私の領地、草しかない
概要
小説家になろうにて連載中のウェブ小説。著者はふーろう/風楼氏。
アース・スターノベルより書籍化、コミックアース・スターよりコミカライズされており既刊はそれぞれ7巻。
貴族位を与えられた平民の主人公が、領土として拝領した草原地帯を少しずつ発展させていくストーリー。
タイトルの通り物語当初は本人以外に領民は誰もおらず、まずは何もない草原に住居を用意するところから話が展開していくため、他作品にある「国を興す」系統のものとは趣が大きく異なり、所謂「街づくりゲーム」を見ているような作風となっている。
あらすじ
戦争で活躍し孤児から救国の英雄となった主人公ディアスはその報酬として国の外れの外れ、最果てといっても過言ではない土地を領地として王から拝領する。
いざその領地へと向かったディアスだったが、そこは人っ子一人居ないだだっぴろいだけの草原で、領民が居ないどころかディアスが住む家も無く、食料も無く、ディアスは呆然と草原に立ち尽くすことになる。
果たしてディアスは領主としてやっていけるのか、それ以前に何もない草原でどうやって生活するのか、生きていくことは出来るのか。
前途多難な新米領主の日々を綴る剣と魔法の世界の物語。
登場人物
<イルク村>
何もない平原にディアスが興した集落。
- ディアス
本作の主人公。35歳の男性。人間。筋骨隆々とした偉丈夫。王国出身。
両親とは幼い頃に死別した孤児であり貧民街で暮らしていたが、両親の教えを守り、犯罪をせず実直に働き続けて口に糊していた。
帝国との戦争が始まると志願兵として参加し、そこで獅子奮迅の活躍をしたことで、戦後に報酬として公爵の貴族位と領土を与えられる。
非常に素朴で素直でお人好しな性格をしており、名誉欲や野心などをほとんど持ち合わせておらず、多くの人が平穏に暮らせることを望んでいる。
戦士としては作中でも最強格であり、劣勢で王国が陥落するのも時間の問題とさえ言われた
戦争を逆転勝利にまで押し上げるほどの活躍を見せた救国の英雄。あまりの強さに用兵家は「困ったことがあればディアスを放り込めばいい」と匙を投げるほどで、国王ですら一方的にディアスを親友と認定しているほど貢献した。
既に全盛期を過ぎてはいるものの武勇はいまだ健在であり、単騎でドラゴンを討ち取るほどの常識はずれな実力を持つ。
文字こそ書けるものの貴族としては新米も新米であり、覚えなければならない法律や権力や義務などを四苦八苦して勉強する日々を送っている。
- アルナー
15歳の女性。鬼人族。
平原にすむ亜人の部族の一人で、突然やってきたディアスを強く警戒していた。
しかしドラゴンを単騎で討ち取れるほどの武勇に惚れこみ、彼との結婚を申し出る。
厳しい一面も見せるが本質的には優しい正しく良妻賢母といった性格をしており、どこか抜けたところのあるディアスを公私共にサポートする。
狩りで鍛えた弓術と魂鑑定の魔法が得意で、他人が自分たちに害をなすかどうか・嘘をついているかどうかを見抜くことができ、交渉事にはめっぽう強い。
- クラウス
24歳の男性。人間。戦時中にディアスと共に活躍した志願兵の一人。
戦後に兵士として雇用され、ディアーネの護衛としてディアスを訪れたが、彼女の元を離れ領民となった。
槍の遣い手であり、ディアスの隙を隠すようにして戦う息の合ったコンビネーションを見せる。
- マヤ
90歳の女性。人間。数十人の老婆と共に各地を放浪している棄民であったが領民となる。
その豊かな知識や経験から、領地運営に苦戦するディアスへ様々に助言をする。
- セナイ
- アイハン
幼児の女性。金髪碧眼で横に長く尖った耳が特徴的。
双子であり、姉がセナイ、妹がアイハン。
両親とは死別しており、彼女らを託されたペイジン・ドが連れていたが、ディアスに養子として引き取られる。
鬼人族
平原に住んでいる亜人族の部族。
額に角のような器官のある人間のような見た目の種族で、魔法を使うことができる。
王国との戦争に負け追いやられたと思われていたが、姿を隠す魔法を使って難を逃れていた。
遊牧民のような生活をしており、ユルトと呼ばれる布地の住居と、メーアと呼ばれる賢い獣と共存している。
- モール
老婆。鬼人族の族長。
ドラゴンをも屠る武勇を誇りながら素朴で素直なディアスに可能性を感じ、彼に住居や食料などを提供する。
カスデクス領
ディアス領に隣接する公爵領。砂糖や紅茶が特産品であるが、多数の獣人を奴隷として酷使している。
最近クーデターが発生し、息子のエルダン・カスデクスが公爵位を簒奪した。
- エルダン・カスデクス
半亜人の青年。エンカース公爵と象の獣人の母ネハとの間に生まれた。
幼い頃から知性に優れ、エンカースからも次期公爵として期待されていたが、奴隷となっている獣人の解放をめぐって対立し、クーデターを起こして爵位を簒奪した。
獣人とのハーフであることが原因で様々な病気に侵されており、そのせいで身体を満足に動かすこともできず、丸々と太っている。
獣人に市民権を与えることで経済を活性化させ、王国内でも随一の活気を見せる市場を作るなど、公爵としての手腕はディアスよりもはるかに上。
- カマロッツ
老人。人間の男性。エルダンに仕える従者筆頭で、細剣を得物とする護衛でもある。
王家
先の戦争では勝利したものの戦後処理などで少々ごたついており、特に王子王女らの間での後継者争いが始まっている。
- ディアーネ
王国の第三王女。
建国王の理念を第一に掲げる理想主義者ではあるが、実力が伴っておらず、少々突飛で夢見がちな言動が目立つため後継者争いに一歩で遅れている。
救国の英雄であるディアスの力を借りるため、自身や自身の従者らとの縁談を進めようと彼を訪問した。
獣王国
ディアス領と山脈を挟んで隣接する隣国。名前の通り多数の獣人が住む国。
- ペイジン・ド
男性。フロッグマンの亜人。
フロッグマンは家名を名の前に置く習慣がある、つまりペイジンが家名、ドが名前。
獣王国の行商人。ディアスのもとへやってきて商売を行う。
獣人に偏見を持たないディアスや、獣人に市民権のあるカスデクス領の話を聞き、今後の経済発展に大きく期待している。
変わった道具を持っており、商売以外にも何らかの任務を受けている様子。
関連タグ
獣ヶ国でスローライフ:同作者の作品。こちらは現代日本をベースに獣人との生活を描いた作品で、ファンタジー要素は薄め。