業「ミッドサマー社」が保有していた軍需物資倉庫が手付かずで残っており、おまけにGWという新エリー都を挙げての商業キャンペーン期間中の警備に治安局の人員が割かれ管制が緩くなったことで、ホロウレイダー達の格好の餌食となった。
イベント終盤では大挙して人が押し寄せた結果、倉庫内の防衛機構が作動し、それが初期の知能機械であったためにエーテル侵蝕を受け、エーテル活性を喚起されて活発状態に戻りかける事態に発展。最終的にはパエトーンらの手により件の機械が破壊され、そのまま消滅していった。
- アルゴスホロウ
本編より数年前に新エリー都内で突如発生した異常ホロウ。異常共生エーテリアス「ベルナ」により急速に活性化。さらに七号式輿の塔を取り込みエーテルを吸収した事により大型ホロウへと進化しようとしたため各組織による沈静化を図ろうとしたが失敗。最高権限を持つTOPSによる判断で式輿の塔を起爆させて消滅させようとしたが、星見雅の手によりベルナごとアルゴスの消滅に成功した。