概要
スズキの製造している軽ハッチバック(軽セダン・軽ボンネットバン)である。初代は軽ボンバンのみで、徹底したコストダウンを図り低価格化を目指した。軽ボンバンのみであったのもそのためで、日常的には大人二人乗れれば十分と言う割り切りがあったと言う。現在はワゴンRにその座を譲った感はあるものの、依然として同社の看板車種の一つである。
派生モデル・海外生産車
この歴史の中で、様々な派生モデルが世に送られた。派生車には2011年2月現在、女性向けに作られた(ミニを思いっきり意識した!?)「アルトラパン」が存在する。過去にはターボが中心のスポーツモデル「アルトワークス」、ハイルーフモデルの「アルトハッスル」、中にはスライドドア仕様車「スライドスリム」(かなり希少。)などが存在した。
アルト・ワークス
1985年に2代目になってから2年後、87年にターボとエアロで武装したホットモデルが登場した。これがアルトワークスである。当時のスズキは「馬力戦争」に積極的に参戦しておりスズキ車の最高出力が後の自主規制値となるケースが見られたが、このワークスの存在によりアルトもその一つとなった。
その後3代目、4代目、5代目(前期)にも設定されていたが、5代目がフェイスリフトを受けた際にワークスを含む全てのターボグレードが廃止されてしまったのである。それ以降、ラパンSS及びKeiワークスがその役目を引き継いでいるとされる。
しかし、Keiは2009年に生産終了。ラパンに関しても全グレードATになってしまったなど、いずれもワークスの後継車種としては今や機能していない。
アルト・エコ
派生車と言うよりはバンのような扱いの方が正しいのだろうが・・・
ようは打倒ダイハツ・ミラe:Sのために用意された仕様である。
やっぱりいつの時代もスズキとダイハツ、アルトとミラは永遠のライバルなのである。
多少パワーは犠牲(52ps。標準車より2psダウン)になるが、低回転型になっている上にトルクの減少はなく軽量化も図られた(下記グレード間では760kg→740kgと20kgも差が出ている)ので差は出にくいと思われる。
価格・装備面では通常のアルトと全く差がないといえるので燃費分お得とも言えそうだ。
例えば本体価格の予算が100万だった場合、リアシートの左右独立フォールディングが欲しければ102万の標準車(X)、フォールディングが左右独立でなくてもいいなら低燃費・低価格な99.5万のエコ(L)・・・と言うことになる。
尚、軽量化の裏技としてガソリンタンクが小型化(標準車の30Lに対し、エコが20L)されているので要注意。(元々スズキはエコドライブ・軽量化の一環として給油を必要最小限にすることを提唱していたからねぇ・・・。)
スライドスリム
3代目に用意されたスライドドア仕様車。
トヨタ・ポルテやプジョー・1007の登場する遙か昔に存在していたことは特筆に値するだろう。
スライドドア故狭い場所での乗降に有利で、価格的にも標準ドア車とほとんど差はなかった・・・のだが、全く売れなかった。
では、何故スライドスリムが希少な一代限りになってしまっのかと言うと・・・
こういうことである。
平凡キャラのアルトだからと安心してはいけなかった。やっぱりスズキは変態なのである(違
・・・というわけで、ユーザーがミニスカ着用時のパンチラを懸念したためと言う説がある。
あとは、当時のスライドドア車全般の問題点として勾配のある路面に駐車した際の扱いにくさ(勝手に開いてしまうor閉じてしまう、あるいは電動でないため開閉が困難など)も考えられる。
OEM・海外生産
日本国内向けのOEM車としては標準車に対しマツダ・キャロルや日産・ピノが、ラパンに対しマツダ・スピアーノがある。
また海外生産車としては3代目ベースの韓国・デーヴ国民車(現・韓国GM)の「ティコ(Tico、生産終了)」や現在インドで製造・販売されている2代目ベースの「マルチ・800」などがある。
トリビア
- 先述のように、今日の軽自動車における出力自主規制値・64psもアルトのそれが元となって決められている。(その当時最もパワーがあった軽四がワークスの64psであった。)
- 基本的に3代目(ワークスとしては2代目)以降は乗用車登録であったワークスだが、「ワークスR」(ランエボRSのような競技ベースグレード)はその徹底した軽量化とモアパワーを狙い4ナンバー登録となっている。
- 2012年に登場したアルトエコだが、標準車より15mmシャコタン(最低地上高は10mmダウン)である。理由は空気抵抗低減。