残火の太刀
ざんかのたち
「何故 待っていたと思う」
「お主の 血肉も剣も魂も」
「髄から粉々に打ち砕く為よ」
概要
山本元柳斎重國の使用する卍解。
炎熱系最強の斬魄刀と言われる流刃若火の卍解であり、その能力は規格外の一言に尽きる。
作中で登場したのは、所有者である元柳斎とユーハバッハとの対決一度きりであり、設定上は後述の理由からユーハバッハも使えるはずであるが、その強力さゆえにか、二度と使用されることはなかった。
能力
始解の段階で刀身を覆っていた炎が消え、刀身が黒く焼け焦げ、煙が出るだけのただの刀に変化する。
黒崎一護の持つ天鎖斬月と同じく、卍解によって外見上の能力はむしろ卍解前よりも劣化しているように見えるのが特徴。
しかしその本質は、最強の炎熱系斬魄刀の能力その全てを極限まで凝縮した究極の熱量であり、触れたが最後、燃えることすらなく削れ、消滅する。
この卍解を発動すると、その段階で尸魂界全土が異常乾燥に見舞われる。
そのため卯ノ花烈の言によれば、長時間解放し続けると尸魂界自体をも滅ぼしかねないとのこと。
ユーハバッハ曰く、千年前の能力は「斬るものすべてを爆炎で焼き尽くす豪火の剣」だったが、実際は千年前の戦いで全ての力を発動して見せたわけではなく、東西南北の名が冠された四つの攻防形態を持っている。
技
- 東:「旭日刃(きょくじつじん)」
流刃若火の炎が持つ熱の全てを、刃先の一筋だけに極限まで集約した状態。刀身の炎が消えているのはこのためである。燃え上がることも爆炎を吐くこともせず、刃先に触れたものを跡形もなく消し飛ばす(削る)。作中ではこの能力で地面を削った。
アニメでは藍染と一護の最終決戦を連想させるほどの派手な演出となり、地面が陥没。
描写からすると卍解使用時は常時発動している模様。
- 西:「残日獄衣(ざんじつごくい)」
元柳斎自身から噴き出す超高密度の霊圧が、1500万℃の炎の鎧となって触れるもの、近付くものすべてを消滅させる。
見た目はさながら燃える死覇装で、本人曰く「太陽を身に纏っていると思え」。
具体的な描写はないが、ユーハバッハの刃先が消える描写、ユーハバッハ本人の「静血装がなければこの距離でも灰となっていた」という発言、アニメ版で追加された実際に元柳斎の足元の地面が溶ける描写に加え、上記の根拠を踏まえてこの設定を見る限り、恐らく並大抵の敵なら元柳斎に近付くだけで消滅すると思われる。
(崩玉藍染や白霞罸のような状態か)
※ちなみに1500万℃とは元柳斎が述べた通り太陽の中心核とほぼ同レベルの灼熱であり、この手の検証に詳しい空想科学読本によると、融点1538℃・沸点2862℃の鉄が元柳斎から8200㎞圏内で蒸発し、24000㎞圏内でもドロドロに溶け、24万㎞まで離れてもなお紙や木が自然発火する程の莫大な熱を発し続ける、恐ろしすぎる数字である。
ただし本当にそういう状況ならもっと瀞霊廷の二次被害が凄いことになっている(肌がカサカサ、唇が切れる異常気象レベルでは済まない)筈のため、実際には旭日刃同様、元柳斎のコントロールでごく狭い範囲に絞られており、ユーハバッハの立っている場所は検証よりもっと低い温度という可能性のほうが高い。刃先がドロドロに溶けたり物が自然発火したりする描写まではない他、ユーハバッハ本人が静血装なしでまともに受けても灰になるレベルで済む(ドリスコールが受けた温度よりは低い)という分析をしていることからも窺える。
- 南:「火火十万億死大葬陣(かかじゅうまんおくしだいそうじん)」
「尸共、我が炎に散った亡者の灰よ、手を貸せ。暫し戦の愉悦をくれてやる。」の口上で発動。
元柳斎がこれまで斬って捨てた亡者たちの灰に熱を与え、一時的に真っ黒な骸骨として復活させる。蘇った骸骨の大群は、元柳斎が敵とみなした者を塵となる迄追い詰める。また元柳斎の意思次第で骸骨から生前の姿に戻すことも出来、その能力でユーハバッハに精神攻撃を仕掛けた。
アニメでは骸骨の色が熱を与えられたのを示すように赤黒い色になっており、また発動した際にはBGMが無くなり骨の音だけが鳴り響く不気味な演出になっている。
- 北:「天地灰尽(てんちかいじん)」
刀を横薙ぎに一閃させ、刀身の延長上にあるものを消し飛ばす。旭日刃と同様、燃えることはなく攻撃を受けた部分だけキレイに削れる。月牙天衝のように旭日刃の熱を飛ばす能力と思われる。
アニメ版では逆に派手な演出になっており、原作通りユーハバッハの体を両断しただけでなく、炎の旋風を巻き起こして上記の「南」で召喚した骸骨の大軍を瞬時に灰化している。
活躍
作中において、炎熱系最強の斬魄刀として重要な局面で数多く使用されていた流刃若火だが、肝心の卍解が披露されることはなかった。
そんな中、最終章である千年血戦篇にて、遂に卍解が使用された。
ユーハバッハを相手に使用された際には、その圧倒的な能力と描写はまさしく最強の二字に相応しいものであった。
しかし、倒したはずのユーハバッハは偽者であり、その後登場した本物のユーハバッハによってその能力は滅却師の持つ技術の1つである星章化(メダライズ)によって奪われ、山じい自身も殺害されてしまう。
この再度卍解を試みた行動から、まだ隠してる技があったのではないかという説も出ているが不明。
余談
単行本30巻の折り返しカバーの作者コメントによると、ルキア処刑時に用いられた巨大な火の鳥「燬鷇王」を指して、「オマエら知らねーの!?元柳斎の卍解がこの鳥なんだぜ!!」と語る小学生たちを見掛けたことがあるらしい。
作中でハッシュヴァルトが真っ黒になった形状の太刀を見て「あんな物が本当に卍解なのか?」と疑念と侮蔑を含んだような発言をしているが、この発言は尸魂界編で朽木白哉が天鎖斬月を見た際に「矮小な卍解」と見下した発言と類似点がある。
それらの発言の後の卍解の活躍ぶりから、見た目は小規模でも実際には途轍もなく強い力という演出を如実に表しているのが見て取れるだろう。