Graphical User Interface(略:GUI)とは、従来まで使用されてきたキャラクタユーザインタフェース(CUI)とは異なり、CGとポインティングデバイスを用いて直感的な操作を提供するユーザインタフェースのことです。
今、絵が描ける当たり前
まずコンピュータで絵を描くことにおいては欠かすことの出来ない大前提のインターフェースです。GUIが登場してまだ間もない当時、一般のプログラマやユーザーにはGUIを用いて出来ることとはどういうものかよく知られていませんでした。そんな中、GUIが登場して初めて開発されたペイントソフトが登場します。名前はMacPaintでした。1984年のことです。このソフトウェアは、PainterやSAIなど今では当たり前となっているペイントソフトのご先祖様です。それ以来、コンピュータの高性能化が進むとともにペイントソフトの改良と強化がなされていきます。1980年代中にはペンタブレットが登場しており、かなり早いもの。今こうしてインターネットを通じてコミュニケーションをとりながらコンピュータで絵を描けるのもGUIがあってこそです。
GUIの商業的な成功
まず、ゼロックス社のXeroxStarはかくも先進的であったがゆえに、その影響力を過大評価する誤解もはびこっています。例えば、アップルコンピュータ(現Apple Inc.)のスティーブ・ジョブズはゼロックスのパロアルト研究所を訪問してAltoを見てからLisaと後のMacintoshにGUIとマウスを持たせることを決めたとされていることと、Altoが後にXeroxStarのハードウエアに技術転用された事実を組み合わせて、ゼロックスのXeroxStarがApple社のその後のGUIに影響を与えたとされることがあります。
しかし、これは正しい話ではないのです。スティーブ・ジョブズが目にしたのは当時、暫定的ダイナブック環境として開発中だったSmalltalkシステムであり、パロアルト研究所を見学したジョブズたちが別部門で、しかも極秘裏に開発中のXeroxStarのデモンストレーションを受け、さらにそこからインスピレーションを受けることなどとうていあり得ないことです。
実際、Lisa試作機においては、XeroxStar発表の前年の1980年には、SmalltalkのGUIから多くの特徴を吸収し、さらにマウスのワンボタン化(Altoのは3ボタン)と、その際に削除したボタンの機能を割り振るため、プルダウンメニューやメニューバーの発明(第二ボタンの機能)や、ウインドウやタイトルバーへの機能の組み込み(第三ボタンの機能)といった、独自のアレンジを終えていました。
Lisaの開発チームのメンバーは、翌年の全米コンピュータ会議 (National Computer Conference: NCC '81) で初めてXeroxStarを目にするまで、XeroxStarのことを知るよしもなかったと後に述べています。さらに、発表当初XeroxStarは、ウインドウもタイル表示スタイルでオーバーラップ表示ではなかったことや、マウスボタンの使用法、テキスト編集方法や編集用メニューコマンドの構成など、多くの点でLisaや、それが手本にしたSmalltalk GUIとは様式が大きく異なっていました。このような状況証拠からも、XeroxStarがLisa、ひいてはその後継者であるMacやWindowsなどに多大な影響を及ぼしたとは考えにくいのです。
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