まるで恋する女子高生のようだったぜ!!
まるで概要のようだったぜ!
変な髪型で悪辣な雰囲気を漂わせる長身の男。笑顔が素敵である。
圧倒的な執刀技術を持ちながらも表舞台には出ずにどこの病院にも属さず、闇の世界に生きる医者である。彼の主な患者はヤクザや闇世界の人間、もしくは何らかの後ろめたい事情の持ち主が多い。
某国にて不死身のコールドトミー兵士を作ろうとしたのがKAZUYA(1作目K)との初邂逅。
それ自体は成功し、痛みを感じない不死身の吸血部隊が完成、かなりの戦果を挙げたものの、人の痛みすらも忘れてしまった事により大事な人にまで発砲してしまう事態が勃発。
結果兵士や王は己の愚かさを悔やみ改心。戦争は終わりTETSUは少しの投獄の後放逐されるが、この時から彼との因縁が始まった。
その後KAZUYAが親友の大谷定久の弟・大谷辰美のトレーナーになった際、ライバル選手の杉田のトレーナーとしても再登場した。
「ドーピングに引っかからない新型薬物の投与」を長期のスパンで体に馴染ませるというかなりグレーな手段を使い彼を強化、更にその事を偶然知った辰美をひき逃げするなど悪辣の極みを尽くしていた。
それとそのひき逃げした車でドクターKらの様子を見に来るドジッ子の片鱗もその時に見せていた。
最終的には辰美はKAZUYAの手術と激しいリハビリで完治。
TETSUの厳密な投薬とスケジュールに管理され無敵と思われた杉田はアスリートが試合に望む際のストレスや精神が極限の状態を考慮せずに、投薬でギリギリまで消耗させていた為、本番のレースで体が耐えられず、半ば自滅してしまう。
この結果でTETSUは辰美…そしてKAZUYAに「敗北」。(ただし、試合形式上は勝利したのは杉田の方であり、言わば「試合に勝って勝負に負けた」状態であった。)
逆に言えば精神の問題さえクリア出来ていれば完璧だったものの、TETSUはKAZUYAに執着する事となる。ちなみに杉田は己の心身の未熟さを認め、KAZUYAと定久をコーチにし再出発している。
そんなTETSUの目的はただ一つ「人間の力を極限まで引き出すこと」
もっと単純に言えば「強い人間を作ること」にある。
それには同じく医者であった父親の死が関係しているが…。
まるで自己紹介のようだったぜ!
そんな彼の能力だが、まず医者としての腕は本物。
そして格闘技術も本物で、テコンドーを駆使してKAZUYAとも互角に戦える。色々と荒事が多い裏医者なので、医者だけど格闘技術が必要なのだ。
またKAZUYA以上に裏の世界に浸かっている事もありそちらの知識、知恵も豊富である。
かなり儲けているらしく、高そうな外車(ハマーH2)を乗り回したり、潰れた病院を何軒も買い上げ宿代わりに使用している描写もある。
しかし自分に自信がある為かヘマをすることも多く、事実最初は人間の心を理解せずに、一人のアスリートの未来を潰しかけている。更に格闘技術が高いと言っても本職の武闘派には勝てず「次の相手はゴリラか!!」と息巻いた次のシーンではボコボコにされていた事もある。
とこのようにヘマも多いわけだが、実は彼が医療関係で失敗したのは登場初期くらいであり、それも理論上は成功していた。(しかも、その凡ミスが後々KAZUYAの役に立ったというオマケ付きであった。)
それに裏打ちされるようにプライドは高く、誰に対しても不遜な態度を崩さず、毒舌をぶつける事も多い。
しかしその裏には情に厚い一面を持っている。
特に子供には優しく、偶然大怪我や病気になった少年の手術を行ったり、孤児院に定期的に寄付したりしている一面も見られる。
曰く「子供の涙ってのは反則だぜ」との事。
他にも事故死した妊婦から赤ん坊を救い出す等、決して冷酷無慈悲な存在ではない。また闇医者ではあるが、自分に仕事を寄越す=表立って治療を受ける事ができないあくどい人間が多いことには拒否感を示している。
更に彼本人は変なところで律儀であり、何をしようにもとにかく矢面に立ちたがる正々堂々とした一面も持っている。
と同時に医者としての矜持もあり、「人を強くすること」には貪欲でも「人殺し」には嫌悪感を示す。
(当初は人間を戦争の道具にしようとしてたのは秘密)(再登場時もKAZUYAにペスト入りの注射をして逃げられなくしたのも秘密)こっちは万が一に備えて彼のベルトにワクチンを仕込んでいたからセーフなのだろう多分。
一穴悪辣に見えるがその辺りを試みると、その本質は偽悪的なツンデレと言った所だろうか。
まるで俺の正体のようだったぜ!
