概要
人類が宇宙にまで足を延ばした時、無重力空間における食物の消化などが未知数であったため、実験を兼ねて様々な物が考案された。
その後、試行錯誤の末に、現在では軽量性と栄養を最重視。長期保存が可能、パサパサに乾燥させたフリーズドライ型、密閉パックという今のデザインに至った。
日本では科学館のミュージアムショップ等で販売されている。
現在では食味も向上しているが、初期は上記の特性を極めたような物であったため率直に言って不味い物だけだったらしい。
昔のSF作品等で宇宙食の不味さを強調した描写が多いのはこのため。ただ、最初期の宇宙船は日帰り~長くて数日という短期滞在だったため、不味いままの期間がしばらくあった。
勿論現在では宇宙空間で長期滞在(各人が最長半年程度)する際には食事も重要なストレス解消の手段と認識されているため、ここまででは無い。
軽量性とは
地上からロケットやシャトルを打ち上げる場合、厳格かつ厳密な準備と計画がされる為機体への積載できる重量は限られている。その為、少しでも重量を軽くする必要がありフリーズドライ型といった水分を限りなく減らした加工食品が現在の宇宙食の主流となるのである。
食材の制約
黎明期の宇宙船より遥かに大型な今の宇宙ステーションといえど内部空間は潜水艦よりはるかに狭く、換気も不可能な場所であるため、食材や調理法で匂いの強いものは避けられる。また、無人補給船がたまに来ることはあるものの、乗組員打ち上げと補給船以外の食事の補給タイミングがないため、ナマモノも基本的にない。
また今のところ無重力実験施設という性質が強い宇宙ステーションでは、仮にもっと大型に作れたとしても居住区に遠心力などの擬似重力スペースを作るわけにいかず、湯には対流もない。そのため熱湯で口や消化器を火傷しないよう温水器の給湯温度も70℃と低いが、宇宙食はそれで最終調理できるよう調整されている。電子レンジも保安上の理由から今もない。
宇宙食の進化
かつては食事というよりも栄養補給目的であった為、宇宙食は歯磨き粉のチューブのようなものにペースト状のものが入っていた。やがて食品加工技術が発達しパウチに封入されたフリーズドライ食品を水(湯)で戻して食べる事ができる宇宙食になっていったのである。
日清食品が開発協力した宇宙食「スペース・ラム」は宇宙で食べられる即席ラーメンとして誕生した。ただし、地球上で食べるラーメンと異なり麺は短く一口大にまとめたものがとろみのあるスープに絡めてある。ついに宇宙でもラーメンが食べられる時代が来たのであった。