概要
世界で初めて「実際のイラストをパソコンで描く」ことを重点に開発されたソフトウェア。
初代の「Painter 1.0」がリリースされたのは1991年であり、現時点の最新版「Painter 2023」の時点で30年以上の歴史を誇るロングセラーである。
初期はFractal Designから発売されており、5.5、6はMetaCreations(Fractal Designが、Bryceを開発していたMeta Toolsと合併した会社)から発売、その後CorelにBryceと一緒に売却され、以降はCorelが販売元となっている(BryceはのちにDAZ Productionsに売却)。
豊富なブラシ・カスタマイズ機能により、デジタルらしい端正で均一な表現から、パステルが紙の上をかすったり、透明水彩絵の具を重ねて混色したりといった、アナログの手描きのような表現まで幅広く描くことができる。
wacomのペンタブレットとの連携機能が充実しており、今では当たり前の筆圧検知によるリアルな筆致の再現も早い段階で搭載されている。
Painterの廉価版という位置付けである「Essential」がwacomのペンタブレットによくバンドル(同梱)されていたほか、wacomの上位シリーズである「Intuos Pro」シリーズや、液晶タブレットの「Cinteq」では専用ブラシなどにも対応している。
グラフィックソフトの中ではAdobeのPhotoshopと双璧をなすソフトとして知られており(※Photoshopは画像加工などを得意とするソフトのため、完全に同じポジションというわけではない)、世界各地にユーザーがいる。
また、ユーザーが多いことで教本・チュートリアルも充実しており、現代のペイントソフトにおける基本的な機能が網羅されていることから、デジタルイラストは初めてという人にも敷居が低い存在といえる。
その反面、プロ向けの機能を備えているためか値段は高めであり、(現在はかなり改善されたものの)リアルな描画シミュレーションのため動作が若干重く、要求されるPCスペックも相応なものになってしまうという弱点がある。
レイヤー機能やブラシなどPhotoshopとの連携が可能である。また、Corelが発売しているPaintshopProやCorelDRAWといったグラフィックソフトとの併用もおすすめ。
豊富なブラシや機能
- ブラシ種類は800種類以上!
- 厚塗りや水彩、エアブラシなど、デジタルらしいものからアナログ風までいろんな表現が可能。ファーや炎、パーティクルなどの特殊ブラシも充実している。ブラシ一覧は下に記載。
- 「ミキサー」:実際の絵の具のパレットに色を混ぜることができる
- 「ミラーツール」左右対称にイラストが描ける
- 「万華鏡ツール」万華鏡のように最大12分割でブラシストロークをコピーできる
- 「パース定規」建物やパースをつけた作品を書く際に便利
- 黄金比ガイドや伸縮可能なプレビューパレットも搭載。
自動ペインティング
AIにより、写真やイラストをもとに自動的に絵を書く機能。色の流れを認識し、より人間が書いたようなイラストにしてくれるため、結果が毎回微妙に違う。オイルペイントや水彩、鉛筆画など手法も様々選べる。
アニメーション作成機能
オニオンスキンといわれる、薄くイラストを表示する機能を使い描画、フレームを増やしていくことでアニメを描くことができる。
スクリプト機能
描いている工程を再現することができ、記録のタイミングを変えればブラシを変更することもできる。かつて家庭教師のトライのCMであった「顔への落書き」にも使われていた。
ブラシ一覧(カテゴリ)
アクリルとグワッシュ | エアブラシ | アーティストのお気に入り |
アーティストオイル | オーディオ表現設定 | ブレンド |
チョーク、パステル、クレヨン | クローン | 描画ステンシル |
デジタル水彩 | ダイナミックスペックル | 消しゴム |
特殊効果 | グレーズ | イメージホース |
インパスト | リキッドインク | マーカー |
油彩 | パレットナイフとスポンジ | 粒子 |
パターンペン | ペンと鉛筆 | リアル水彩 |
リアルウェット油彩 | サージェント | 選択ブラシ |
シンプル | スマートストローク | 墨絵 |
テクスチャ塗潰し | 厚塗り | 水彩 |
Painter Essentialsシリーズ
Painterのエンジンを使った、初心者向けのバージョン。
値段もPainterに比べるとかなり安くなっており、wacomのペンタブレットに付属していることもあるので、「とりあえず使ってみたい」「デジタルは初めて」という人にオススメ。
過去には同様のコンセプトの「Classic」や、海外向けに発売されていた「Sketch Pad」などのシリーズが廉価版として存在した。
2023年時点での最新バージョンは「Painter Essentials 8」。
ブラシの数や一部機能などに制限があるが、基本的な使い心地は本家Painterと大きく変わりない。
ブラシ一覧(カテゴリ)
アクリル | 油彩 | エアブラシ |
アーティスト | フォトペイントブラシ | ブレンド |
チョーク、パステル、クレヨン | クローン | デジタル水彩 |
F-X(特殊ブラシ) | 粒子 | パターンペン |
鉛筆、ペン、マーカー | スポンジ |
対応ファイル形式
Painter 2023
入出力可能ファイル形式
RIF TIF PSD BMP PCX TGA GIF JPEG PNG MOV AVI FRM EPS
※EPSは保存時のみ
※エクスポートで、パスをIllustrator形式で保存できる様子。
- RIFF (RIF): Corel Painter の専用ファイル形式
- PSD:Photoshop形式※レイヤー効果と調整レイヤーは未サポートなので、Photoshop で結合、または固定する必要あり。
【アニメーション機能】
- FRM:フレーム スタック。 Corel Painter のアニメーション ファイル。
- MOV:QuickTime
- AVI:Video for Windows
Essentials8
購入のポイント、販売形態
- パッケージ版とダウンロード版の違い
内容の違いはなく、購入方法が違うだけ。どちらも同じ機能を搭載。なお、バージョン6まではペンキ缶に入った特殊パッケージであったが、以降は普通に紙の箱に入っている。
永続ライセンスではなく、一年ごとに利用契約を更新して使っていくスタイル。「とりあえず1年だけ使いたい」「新バージョンのリリースごとにアップグレード版を買うのが面倒」という人向け。
- アップグレード版
旧バージョンのPainterを利用している場合、通常版の約半額で新バージョンが購入できる。
- 学割版(アカデミック)
かつては個人購入が可能であった(ただしアップグレード対象からは除外、商用利用禁止)が、現在は学校単位でのみとなっている。
- 特別優待版
かつてはCorelのソフトウェア(WinDVD、VideoStudio、PaintShopProなど)のユーザーや、Adobe Photoshop、SAI、ClipStudioPaint、IllustStudio、comicstudioなど他社グラフィックソフトを所有しているユーザー向けに値段を抑えた「特別優待版」が発売されていたが、「2020」からは廃止されている。
関連タグ
- ペイントツール
- Photoshop
- SAI
- PainterClassic PainterEssential…いわゆる廉価版
- 寺田克也 村田蓮爾 安倍吉俊 KEI 山本ヤマト…Painterユーザーとして有名な人物。