そんな彼の目的は前述の通り「人間の力を極限まで引き出すこと」
その理由は、彼の父親が純粋で善良な医者だった事にある。
医師であった父は「来る者は拒まず貧しきからは受け取らず」という精神を持っていた。
その為TETSU一家は貧乏であったが「医者という者はこういうものだ」とも思ってたらしく、少なくともその生活が苦痛だったようには思えない。
父は人を救うために研究に没頭、更に独自で開発した薬剤を投与する事もあったという。
だがそれは人々の目からしてみれば「暴走」「人体実験」にしか見えず、そして彼は世間から罵られた末に投獄…。
世間に押しつぶされるように死んだ父親を見て、彼はそんな弱い人間にはならず強くなる事を決心した。
父親に関しては「弱い」「あのようになりたくない」と言いながらも、紛いなりにも同じ医者の道を選んだり「善良、純粋」と称している事から決して嫌っているわけではないのはわかるだろう。
事実彼もそんな父のように「来る者は拒まず、貧しきからは受け取らず」の精神を持って医者をしている。ただまぁそうじゃないお金持ちからは巻き上げるし金使いの荒さは貧乏時代の反動のように思えるが。
だが父親のように「裏の世界で生きなければならない」事に関しては拒否感を抱いており、そういった一族であることから抜け出そうと藻掻いている。
特に登場当初はその傾向が強く、有名陸上選手のトレーナーや世界を代表する医療財団「クエイド財団」の幹部になろうとしていた事もあるが、失敗してしまった。
しかしその本質は「自らが強くなること」で一貫しており、地位にこだわりはするものの執着しているわけではなく、自分がその場所に相応しくないと自覚したなら即座にその座を降りている。
実際クエイド財団でも「ヘマをしたから」という理由で何も言わずに去っただけであり、幹部からは気に入られていた。
その本名は「真田徹郎」
政治家に取り入って、癌発生装置を作ったり(この件の場合は、依頼主の政治家も結果が出るまでその事を全く聞かされておらず、言わばその政治家も利用されていたに過ぎなかった。)、動物を利用した兵器(アニマル・ウェポン)を作る。(KやKの友たちを破滅に追いやろうとした悪役「真田武志」はTETSUの兄である)
だが人殺しをし、挙げ句「自分の力を高めるのではなく力のある他人に媚びへつらう」道を選んだ彼とは縁を切っていた。
武志はその悪逆の報いにより死亡するが、今際の際に「母親が心配していた」「兄さん」と呼びかけることで和解した。そして「兄さん」の死にはただ、無言で涙を流していた…。
また母親もその頃には重病に侵されており、語られてはいないがまもなく亡くなったと思われる。
こうして一人ぼっちになってしまった彼に、Kはただ側にいてやるのであった。
以降は何やかんやでKAZUYAとは腐れ縁のような状態となり、タイトルが「DoctorK」となってからも奇妙な関係は続いていた。
やがてKの妹の「KEI」に興味を持ち、あれよあれよとK達と共にアメリカ大統領の命まで救った事は、彼にとっては楽しかった思い出にまで昇華していた。
しかし……。
まるで未来の俺だぜ!!
しかし『K2』の時代となりKAZUYAが死んでから一種の燃え尽き症候群のような状態となっていた。
だがある日、偶然にもKの後継者たる一人(かずと)と出会う。
最初は彼のことを認めていなかったが、名前だけでなく医療技術や高潔な精神を受け継いでいることから彼を後継者と認める。前作読んでない人にもTETSUのツンデレ具合が1話でわかるぞ!
