概要
海軍省の至上命令により1941年12月8日の真珠湾攻撃および12月10日のマレー沖海戦の大勝利を描くことで国威称揚させることを目的として、東宝が開戦の翌年に開戦一周年記念映画として制作し1942年12月3日に公開された。
主人公の少年友田義一が予科練に入隊し、そこで海軍の精神を叩き込まれると同時に予科練や航空母艦内での日常や生活を鮮明に描き、後半は真珠湾攻撃に至るまでの様子や特撮を使用した攻撃シーンが展開され、最後はプリンス・オブ・ウェールズを撃沈して勝利を報告するまでが描かれる。
当時まだ無名だった円谷英二が特撮を手掛け、詳細な軍事資料を得られない状態での製作の中リアルな戦闘シーンを描き切った。
特に今作の撮影のために空母赤城の甲板の1/1セットを製作したり、海を寒天で表現したというのは有名である。
航空機の飛行シーンは実機も用いられ、零戦の試作機の飛行映像も流用されている。真珠湾攻撃のシーンで登場する米軍機はノースアメリカンNA-16で、この機体をベースにしたT-6練習機は戦後の戦争映画で日本軍機役で頻繁に登場している。
戦後も東宝でたびたび再上映されたが、あまりにもリアルすぎる描写が災いし円谷英二はスパイ容疑をかけられた上にGHQから公職追放を受けてしまった。
またあまりにもリアルであることからか歴史番組などの真珠湾攻撃の映像に本作の特撮映像が使用されていることもある。
再上映版は冒頭の東宝マークが戦後の「光り輝くロゴマーク」バージョンに差し替えられたほか、「複雑な思いもあるだろうが公開当時のままで上映する」といった主旨の字幕が冒頭に追加されていたとされている。
影響
本作のメイキング写真を見たマイケル・ベイ監督が『パール・ハーバー』で連合艦隊の作戦会議の描写に引用した逸話が有名。マイケル・ベイ自身も史実ではこのような会議は行われていないと知りつつあえて史実をゆがめたと語っている。
ただし元ネタの写真がメイキング写真と認識しているのか本編の場面写真と認識しているかは不明。
真珠湾攻撃、マレー沖海戦の戦闘シーンなどでは特撮の合間に黒地白抜きで状況を示す字幕が表示される場面があり、『新世紀エヴァンゲリオン』の黒地白抜き明朝体テロップをフラッシュカットで表示する演出は市川崑監督作品以外にも本作の影響があるのではとの声もある。