チエンジョウサウルス
ちえんじょうさうるす
白亜紀後期の中国に棲息していたティラノサウルス類で、通称「ピノキオ・レックス」。キアンゾウサウルスとも。
概要
2014年に中国江西省カン州市の工事現場で偶然発見された完全な化石から、イギリス・エディンバラ大学と中国地質科学院のチームによって「中国カン州の爬虫類」を意味するチエンジョウサウルス・シネンシスと命名された。
本種の最大の特徴は、高さ25㎝、幅20㎝、長さ90㎝に達する口吻である。それまで長い口吻を持つティラノサウルス科はモンゴル産のアリオラムスのみしか確認されていなかったが、アリオラムスの化石はいずれも亜成体のもので、口吻が長いのは幼体の時期のみで成体になると短くなると考えられていた。故にアリオラムスも、タルボサウルスの幼体に過ぎないのではと考える研究者も多数いた。
だがチエンジョサウルスは全長9メートルとアリオラムスより大型で、さらに頭骨が完全に結合しているなど成体の特徴が見られた。このことから、チエンジョウサウルスが口吻の短い新種であることが証明され、アリオラムスが独立した種であり細長い顔も幼体の特徴ではない可能性が高まった。
周辺ではコリトラプトルなどのオヴィラプトロサウルス類や竜脚類が生息していたようだが、チエンジョウサウルスは口吻が細長いことから、同時期のアジアに生息したタルボサウルスやズケンティラヌスとは異なり、オヴィラプトロサウルス類などの小型恐竜または魚などを捕食していたと思われる。