とはいえあくまで彼は単なる後継者であった事から完全に割り切ることができておらず、更にスキルス性胃癌を発症してしまう。
失意の日々を過ごしているうちにKAZUYAのクローンである一也が順調に育っていることを知ってからはっちゃけてしまう。
そんな折、TETSUの目の前に現れたKAZUYAの幻影(この幻影がTETSUの見た幻か、かつてのライバルを心配したKAZUYAの亡霊かは不明、一応夢での出来事となっているが)に対する告白がこれ。
「俺の胸は高まったね!!ドクターKが生きている… まるで恋する女子高生のようだったぜ!!!」
妙にロマンチストな台詞がネタにされるが、彼としてはもう一度KAZUYAとやりあう日々を取り戻したかっただけである。この台詞から「恋する女子高生」と関わった事がある事が想像されるが、どんなやり取りがされたのか見てみたいものである。
更にライバルであるKAZUYAに対しての独白は、彼が心身ともに追い詰められた証拠とも言えるだろう。
だが当時一也は中学生。彼が成長するまで、癌に蝕まわれた体が持つとは思えない。
そこで彼は一也に対し今まで行ってきた事をまとめた「ノート」を見せ、医学が抱えてきたおぞましい現実と人間の弱さを知らしめる。
更に自らを安楽死させ、自分の命を犠牲に医者としての試練を与えようとした。
しかし一也はTETSUのノートに恐怖心を抱きながらも、同時に激しい興味を抱き「このノートの続きを見たい」と願うよう…つまりTETSUを殺したくないと思うようになる。
そして一也に呼ばれた一人の手によって癌の増殖を抑える化学療法を施され生存した。
その後、身辺整理の中途で遺産の寄付に訪れた施設で見つけた、凶暴性の塊である孤児の「和久井譲介」を、自身の後継者として育成しつつも一也の元へ送り込んでどうなるかを確かめようとするなど妙にイキイキしている。
生き甲斐が見つかったようだ。
癌の進行は一進一退で普段は杖をついて歩行している。技術も健在ながら体力が持たず、長いオペでは眠ってしまうと全盛期の力は無い…だがなんやかんやで癌治療から10年近く生き続けている。
そして育て上げた譲介が医者として更にレベルアップするためにアメリカに留学する事になった際、彼から受け取った手紙に書かれていた文章が「あなたの死に水は、僕が取ります」であった。
空高く飛び上がる飛行機を見つめながら「俺に何年生きろっていうんだよ」と嘯く。
その時の彼の表情は漫画からはわからないが、おそらくは満面の笑顔を浮かべているであろう。
まるで余談のようだっだぜ!!
- 一也の元にけしかけた和久井譲介だが、一件冷酷に扱っているように見えて実は大事に扱っている。その事は譲介もわかっており、別れの際には大金の入った通帳と手紙を残している。
しかも、離別後は裏医者としての依頼をこなしながら、同時に譲介の将来を見据えて母親と父親を捜しだし、わだかまりが解けるよう遠回しに出会わせている。一方で、譲介がTETSUを意識した髪型(流石に再現できるほど前髪が立つことはなく、譲介はTETSUの逆側をメカクレさせているので気付かなかった様だが)を「ふざけた髪型」と評し、譲介からは「あなたには言われたくない」と返していた。
- 彼が寄付を続けている孤児院はスーパードクターK時代に登場したものだが、K2の時代になっても交流は続いている。孤児院の院長らしき女性も歳は取ったが健在である。
- 見た目は全然変わっていないが西暦1964年生まれである。漫画の時代設定は現実世界と同じなので、2024年に無事還暦を迎えるお年頃である。
- 杉田のトレーナーとして登場したときはKAZUYAに対抗するためか「"T"と呼んでもらって結構」と発言していたが以後40年近く誰もそう呼ぶことはなかった。 K2でも一也に送った封筒に「T」と殴り書きしていた。
- とある国の大使館に向かう際に一也に対し「その国の勉強をしておけ」と本を渡すのだが、それが明らかに児童向けの漫画というのはネタにされている。