中世暗黒時代(Dark Ages)
西ローマ帝国滅亡(西暦476年)から西暦1000年頃までのヨーロッパ中世前期。西暦1000年頃までを知的暗黒時代と考えて呼んだ言葉。
ルネサンスまでのヨーロッパ中世全体、中世ヨーロッパの前期(5世紀~10世紀)を指す事が多く、長い目で見ればルネサンス期(16世紀以降)までを指す事もある。
中世前期は480年の西ローマ帝国崩壊以降は文明や文化・技術が断絶してその水準が著しく衰退し、更にキリスト教の宗派が分裂したり、疫病の流行やヴァイキング・ゲルマン人・イスラム教徒との抗争が重なってヨーロッパは長期に渡って極度の混乱に陥ったが、やがてこの混乱もフランク王国の台頭と共に鎮まっていき、それから数世紀後にはヨーロッパにルネサンス文化が花開く事となった。
…もっとも、中世ヨーロッパの後進的でネガティブなイメージはルネサンス期や近世の学者達が中世を野蛮で迷信的で無知な物として批判した所が大きく、彼らに「暗黒時代」と否定的に見なされた中世ではゴシック建築、トルバドゥールやミンネジンガーといった吟遊詩人、『アーサー王伝説』『ローランの歌』を始めとする騎士道文学、装飾写本などの特徴的な文化が各地で栄えていた。
19世紀半ば頃には中世を再評価する動きが生まれ、特にヴィクトリア朝時代のイギリスでは中世の騎士を題材にしたウォルター・スコットの時代小説『アイヴァンホー』(1820年)の大ヒットを筆頭に、ゴシック・リバイバル建築や馬上槍試合の再現イベントなどの中世の文化が大流行した事もあった。