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大艦巨砲主義の編集履歴

2022-09-23 01:39:50 バージョン

大艦巨砲主義

たいかんきょほうしゅぎ

戦艦の設計・建造方針に用いた思想。

大艦巨砲主義(たいかんきょほうしゅぎ)とは、大きいことは正義ということである。

読んで字の如く「きな大なを積もう」という考え方である。


概要と歴史

木造帆船の時代より、軍艦大砲を舷側にずらりと並べ武装してきたが、大砲の技術発展に伴って威力が増してくると、戦艦に多数の艦砲を並べることはむしろ弱点を晒すことになるため、その数を減らし、一門あたりの威力をあげることが重視されるようになる。

一方で敵艦砲の攻撃に耐えるため、艦船全体に装甲を施すようになる。装甲艦の始まりである。


さらに軍艦の役割分岐が進んでゆき、大型の戦艦と小型の巡洋艦に分岐していく。

その内の大型戦艦に用いられた設計思想がこれである。

戦艦という艦種は基本的に「自らが装備する最大口径の砲(=主砲)に想定交戦距離から撃たれても、バイタルパートを抜かれない装甲を持つ」とされているため、敵よりもより大きな艦に大きな主砲を積めば、敵の砲弾は通さず、自らの砲弾だけを一方的に貫徹させられることになり、それだけ優位に戦うことができるのである。これが大艦巨砲主義の基本的な考え方である。

実は同じく砲と装甲を主体に戦う戦車の進化もこれに近い様相を呈していたのだが、陸上を走る関係上、おのずと大きさや重量に制限の多い戦車と違い、海に浮かぶ戦艦は運用する国の港湾や造船施設が許す限り巨大化が可能であり、殊更に大艦巨砲の傾向に拍車がかかっていった。


だが当然ながら艦や砲を大きくすればするほど1隻の価格は高価になり、戦艦は第一次世界大戦の後には列強国以外は所持すらままならないような兵器になっていった。さらに大戦で発生した戦艦同士の一大決戦である「ユトランド沖海戦」の結果、紙装甲で脚だけ速い巡洋戦艦も鈍足の戦艦も使い物にならないことが判明し、攻防走の全てに高レベルを求められるようになった戦艦は、やがて建造して維持するだけで列強国の国家予算の数%をつぎ込むまでになってしまった。

海軍休日(ネーバル・ホリデー)と言われた条約時代が過ぎ再び大戦が勃発したが、条約明けの各国待望の新鋭戦艦は、最前線で戦うための戦闘ユニットでありながら、もしも撃沈されれば国家が傾くような価格となってしまっており、戦艦はおいそれと気軽に前線に出すわけにはいかない兵器となっていた。

さらに悪いことに、第一次世界大戦ではまだ洋上の戦艦を脅かす能力は無かった航空機が恐るべき強敵となっており、ここに至って海戦の主役は航空機とそれを搭載する航空母艦にシフトしてしまった。

この時点でも戦艦は強力なユニットであり、自慢の攻撃力と防御力を存分に奮うことは可能であったが、如何せん大きく重いために燃費他の運用コストが高く、撃沈された時の損害額もはかり知れず、コストパフォーマンスの悪さから大戦後は早々に一線を退いた。

これが大艦巨砲主義の終焉である。






ここから転じて組織やユニットの極端な肥大化や特定の方向性への一点特化(そしてそれ自体によってしばしば機能不全に陥る)することを比喩もしくは揶揄する意味でも使われる。

例としては体の大きな選手やホームランバッターばかりを集める球団、一部の機能のみを強化し続ける電化製品など。

歴史的経緯から通常、良い意味ではあまり使われる事は無い比喩表現である。





現代では


現実では第二次世界大戦で航空機とそれを搭載した空母の方がより重要という事実が判明し、実戦でその戦力の高さを示し、機動性・汎用性・コストパフォーマンスの面で劣る戦艦が重視されなくなった結果、現在は「戦艦」というジャンルごと廃れてしまっている。

(ロシアのキーロフ級ミサイル巡洋艦はジェーン年鑑で「巡洋戦艦」と紹介されたこともあるが、実態は装甲を備えた大型のミサイル艦である)




...と思いきや、大艦巨砲主義が現代によみがえる可能性が出てきた。

その理由は「レールガン」である。


レールガンとは「電磁気力で弾丸を射出する」砲熕兵器であり、弾速は既存の火器を遥かに上回る。 アメリカ軍が開発中のものでは試験射撃でマッハ6を記録したとされ、2016年に試験運用が開始されるところまでこぎつけた。

何故これが大艦巨砲主義の復活に関わるかというと、前述の通りレールガンは弾速が桁外れな程高速である。 つまり「高速で動く目標にも対応しやすい」ため、「砲熕兵器でありながら対艦ミサイル等を迎撃できる」可能性が高いのだ。

さらにさらに高弾速のため射程はそこらの大砲より長い(というかミサイル並み)上、命中した際に相手に与えるダメージも大きいとされる。

つまり実用化すれば、「砲熕兵器であるレールガンが対艦戦闘の主役になる」可能性があるのだ。 大艦巨砲主義の部分的な復活と言えるだろう。


とはいえ現代ではそもそも艦隊戦自体が完全な時代錯誤の代物であるため意味はないが。


しかしこうなるとイージス艦のやられる前にやるから装甲は薄くても良いという前提が覆される可能性もないわけではなく、砲弾に砲弾を当てて迎撃できれば問題はないのだがレールガンほどの高速飛翔体ともなるとどうなるか分からない。レールガンが実用化するかどうかはともかく、タンカーとの衝突も増えてきた昨今、多少なりとも被弾を考えた装甲が必要になっている…のかもしれない。


pixivでは

上記の意味通り、戦艦のイラストに使われる以外に、どことは言わないが

「大きければ大きいほど良い」というようなイラストに使われることがある。

特に「艦隊これくしょん」のブレイク以降、派生タグ「大艦巨乳主義」の使用頻度が増加している。

ちなみに艦隊これくしょん関連のイラストに大艦巨乳主義ではなく当タグが付けられる場合、戦艦娘を主とした砲撃艦の艤装が印象的なイラストである場合が多いようだ。

関連タグ


軍事 軍艦 戦艦 装甲艦 大砲 砲撃

大和型戦艦:日本における大艦巨砲主義の象徴的存在。史実を良く知らない人々から『建造当初から完全に時代錯誤の代物』と言われる事もあるが、実際にはアメリカもアイオワ級戦艦をWW2中に4隻建造した上、更に大和型戦艦(72,800t 45口径46cm 9門)と同等のモンタナ級戦艦(71,922t 50口径16インチ砲 12門)5隻を計画していた(1943年に建造中止)最後の戦艦はWW2後に英仏で完成した2隻。

大艦巨乳主義

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